アクリル板 加工サービス

  ***作成途中***
  多忙につき、ホームページ更新に、なかなか手が回らない事があります。
  興味をお持ちの方は、まず、お問い合わせ頂けましたら幸いです。


■概要

 CNCフライス盤 を活用して、アクリル板(など)の 加工 をお受けします。

 アクリル板 以外に、似たようなものですが 塩ビ板 、 ベーク板 、 アルミ板 の加工ができます。
 文字 を 彫刻 して、ネームプレート も 製作 できます。

 但し、まだ発展途上の部分もあり、専門業者にはとてもかないません。専門業者と競争しようとも
思いません。あくまでも当社は電子回路が専門ですから、うるさい事は言わないから作って欲しい
とか、趣味で使う方を対象にしています。大量に作ったり、急ぎの製作もできませんのでご了承
下さい。

 ファミレスの出涸らしコーヒーとか、安い定食屋の100円コーヒーに「まずい」と文句を言った人を
目の当たりにした事がありますが、それは筋が違います。安いんだから、まずくて当然です。
そんなものに、おいしさを求めて文句を言う方が間違っています。コーヒー風のお湯という認識を
しなければなりません。

 まあ、当社の加工サービスは、出涸らしコーヒーほど悪くは無いと思います。しかし、数百万円、
数千万円の装置に取り付けるプレートを作ってくれ、という方には向いておりません。それに
ふさわしい物を作らなければなりませんので、専門業者にご相談下さい。
 ここの加工サービスは、安い出涸らしコーヒーだと言うのなら、この値段は何だ、安くしろ、と
屁理屈をこねる方もお断りします。

 あくまでも、片手間にやっておりますし、多品種少量製作なので手間暇かかります。従って、
最高品質の物はできないし、加工条件にも制約があります。その点をご理解の上、下記の
「加工例」などをご覧になって、これくらいなら頼んでも良いとおっしゃる方のみ、ご用命を賜り
たいと思います。

 自分だけのオリジナルの物というのは、持っていて楽しいものです。自分の名前が入った
スタンプや名刺ができた時、ちょっと感動しませんでしたか?オリジナルのネームプレートなど、
作ってみたくありませんか?


■可能な加工

 ●切り抜き

 ●穴あけ

 ●彫刻

 ●

 ●



■加工条件

 ●CAD、データ支給

 ・「 鍋CAD 」を標準で使っているので、そのファイル形式
 ・DXF (但し互換性は絶対ではないことを留意)
 ・手書き図面(いわゆる、マンガ)でも対応可能ですが、
  入力ミスを避ける為、できればCADデータファイルを支給されると
  安心です。


 ●最大寸法

 ・ひとつの加工物は、加工機のテーブル寸法未満でなければなりません。
  概ね、タテ190×ヨコ230ぐらいまでです。
  高さの制約もあります。


 ●材料

 ・標準で使う材料として、透明アクリル板(厚さ2ミリ)を在庫しています。
 ・ベーク板などの在庫も少しあります。


 ●文字フォント

 ・現状、CADの標準フォントのみとしています。
 ・フォントのデザインは行っておりません。
 ・


 ●塗装

 ・


 ●エンドミル、ドリル

 標準でφ2のエンドミルを使います。



 ●取り込み





■加工例

 ●ネームプレート (アクリル)

ネームプレートのサンプル ネームプレートのサンプルをご紹介します。
白いアクリル板を加工したものです。→
本物っぽく見えます。

「装置」が欠けて見えるのは
カメラのフラッシュのせいです。
緊急炉心冷却装置 始動
テポドン 発射 ←押しボタン用のプレートです。

私の撮影技術が下手で、赤っぽく見えていますが、
白いアクリル板を加工したものです。

ハングル文字か、ロシア(キリル)文字で
彫ると、より一層、雰囲気が出ると思います。
透明アクリルを赤く塗って、
裏側から彫ったものです。→

文字部分は光が透過します。

文字部分に違う色を
入れる事も可能です。

例えば、白地に黒い文字もできます。
REMOVE BEFORE FLIGHT
「 ハウス温度自動通報機 」のネームプレートを作りました。
透明アクリルを使用し、文字を白としました。

 ※ハウス温度自動通報機は、「伊崎産業」様の製品
  です。


● オルダム 継手 の模型製作例

 漫画「 ナッちゃん 」(たなかじゅん著/集英社)の1巻に出てくる
「 オルダム 」の動きが、なかなかイメージできなかったので、模型を作ってみました。
アクリル加工による、模型の製作例としてご紹介します。

 

 材料は2ミリ厚のアクリルです。ホームセンターなどでよく売られている一般的な
ものです。六角スペーサやビスも一般的なものです。

 あまり時間をかけずに、簡単に、という方針で作ったので、回転させるためのハンドル
などは付けませんでした。側面から指を入れて回すようにしました。(早い話が、間に合わせ、
または手抜き)

 図面を見るだけでは、どういう動きをするのかよくわかりませんでしたが・・・
回してみると、ハハァ、ナルホド・・・、見て納得、よくわかりました。

 真ん中にサンドイッチされた部品(スライダ)は、軸を通したりしていないのに
落ちないのかと心配していましたが、回してみたらそんな心配は無いことがわかりました。

 簡単だけど、よく考えられた機構です。
 うまくスライドして、ズレを吸収しつつ、スムーズに回転します。

 軸同士のズレを吸収するので、たとえば、モーターと送りネジの間を連結するのにも
使われています。


 「 メカニズムの事典 」(伊藤茂著/理工学社)には、上記と同じオルダム継手のほかに、
もう1つ、軸を組み合わせた例が載っています。図面を見てわかりやすいのは、その、
軸を組み合わせた方です。(第1版第24刷のP.206、その2の方)

 参考文献:
 (左)ナッちゃん1巻、(右)メカニズムの事典

 (後日記 2008/03/21)
 漫画の作者のblogで紹介されました。 たなかじゅんのヨモヤマ日記
 →ココです。

 そういえば、2008年初めに「ナッちゃん」を全巻買い揃えようとしましたが、どうしても
9巻だけが品切れで苦労しました。いくつかの有名通販にも、地元の大きい本屋にも無くて、
古本屋まで探し回っても無くて、途方に暮れていました。最近(3月)、たまたま用事で
2時間ほど走ったところで、ついでに寄った本屋にて9巻を発見、これで全巻揃いました。

 ところで13巻のカバー(折り返し)の作者の言葉、メガネ女キャラにいたっては
二人もいる始末
、と書いてあります。狙って出したのだろう(笑)。メガネ女、大歓迎です。
特に知佳チャン。マッチ売りが良い(笑)。それと16巻のP.130〜のような大胆さが良い。
※しかし、実際の女性はメガネを好まないようです。知り合いのオバサンに聞いたところ、
 鼻に当たるところの化粧が落ちるからイヤとか、何とか言っていました。



●アクリル加工と、文字彫刻の応用例

 正式名称は不明ですが、「 ライトガイド・ディスプレイ 」とでも名付けておきましょうか。

 どういう物かというと、昔のニキシー管のような表示方式です。数字が変化すると
前後に行ったり来たりしているように見えます。ニキシー管と違うのは、放電管ではなく
LEDを利用していることです。

 アクリル板に文字を彫刻して、側面から照らすと、文字が浮かび上がって見えます。
この原理は、昔からよく知られており、実際にそれを応用した製品がありました。

(写真は汚いですが、実際はハッキリ数字だけ浮かび上がって見えます)
  

 いまも我々は、その原理の恩恵を受けています。たとえばノートパソコンなどの液晶
ディスプレイです。裏面にアクリル板(導光板)が入っていて、冷陰極管サイドライトの
光を反射して液晶パネルの裏側から照らすようになっています。

 かつて、一部の電卓にも使われていたようです。キヤノンの初期の電卓が、そうでは
ないかと思います。「電子立国日本の自叙伝」の「電卓戦争」に出てくる機種で、
ニキシー管ではない表示装置が使われており、確か「特殊な表示装置を使用し・・・」と
ナレーションがあったと思います。→下記リンク先参照(The old calculator web museum)
 TVで紹介された機種は、Canon 161 です。

 オーディオ機器などのパネルで、LED自体は基板上にあって、パネルまでアクリル棒
などで光を導いているというのがよくあります。

 「 エレキジャック 」のNo.1で、「 光るブラジャ 」では、光ファイバにキズを付けて
そこから光が漏れるようにしていました。これは、アクリル板にキズを付けると光が
漏れるのと同じですね。

 数年前のパチスロ機で、「 ハナハナ30 」だったと思いますが、リール面のパネルに
ラインが彫ってあり、側面からLEDで照らすことで、光るラインが走るような演出の機種が
ありました。

 海外のサイトにも色々と掲載されています。
  Mike's Electric Stuff の ココ です。(ページの最後を参照下さい)
  The old calculator web museum の ココ です。(これ以外の機種もご覧下さい)

 さて、今回ご紹介したものは、あくまでも原理を確認するための大ざっぱな試作品で、
性能は追究していません。しかし、そこそこの性能は得られています。上記の写真3枚は、
実際の見た目より悪く写っています。実際はハッキリ見えています。さすがに、一番奥の
9は最前面の0と比べれば、文字通り遠くにかすんで見える感じではありますが・・・。
 これを作って色々いじくっているうちに、性能を改善するノウハウ的なものが得られま
した。これから修正していこうと思います。

 これを作るのは手間がかかります。以下5点を削り出さなければなりません。さらに
チップLEDの半田付けや、全体の組み立て、ガイド板の接着などがあります。
 切削加工と彫刻の集大成?と言っても良いでしょう。(大げさ)

    (1)数字プレート 0〜9まで10枚
    (2)下面ガイド
    (3)上面ガイド
    (4)側面ガイド 2枚
    (5)基板

 これらを作るのには、ただ材料を削り出すだけじゃ済まなくて、ここに書いていない
いくつかの手間を要します。

 次に示すのは、左の写真・・・基板、左側に写っている粒はチップLED(3216サイズ)
 右の写真・・・内部構造、上面ガイドを取り外した状態

 

 次にご紹介するのは、さらに改良した試作2号です。
 小型化(奥行を短縮、LEDを3216から1608へ)


 写真がうまく写せなくて、にじんだように見えますが、実際には”3”がハッキリ
見えます。

 もっと大型のものもできるはずです。たとえば、店舗用に「OPEN」と彫刻した板を
照らして目立たせるのも可能でしょう。興味のある方はお問い合わせ下さい。



●ベーク

 アクリル以外の材質も色々あります。その中でも「ベーク」は、よく使われている
のではないでしょうか。絶縁性があるので、電気の配電盤や端子などに利用され
ています。加工は比較的容易ですが、独特の(フェノール?)匂いがします。
病院の消毒みたいな、あるいは、ウンコの匂いのような感じです。

 ここでは、その加工例として、自社で使うために作った「ジグ」をご紹介します。
COBRA2520の加工テーブルに取り付けて、材料固定の基準にするものです。
材料はベークですが、もっと詳しく言うと「紙ベーク」です。

 この「ジグ」は、プラケースの加工のための位置決めに使います。また、両面基板を
切削する時にも基準となります。

 左の写真・・・切り出し中、この粉は吸い込みたくないですね。
         色を見ていると「きなこ」のようです。
 右の写真・・・COBRA2520に取り付けた状態
 

 近づいて撮った写真です。目盛りが彫ってあります。あとで墨入れをしました。
 

 余談・・・加工テーブルにキズがあります。以前うっかりして傷つけたのです。
      これは、まだ良い方です。成晃機械設計SB340を使い始めた頃、
      「貫通」してしまった事があります。Z軸の設定を間違えたのが原因でした。
      どうして気を付けているのに失敗するのでしょう。自動車はコスってしまうし・・・。



●アルミ

 アルミは、なかなか手強いです。比較的柔らかい金属ですが、実際に切削してみたら
トラブル続出!という歴史がありました。最初の頃、エンドミルを何本折ったかわかりません。

 左の写真では、きれいに切り抜いていますが、右の写真では、めくれ上がっています。
 材料は同じ物です。左右の加工条件の違いは、(大きくは)エンドミルの形状です。

 

 アルミは融点が低いためか、刃にからみつきやすいようです。それで切れ味が落ちてしまい、
ただの棒で無理矢理押しているような状態になります。その結果、めくれ上がると考えられます。
 からみつきにくい形状の刃、または特殊コーティング(DLC/ダイヤモンド・ライク・カーボン)を施した、
アルミ加工用のエンドミルが、アルミの加工には向きます。

 彫刻は、難なくできました。(下の写真)
 文字が裏返しなのは、透明アクリル用の裏面加工データを流用したためです。念のため。
 彫ったところに、墨入れをしてみました。




・タカチのプラケース付属の「アルミパネル」加工例

 PC-120B のアルミパネルに、穴あけ加工をした例をご紹介します。

 左の写真は、フロント及びリアパネル、
 右の写真は、同フロントパネルからSDメモリカードを差し込んだところです。

 

 実際に加工をしたのは、パネル中央の角穴や丸穴です。(外形は元のままです)

 手作業で、ドリルや糸のこ、ハンドニブラーによる加工は、なかなか大変です。
 特に角穴は、面倒くさいし、どうやっても手作業では仕上がりが美しくありません。
パネル取り付け型のスイッチ(のツバ)や、ブッシングの類で、どのようにボロかくし
しようかと、そういう事を考えてしまうぐらいです。(私が不器用なだけです)

 ハンドニブラーで、板端から切っていく加工だったら、比較的、楽なのですが、
中央に角穴をあけるというのは・・・1カ所だけでも結構時間がかかります。

 ここに示したアルミパネルなら、板厚が1ミリで薄い方ですから、楽な方です。
 以前、3ミリのアルミ板を加工した時は、本当に大変でした。輪郭に沿って、
ドリルで穴をたくさんあけて、間を切って、あとはヤスリでギコギコ、ギコギコ、と
ちょうど真夏の盛りということもあり、本当に大変な思いをしました。二人で交代
しながら、ようやく、2つの角穴をあけたのでした。

 真空管ラジオやアンプで、ソケットを取り付ける丸穴は、かつてシャーシパンチを
購入して使っていました。きれいな丸穴があけられますが、数種類の決まった寸法
しか選べないのと、やはり工具を通すための下穴をあけたりする手間もありました。

 今までのたくさんの苦労を思いながら、CNCフライス盤を活用しています。この
ような機械が、個人レベルでも手に入るようになってきたのは素晴らしい事です。


 さて、冒頭に、アルミの加工条件が難しいという事を書きました。またボロボロに
なるのかと思うとウンザリして、なかなかアルミの加工をする気がしませんでした。
今回もダメもとで、挑戦してみたところ、とても良い結果が得られました。

 上の写真で紹介したパネルのうち、1枚の拡大です。



 ご覧のように、バリはなく、キレイに加工できています。

 但し、表面の黒い塗装側は、穴のフチに、塗装のカスが少し残りました。
これは、カッターナイフの刃で、削ぐようにしたら簡単に除去できました。
 (加工時には、塗装面を上にして加工しました。)

 それから、考慮しておかなければならないのは、エンドミルで加工している為、
角穴をあけたとしても、カドが丸みを帯びるという事です。四角のコネクタが
パネルから出る、という場合には、カドが干渉しないように、その分、大きめに
あけたりします。あるいは、四隅のカドに穴をあければ、見た目にはちょっと
変ですが、カドがきっちり合います。

 あと、今回はしませんでしたが、文字の彫刻も可能です。特に、今回使った
アルミパネルは、黒い塗装が施してある物です。これをそのまま彫刻すれば、
黒い塗装が削られて、銀色の文字になります。

 余談・・・

今回、製作した装置は、 GPSデータ・ロガー というものです。「 えるむ 」で紹介
されているものです。
 こちらからどうぞ。→ えるむ
               この中の、GPSデータ・ロガーのページです。

 GPSモジュール は、ストロベリー・リナックスから購入したものです。
 「えるむ」の製作例とは、異なるモジュールです。(その仕様の違いで、少し苦労
しました。下記、苦労談をご覧下さい)

 ストロベリー・リナックス では、GPSデータ・ロガー(GPSモジュールに
SDカードが装着できるタイプ)も売っていますから、GPSの記録のみが
目的なら、最初からそれを買えば良いわけです。他社からも、USBタイプなど
色々なものが市販されています。

 今回、私が製作した目的は、新規技術習得です。
 その中には、大きく4つのテーマ、(1)GPS、(2)AVR、(3)SDメモリカード、
(4)アルミ加工、が有りました。特にAVRは、私としては取り組みが出遅れて
いました。

 AVRの開発環境、書き込み方法、内部構成、レジスタ等・・・いっぺんには覚え
きれませんが、これから、だんだん慣れていくものと思います。

 次の写真は、今回製作したGPSデータ・ロガーの本体です。(受信ユニットは別)

 

 「えるむ」の製作記事を見てそのまま作るだけじゃないの?簡単にできるんじゃない?と
思うでしょう。本来なら、そうなのです。最初は、そう思っていました。

 実際には、自分のミスと、初めてのAVRと、GPSモジュールの仕様の違いによって、
つまずきました。GPSはデータフォーマットが規格通りならそのままだろう、シリアルの
通信速度や条件も同じだし・・・と考えていたら、それ以外の問題がありました。(後述)

 まず自分のミスは、AVRがDIP32ピンと勘違いしたことです。パターンを引きながら
DIP(300mil)の32ピンというのは珍しいなあ?と、トボけてそのまま進んでしまい
ました。運転しながら、コスりそうだ、と思いつつ、そのまま進んでコスっちゃうパターンです。
なんで、気づいてるならそこで止められないのか、自分でもわからない時があります。
たぶん疲れているせいです。

 「えるむ」の製作記事は、よく見たらQFPでした。すでに部品を全部実装して、AVRを
装着する前の通電テストが終わり、さてAVRを装着しよう、とソケットに合わせた時に、
アレッ?と、わかりました。その時にも、型番は同じだよなあ?と、ボケました。さらに、
SOPだろうと思って、データシートをいくら見てもSOPが見あたらない。なんか、道を
間違えてそのまま進んで、さらに迷ってどうしようもない遭難状態です。やはり疲れていま
した。

 いまさら作り直したくないので、仕方なく、ユニバーサル基板に手配線してゲタ基板を作り、
28ピンと32ピンの変換をしました。

 ところが、これだけじゃなかったんです。32ピンのQFPには有って、28ピンのDIPには
無いピンがありました。電源電圧監視に使っているアナログ入力です。(ADC7)
これは最終的に、PC0/ADC0に変更しました。この変更にあたって、AVRを全く知らない
から、どこをどう変更したら良いのか、レジスタの特別な設定があるのか、その確認が
大変でした。ソースプログラムと、データシートとのにらめっこが続きました。

 それから、これはもう、夜更けまで無我夢中になってやったせいか、変換ゲタを作った時
に、配線をミスしていました。ピン変換リストを作った段階で間違っていたんです。何で
ブザーが鳴らないのかと、(間違ったピンに)オシロをつないで、壊れているのでは?と
おそろしくボケた事を考えていました。壊れた可能性も考えて、同じAVRを夜中に2個
発注してしまいましたよ。AVRのソフト経験も無いから、プログラムが動いていないんじゃ
ないかとか、とにかく動かない原因はたくさん考えられました。それをひとつずつ、つぶして
いきました。

 書き込み(ISP)も、最初はうまくいっていたのに、ヒューズビットを変更しているうちに
できなくなって・・・AVRを何も知らないから、あちこち調べたりデータシートをひっくり返し
たり、クリスタルを付けて外部クロックを入れたり、あれこれやってもダメで、やっぱり
壊したんじゃないか、あるいは、ISPでは戻せない状態になったのではないかと、アセって
しまいました。
 結局、SDメモリカードを差したままにしているのが影響しているのではないか、と気づいた
のと、書き込みプログラムavrspの-dの値を調整して、正常に書き込みができるようになりま
した。

 結局、プログラム自体も、ダウンロードしてきたのをビルドしてそのまま焼く、というスムー
ズな流れにはならなくて、さっきのADCの変更やら、プログラムの動きを知るために、
ソースのほとんど全てに目を通したり、あちこちにテストを組み込んだりしました。1行ずつ
たどって、データシートと見比べながら、どういうレジスタの操作をしているか、それはなぜか、
なぜ必要か、なぜここでやっているか、など、あれこれ考えながらメモを書き殴っていって
理解を進めました。
 他人のプログラムを読む時、作者の考え方も推測しながら読んでいきます。「意図」と言い
ましょうか、なぜここでこういう処理をしているのか、ということです。

 BEEPが1回、2回、長い音、の違いは、製作記事の中には書いてありませんでした。
これは、動作確認を行っていく中で重要なことでした。どこまで走っているのか、という目安に
なるからです。
 ICEがあれば、ブレークポイントの設定などで、どこまで走っているのかがわかります。
それが無くても、LED1個でも、ブザー1個でもあれば、・・・何らかの手段で、マイコン内部
の情報が外部に出力できたら、それは目安や手がかりになるんです。

 電源電圧がFAIL、SDメモリカードが装着されていない、といった条件で、先に進まない
ことをソースから読みとりました。
 どうにか、ピッ(BEEP1回)、まで進んだものの、いつまで待ってもピッピッ(BEEP2回、
記録開始)まで進みません。

 ソースを追ってみると、どうやら、GPSからの特定の文字列を待っているようでした。
ひょっとしてシリアル通信がおかしいのか?あるいは論理が逆とか?ピーンときました。
GPSはRS−232Cで出力しているのに、それを10KΩ経由でAVRの入力ポートに
つないでいるだけです。論理が逆です。製作記事で使っているGPSモジュールでは、
それで良かったのでしょう。

 ソフトUSARTなら、ソフト的に論理反転すれば済むのですが、これはハードウェアです
から、トランジスタと抵抗を追加しました。オシロで波形を確認、論理OK。

 しかし、それでも先に進みません。なぜだ、おかしい。通信はこれで間違いないハズ。
もう一度ソースと、GPSの資料を見ながら考えてみると、どうやら、GPSのステータス
有効(A)の判断の所から、先に進まない様子。
 もとのソースでは14文字目となっていましたが、今回使ったGPSモジュール単体で
パソコンに記録したログを見直したら、18文字目でした。違うところを読んでいたの
でしょう。

 これで、ようやくピッピッ、と鳴るところまで来て、SDメモリカードのアクセスランプが
数秒おきにピカッ、ピカッと光り、ちゃんと記録していることがわかりました。さあ、そこで
電源ダウンの確認です。電源を切って、電圧が下がる途中でFAILを検知し、ファイルを
クローズするかどうか。ACアダプターを抜いたら・・・ピーッ、と鳴りました。
 さあ、SDメモリカードを抜いてパソコンで開きました。ちゃんとログができていました。
それを変換ソフト(GoogleEarthやMapsで見られる形式にする)に通したら、形式未対応
という表示が出て進みませんでした。

 ああ困った困った、何が、どこが、どう違うんだ。今回取ったログと、以前GPS単体で
取ったログ(これはちゃんと変換ソフトを通り、表示される)とを見比べて、それとGPSの
資料とにらめっこして、ウーン、どうやら、データロガーは、全てのデータを記録していない
ようだ・・・と気づいて、またソースを開いて見たら、やはり出力しないようになっていまし
た。作者は、これで良かったのだろうと思いますが、私は全て出力するように修正しまし
た。SDメモリカードの容量はじゅうぶんありますからね。問題にならないと思います。

 なんでこうトラブル続きなのかと思います。要領のいい人、頭のいい人は、こんな苦労を
背負ったりしないのかもわかりません、と思います。

 なんだかんだで、ようやくまともに動くようになりました。それで実際に自動車に積み、
実走テストをしました。およそ1時間ほどかけて、往復40kmぐらいを走ってきました。
 (自宅→嬉野の入り口ぐらいで折り返し→某スーパー→自宅)

 帰宅してからパソコンで開き、変換・・・GoogleEarth、Maps、ともに、ちゃんと走行
経路が表示されて感動しました。うーん素晴らしい。
 しかし、GoogleEarthには、撤去されたはずの大村発電所が、まだ写っていました。
煙突が1本立った状態でしたから、数年前の撮影データでしょうか。

 最後に念のため、今回製作したデータ・ロガーは、販売を目的としたものではありま
せん。前述したように、新規技術習得が目的です。それに、他人が作ったプログラムを
載せて勝手に売るわけにはいきません。

 それにしてもChaNさんはすごいな。いや、私も専門家だから、FATやMMCの
ライブラリを作ったりできるけれど、面倒くさくて、根性なくてやんないだけだから(笑)。
公開してくれているから、自分で苦心して作らなくて済んだ。本当に有り難い事です。
いままで述べてきたように、もともと完成しているハードとソフトを再現するだけでも
色々あってつまずいたのに、もしMMCやFATのプログラムまで自作していたら、
はるか遠い道のりになっていたかもしれない。

 QFPから細いウレタン線を引き出したりして配線しておられるけど、私も当然できますし、
やっていましたと、念のため書いておきます。やはり面倒だからやらないだけ。ユニバー
サル基板も最近ごぶさた。ぜんぶ切削で作っています。
 私は、もともと製造部門にいたから、細かい半田付けも得意なのです。駆け出しの頃は、
製造のパートさんたちに混じって、基板の実装コンベアにはりついていました。それから
チップの実装や、手半田を覚えて・・・設計部門に配属されてからも下っ端だから、半田付け
ばかりやっていました。製造が忙しい時は、残業時間に呼ばれて手伝いに行っていまし
た。本当は製造が好きだったのですが、希望して、設計に入れてもらったのです。

 一番大変だった配線は、別の担当者が作った基板のミスを修正するために、あれは
確かアドレスが全体に1ビットずれていたやつだったか・・・QFPのデュアルポートRAMの
パターンをバーッと切って、全部、ジャンパー線でつなぎ直す仕事でした。

 一般のSRAMなら、アドレスピンをどう入れ替えても問題なく使えるわけです。ところが
デュアルポートRAMは、アドレスが2系統あるから、どっちか片方のアドレスがずれたら
面倒なことになるんです。そして、顧客が「直せ」と言うんだから、やるしかありません。

 何しろアドレスバスですから・・・そのデュアルポートRAMも2個並列だし、CPUにも
他のデバイスにもつながっているわけです。だからQFPの足に2本ずつ、半田付け
する必要がありました。ウレタン線が無かったので、0.26のラッピングワイヤーを
使いました。QFPの足に、上下2段(上は足の付け根です)につないだものです。熱の
加減を誤ると、両方ともはずれます。さらにこれを、3枚とも改造実施したのではないか
と思います。そんな事やるぐらいだったら、改版して作り直した方が早かったかもしれま
せんね。(こちらの担当者のミスだから、こちらで責任とらないといけなかった)

 脱線ばかりでした。

 今回のデータ・ロガーは、今後もいろいろと応用ができると思います。
 GPSのデータ記録自体は、大して難しいことではありません。何しろ、シリアルで受信したのを
そのまま書き込んでいるだけです。何がすごいかと言うと、やはり、SDカードが使えるように
ChaNさんが、FATのライブラリを作ったことだと私は思います。この「足場」があるからこそ、
MP3プレーヤーなどを作っておられる、つまり、応用ができるわけです。

 GPSデータ・ロガー自体も、たとえばバッテリー駆動時間をのばすようにプログラムをいじって、
数分おきにGPSの電源を入れて記録するようにすれば、宅配便の荷物に入れて、その、
経路追跡ができるかもしれません。屋内とかトラックの中では当然、電波が受信できませんから、
途切れ途切れになるでしょうが、一度やってみたいものです。

 それと、今回意識したのは、GPSユニットと、データ・ロガーを切り離すことでした。それは
なぜかというと、別の用途にも応用するためです。RS−232Cという切り口によって、別の
データ、たとえば時刻と電圧とか、そのような記録にも使いたいのです。
 従来の方式であれば、パソコンのターミナルソフトでログを取る、というのが一般的だった
かもしれません。但しパソコンは場所をとるし、振動に弱いし、電力を消費します。その点、
このデータ・ロガーのような小さい装置なら、便利だと思います。

 但し、時間軸での記録には時刻が必要になるでしょうから、RTCを搭載する必要がある
のは言うまでもありません。うーん、結局、脱線ばかりでした。

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加工例 ( 穴あけ 文字彫刻 )

 上記と同じ、タカチのPC-120Bのパネル加工例をもうひとつご紹介します。
 穴あけと文字彫刻をしたものです。



 黒いパネルに彫刻すると、その部分が地肌の銀色になります。意外に格好が良いもの
です。黒地に銀色は良いですね。アクリルや、(銀色の)アルミに彫刻をして、その部分に
黒などの塗料を流し込むのとは逆のやり方になります。

 ただ、すでに塗装されている材料の加工は問題もあります。切削のフチの塗料が
剥がれて、バリのようになることがあります。実際、上の写真をよく見ると、黒いペンで
塗った跡が見えるでしょう(しかもはみ出しているし)。ヤスリで塗装のバリを削ったあと、
銀色が目立つので、試作ということもあり、ゴマカシたのです。
 もちろん、本番(量産)ではそういうわけにはいきません。

 対策案はひとつ考えていて、それを行うには少々コストアップします。まだ実験しておらず、
他の類似例から考えて、おそらくできるだろうとは思っています。その方法によれば、バリは
出ません。(捨て板を重ねて、一緒に切る)

 バリが出るのは、エンドミルの刃がなまっているのも原因かと思いますが、ちょっとなまった
だけでそうなるんですから、いちいち新品に替えられません。

 そのほかに考えられるのは、裏返して加工したらどうかと思ったのですが、塗装を傷つける
おそれがあるので適切でないと思います。

(2008/09/10追加、9/13追記)


●プラケースの加工例

 タカチ等のプラケースは、電子工作や小ロット製品によく使いますが、
加工を外注すると高いですよね!
 (いや、業者の立場で言えば、妥当な価格なのかもしれませんけど)

 私の経験では、今まで何度も外注した事がありますが、だいたい
加工費はケース(未加工)の価格の3倍程度の見積でした。たかだか
200円のケースに、加工費を含めると700円ぐらいかかりました。

 加工内容と加工費は、あまり関係ないようです。穴1個か2個でも、やはり
上記の価格ぐらいだったと記憶しています。加工内容が簡単でも、極端に
安くなることはありませんでした。

 ちなみに、アルミケースに文字彫刻を頼んだら、エーッ、こんなにするの?
というぐらい高かったです。1台しか作らないような高価な機器だったら、
この値段でも良いだろうとは思いましたが・・・小ロットの数十台から数百台で
あまり利益のとれない製品の場合は、断念せざるを得ませんでした。
 それでどうしたかというと、印刷屋にシールを頼んで、あるいはシール用紙
を買ってきてパソコンで自作・・・というのが多かったと思います。

 プラケースの話に戻りますが、ドリルであけられるような穴が数個だったら
自分でやっても構わないと思います。型紙とか、プラ板でジグを作り、穴位置を
合わせてコツコツやればできるでしょう。

 しかし、角穴ともなれば、とてもそこらへんにあるような工具では上手に
できませんし、時間がかかります。角穴は、たとえば液晶表示の窓とか、
角形のプッシュスイッチなどでよく使います。

 角穴が厄介なばかりに、仕方なく丸穴で済むプッシュスイッチに変えたり
しますが、どうしても角穴でなければならない場所はそういうわけにもいきま
せん。

 プラケースなら、Pカッター等で加工しやすいですが、やはり手作業だと
不器用さがモロに出てしまいます。
 「これは社長に見せるからな」と取引先から言われて、大変苦労した覚えもあります。
ちょうど来ていた後輩が、私のあまりの不器用さを見るに見かねて、代わりに角穴を
あけてくれました。(制御盤などの加工・組立をしているプロ)

 そういえば、タカチのアルミ押し出しケースを使った試作10台を、手動フライス盤で
ガリガリ、一日中削った経験もあります。アルミの粉が飛び散るし、「ビィィィィ〜〜〜
ガガガガー」とうるさいので屋外でひたすらガリガリと。
 ハッキリ言って、こんなことはやりたくありません。何とかならないものでしょう
か、角穴の加工は。

 さて、いろいろ長くなりましたが、ここでタカチのプラケースSW-95Bの加工例を
ご紹介しましょう。

 タカチ SW-95B

 まず見た目で、ほとんど大穴をあけてしまって、強度的には大丈夫か?と思うかも
知れませんが、裏側から基板を固定して、部品をむき出しにする目的なので、これで
問題ありません。

 それよりも、こうしてケースが加工できるようになったことが、個人的には進歩です。
わかってしまえば簡単なのですが、今まで、どうやって位置決めをするかが大問題
でした。

 マシニングセンターで、材料に当たるとランプが光る位置決めジグがあるのを
見たことがあります。これで原点を合わせるわけです。しかし、このジグは高いのです。

 刃物と材料の接触については、ある方法を考案して現状うまくいっています。金属
なら電気的に導通するけどプラスチックの場合は?という課題でした。いい方法を
考えついて、解決しました。

 次は、材料をX軸、Y軸とまっすぐ合わせるようにするにはどうしたら良いか。
 そのまま、材料をテーブル上に貼り付けただけでは、まっすぐになりませんからね。
この課題はずいぶん悩んだのですが、ひとつ解決策を思いついて、それを実施したのが
上の加工例です。思った通り、うまくいきました。

 もっと位置決めがしやすくなり、かつ、もっと簡単な方法があるはずです。それを引き続き
考えていきます。


 加工の制約について

 高さが高くなると、Z軸の限界にかかる場合があって加工できません。
 さきほどのSW-95を例にすると、長手方向で立てて加工することはできません。さらに
固定をしっかりする必要があります。底面に両面テープを貼る程度では、加工中に振動
して、加工がうまくできません。クランプで押さえるか、寝かせた状態で加工するように
工夫します。

 側面の穴のあけ方は、図を示した方が説明しやすいのですが、中間に穴をあけるのは
どうしてもケースを立てることになり加工が困難です。解決策としては、ケースを寝かせて
穴を端から切り込む形で実現します。


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