試作と失敗作
今まで、いろんな物を作ってきましたが、成功の陰には失敗がたくさんあります。
一般的には、失敗が表に出ることはありません。もちろん、失敗作を世に出すわけ
には参りませんから、どんな失敗があったのか、皆さんは知る由がありません。
世の中に出回っている製品を見ると、何ごともなかったかのような完成度の高さを
示しています。
でも実際には、最初からそのような完成度の高いものができたわけではありません。
私自身も、何度作り直したか数え切れないぐらい、作り直しをした物があります。
意地になって取り組んだけれど、挫折して放り出してしまった物も少なくありません。
私の周囲には、そんなガラクタがたくさん転がっています。
誰でも、失敗は恥ずかしいという思いがあって、自分の中だけに閉じこめておく事が
多いのではないでしょうか。しかし、失敗から学ぶことはたくさんあると思います。
ここには、その、なかなか明かされない開発過程の話を書いてみたいと思います。
試作と失敗とを繰り返して完成にジリジリと近づけていく、そのストーリーです。
ちっとも格好良くありません。本当は、恥部をさらして良いのかと思っています。
■PIC高速コピー機ができるまで ***作成中***
●最初はギャングライタにしたかった。・・・・・・欲を出すと失敗する例
量産品にPICをたくさん使うようになり、その書き込みに時間がかかっていました。
量産の書き込みに使うのは推奨されていないのですが、当時はPICSTART PLUSで
書き込みをしており、これがシリアル通信の為、遅かったのです。
★完成した製品は、こちらに紹介しています。→ココ
最終的に、下記のものと、まるっきり違う物になりました。
書き込みが遅い・・・その不満が積もっていき、ある日、「PICを高速で書き込む装置を
作ろう」と心に決めました。
「そうだ、いっぺんに8個ぐらい書けたら!」
そう、ギャングライタです。
ケースは、手元にちょうど良さそうな物があり、その寸法から考えて、ソケット8個は
大きすぎるので5個にしました。マスター1個+コピー4個です。
さらに色々考えて、「PICの8ピン、18ピン、28ピン、40ピン全てに対応させよう」と思い
ました。欲が出てきました。
アナログスイッチICで各ピン数ごとの切り替え回路を作りました。その結果、ICがズラリ
並んで、全体として基板は3階建て、配線ギッシリになってしまいました。
ケースに入り切れませんし、配線は長くなりました。なんか、悪い方向に向かっている
ような気がしてきました。
下の写真において、見える範囲で基板が3枚あります。右上の物は電源回路です。
右下の基板の下に、さらにもう1枚あります。それが、ピン数切り替え回路です。さらに、
その下にソケット基板があり、パネル部分のソケット、LEDなどの配線をしています。
なんか大変になってきたけど、頑張って作れば必ずできる、根性、根性だ、と自分に
言い聞かせながら、本業の傍ら毎日、深夜まで製作をしました。
ところが、プログラムが複雑になりすぎて混乱してきたし、本業が忙しくなりすぎて
クタクタになった後で、これに取り組もうという気力が無くなってきたのです。
「今夜は疲れたから明日にしよう、明日やろう」と、それがだんだん増えてきて、
いざ再開しようと思ったら、「アレ?ここはどうだったっけ?」という具合に、思い出すのに
ひっかかったりして、作業が滞りがちになりました。
ああ、やらなきゃ、やらなきゃ、でも、・・・・・・
ここで冷めてしまって、挫折しました。
できたのは、ただのガラクタでした。
●復活
挫折したけれど、自分の頭の片隅には、焦げ付いた焼きそばのように離れなくて、
何らかの形で実現せねばならない、と考え続けていました。
書き込み機が必要な状況は変わらないのです。
それから、ずいぶん時間が経ってしまいました。その間に、よく使うPICが18ピンから
40ピンになり、プログラムの容量が増え、書き込みにかかる時間は深刻な問題に
なりました。
毎日、頭の片隅で構想(妄想)を練り続け、出した結論は、1個書きで良いから、
ちゃんと使える物を作ることでした。1個書きの装置を、何台も作れば、ギャング
ライタと同様の効率になるでしょう。
折しも、CNCフライス盤を導入し、切削基板が自在にできるようになっていました。
回路設計は、前回のギャングライタで済んでいたので、そのうち1個分だけを
抜き出しました。今回はユニバーサル基板ではなく、最初から切削基板で進める事に
しました。
切削基板を作った後での修正が無いようにと考え、開発用ボードとバラックの書き込み
回路によって予備実験を行いました。
●翻訳
PICの和文データシートは少なく、書き込みアルゴリズムの資料に関してはひとつも
ありませんでした。それで和訳に取り組みましたが、和訳が終わってから感じたのは、
実は大した事が書いてなかったということです。これにはガッカリしました。
英文というのは、情報の密度が低いのかと思ったりしました。こんなのをアメ公は、
ペラペラペラペラ喋っているのです。しゃべるのが大変でしょう。
よくわからないところは、仮定と推測と実験の繰り返しで確認していきました。その時の
実験ノートが残っています。
●切削基板による試作品
半田面には、後付け部品がくっついている。
ICSPにも対応させよう
PICのI/Oポート特有の問題
データ化け
クロックダウン
それでも不安定
配線の切りつめ
●いよいよプリント基板
プリント基板ができてきた
初めて使ったCAD、ミス
ベタGNDを両面接続するviaにネット設定してなくて浮いている
■ビデオスーパーインポーザ
テレビ画面に文字を合成する
CPLDを使用
無駄遣い
1代目
1代目(プリント基板化)
2代目
3代目
4代目
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