変圧器の作り方


●はじめに

 変圧器(トランス)なんか、わざわざ作らなくても買ってくれば良いのであるが、
作りたくなったから作るのである??

 トランスなんか自分で作る必要ない。たいてい、所望する規格のものは、標準品
として売っている。
 ACアダプタなんか、そこらへんに転がっているし、ジャンクを安く手に入れる事も
できるだろう。

 標準ではあまり見かけないような電圧や容量の場合は特注する事になる。
 特注といっても、秋葉原のトランス専門店で、入力何ボルト、出力何ボルト、
容量何VA、などと指定すれば、数日で作ってくれる。(作ってもらった事がある)
自分で作る手間と時間を考えたら、たとえ1万、2万円かかっても安いと思う。

 そんなわけで、まさか自分で作ろうなどとは、思いもしなかったのであった。

 なんで作りたくなったかというと、
    「著郎一藤北山 6方り作の械機氣電 クツブドンハ師技年少」
という本がきっかけである。
 (以下、「本」と言った場合、この本を示す)

 これは昭和4年の本で、モーター、変圧器、発電機の作り方が詳しく解説して
ある。その解説がとても丁寧で、そこらへんに転がっているような材料で作れる
ところに興味をひかれた。

 一応、参考までに目次を紹介しておく。漢字・仮名遣いは現代に合わせた。

 目次

  第一編 電動機の作り方
    第一章 磁石
    第二章 電動機の原理と構造
    第三章 一番やさしい電動機の作り方
    第四章 三極電動機の作り方
    第五章 抵抗器と逆転器
    第六章 交流用の電動機
    第七章 分捲電動機
    第八章 高級電動機の作り方

  第二編 変圧器の作り方
    第一章 変圧器の働きとその原理
    第二章 十ボルト変圧器         ←今回作るのはコレ!
    第三章 タップ付き二〇ボルト変圧器
    第四章 変圧器の大きさと出す電力の大きさ
    第五章 種々の大きさの変圧器の作り方

  第三編 発電機の作り方
    第一章 電気を起す方法
    第二章 発電機の原理
    第三章 磁石式発電機の作り方
    第四章 交流発電機の作り方
    第五章 電磁石式発電機の作り方

  付録・・・・・・電気の機械に使う言葉の解説


 くどい前書きだったが、とにかく作り始めるとしよう。


●2006年12月17日

 まず、材料を注文する事にした。
 鉄芯は空缶(スチール缶)を切り開いたものを使うが、巻線の材料である銅線と、
絶縁テープは買わないと揃わない。

 銅線だが、本にはエナメル線のBS24番と18番を準備するように書いてあった。
エナメル線は、小学生の頃に電磁石の実験やベルを作ったのを思い出すが、最近は
手に入りにくいようだ。
 そこで「ポリウレタン線」を使う。一般に、UEWという記号で呼ばれる。

 本にはエナメル線の規格が”BS”で記してあったが、現在は見かけない規格なので
直径を調べる必要があった。幸い、この本の28ページには、「B.S.標準軟銅線表」と
して、BS番号・直径・切口面積・1kmの目方・1kmの抵抗の一覧表があり参考になっ
た。
 これと、オヤイデ電気の「ポリウレタン系マグネットワイヤー」の商品ページにある、
「エナメル銅線諸数値表」とを見比べた。

 あとでよく考えてみたら、本の「B.S.標準軟銅線表」で直径がわかったのだから、
だいたい同じ直径の物を指定すれば良いだけのことだった。見比べてウ〜ンと悩む
必要なかった。何か、疲れていたらしい。

 BS24番は直径0.511mm、これはUEW0.5mmとした。
 18番は1.016mm、これはUEW1.0mmとした。

 それから、必要な長さだが、これも本に書いてあり、一次線輪は1000回巻で
約130m、目方は約300gである。
 店では目方売りなので、長さより目方で指定する。ちょうどオヤイデ電気には300g巻
が売っていた。

 二次巻線は100回巻で約16m、約130gである。やはり300g巻を購入する。
 私は10Vではなく12Vにしたいので120回巻くことにした。これでも300g巻で不足
することはない。

 なお、値段は、300g巻のいずれの太さのものも¥1,260だった。

 【写真1】 ポリウレタン線


 それと、1層ごとに絶縁テープを巻く必要があるので、ポリエステルテープも
注文した。幅は10mmのものを選んだ。

 【写真2】 ポリエステルテープ


 ポリエステルテープは、電気絶縁にすぐれているのと耐熱性があり、トランスの製作
に使われる。

 以上、ネット通販で注文したが、昔の人は郵便しか手段がなく、日数もかかった
だろうと思う。祈るような気持ちで送金したのかもしれない。

 さて、品物が届くまでの間、鉄芯と、ボビン(コイルの巻き枠)の準備をしようと思う。


●2006年12月18日

 休憩時間に、鉄芯の材料寸法や組み合わせ、そしてボビンの寸法などを
紙に書いて整理した。

 鉄芯は2種類の寸法の板を用いる。それぞれ、積み重ねて強く押しつけた状態で
40mmになるまで作るよう本に書いてある。
 つまり1枚0.5mmの板では80枚、もっと薄くなると、たとえば0.3mmの板では
133枚も必要になる。

 薄板の厚さがノギスで計りにくい場合、マイクロメータを使うと良いが、手元に
無かったので10枚重ねて計ったのを10で割った。

 板の寸法は、小さい方が60×25ミリ、大きい方は80×25ミリである。
 缶コーヒーの1缶を切り開くと、小さい方の板が6枚取れる。1枚の厚さは、およそ
0.3ミリだから、133枚必要になる。

 【写真3】 小さい方の板


 これを133枚、そして大きい方も133枚、さらにコイルを一次1000回巻き、・・・・・・
気が遠くなりそうな話である。

 小さい方の板が133÷6=約22本、
 大きい方の板は、どれくらい取れるか確認してないが1.5倍ぐらいは必要な感じがする。
すなわち、22×1.5=33本が必要になるだろう。

 缶コーヒーを1日に何本も飲んでいたら健康に悪そうなので、1本だけにしよう。
 約2ヶ月間、コツコツ集めれば材料が揃うだろう。

 夜に早速、缶コーヒーを5本買ってきて、1本だけ飲み、洗ってから切り開いてみた。
 金切ハサミは職場のものを借りたが、オンボロで、よく切れなかった。切れなくて、
切り口がひん曲がってしまった。やはり、新しい物を買ってくる必要がある。

 それと、もともとが円筒形の缶だから、切った板がどうしても丸まった状態になって
しまう。あとの積み重ねる作業を考えると、できるだけ平らにしたい。どうすれば、平らに
なるのか。
 積み重ねて、万力ではさめば平らになるだろうか?
 金槌でたたけば、平らになるだろうか?
 これは重要な課題である。

 ところで、缶コーヒーの缶を選んだ理由は、塗装やコーティングが施されているという利点
があるため。鉄芯は、鉄板を積み重ねて作るが、この1枚ずつが絶縁されている方が都合が
良いのである。
 わざわざ、1枚ずつニスを塗ったり、紙をはさんだりして組み立てるものである。

 鉄芯は、鉄のかたまりで作ってはいけない。「うず電流」で熱くなってしまうからである。
本には、そこまで書いていなかったので、「サテ?どういう理由だったっけ?」と、学生時代
の教科書などを探し回って調べた。
 そう、単に買ってきたトランスを使うだけなら、そこまで意識する必要も無かったのであ
る。学生時代に勉強して、それっきりだったのだ。

 本には、ブリキ板を使っても良いと書いてあった。石油缶や、お菓子の缶を壊して取れ、と。
できれば珪素鉄板(電気鋼板)を使うのが望ましいが、手に入らなければブリキで良い。

 個人的には、ブリキというのは、なにか気になる言葉だ。
 なぜだろうと思ったら、私の大嫌いな「暗黒生物G」をカタカナで表記した際の文字と75%
一致しているからだ・・・・・・。


●2006年12月19日

 朝からホームセンターに行き、金切ハサミを買ってきた。

 【写真4】 金切ハサミ


 これは先端が変わった形をしているが、まっすぐ切り進む時に便利そうなので
少々高かったが選んでみた。

 早速、缶コーヒーを1本飲み、洗ってから切り開いてみた。
 ウム、よく切れる。ヨシヨシ。

 ボビンの図面を昨日描いたので、その通りに板を切る事にした。
 板は片面プリント基板に使われているベーク板である。銅箔が除去された状態
のものが手元に多数ある。(プリント基板工場が、納品時に製品の保護用として
添付して来るため)

 ベーク板に鉛筆で線を引き、Pカッターで何度もスジを入れて折るようにした。

 【写真5】 いまいち。


 【写真6】 割れた。


 【写真7】 作り直し2回目、ダメ。


 2回目は慎重に、丁寧にやったつもりなのだが、良い出来とは
言えないものだった。トホホ。


●2006年12月21日

 昔の人を見習って、基本的に手作りで通すつもりだったが、
昨日の記事にあるように、どうも不器用でうまくできない。
 こういうのが上手な人はいると思うが、自分はどんなに丁寧にやっても
そのレベルまで到達するのは無理のようである。

 ボビンを手作りするのをあきらめ、CNCフライスで切り出す事にした。

 単純な形だから、CAD入力は5分ぐらいで終わった。
 カドに丸みをつけたり、線を通す為の穴をいくつか設けた。

 当然だが、加工した部品はキレイな断面で、板同士の当たりも良く、
ピッタリ組み立てる事ができた。

 【写真8】 組み立てたボビン、接着剤の乾燥中


 早くコイルを巻きたくてしょうがないが、失敗しないためには、あせっては
いけない。一晩、接着剤が乾くのを待つのだ。

 缶コーヒー(ホット)を買ってきて一服した後、その空き缶を切り開いて、
小さい方の板を6枚作って今日の作業を終えた。


●2006年12月22日

 本には、一次線輪を1000回も巻くと書いてある。最初は、とてつもない大事業
のように思えた。それと同時に、やりがいも感じた。

 昔の人(とくに本の読者層である中学生ぐらい?)は、本当に作ったのだろうか?と
思った。今みたいにテレビも携帯もなく、ゲーム機もないから、コツコツやっていたのか
もしれない。

 やはり巻線器は必要と考えられる。巻いている途中で数字を忘れてはいけない
から、カウンターを付ける必要がある。それならば、ダ○ソーで買った歩数計に、
リードスイッチと磁石を組み合わせて実現できないか、などと考えていた。

 休憩時間に、巻線器の絵を描いて構想を練っていた。リ○ビタンの空き箱なんか
ちょうど使えるかもしれない。おそらく今後、巻線器が必要になるほど自作はしない
だろうと思われる。それなら木で作らないで紙の空き箱で十分だ。

 簡単に、こちら側にポリウレタン線のボビンを、棒に通してやって、あちらに、
28ピンのDIPのICが入っていたスティックにボビンを通す。カドがひっかかるから
ちょうど良い具合になる。このスティックを切って、直角に取り付ければハンドルに
なる。
 そうそう、軸が抜けないように爪楊枝を差して、抜け止めをしなければ・・・などと
考えていた。

 何やかんや考えていたら、オヤイデから荷物が届いた。材料が入っている。

 ウーム・・・・・・・・・ヨシ、巻線器なしで巻いてみよう!と決めた。
 考えた結果、手作業でコツコツ巻いていったほうが簡単だと判断した。

 最初に、ボビンに紙を巻く。
 なぜかというと、板の切り口のカドがたっていて、そのまま巻くと線を傷つけて
絶縁がやぶれるおそれがある。

 【写真9】 材料が入っていた紙袋。たぶんクラフト紙というやつだろう。


 【写真10】 紙袋をボビンの幅に切って、巻き付けた。


 いよいよ一次巻線を巻く作業に取りかかる。
 引き出し線にチューブを通し、ボビンの穴から外に引き出した。

 端から丁寧に、確実に、線を詰めて並べていく。

 簡単に「巻くだけ」と言うが、実際にやってみると簡単ではない。

 詰めて巻こうとしているのに、微妙にずれてきたりする。
 とくに端の方が難しい。上の層になるほど、下の層のでこぼこが
累積してきて、巻きにくくなる。

 いったい、何層巻くことになるのか計算してみたが、実際には計算通り
にはいかなかった。
 直径0.5mmの線で、ボビンの長さが50mmだから100回だろうと、
ところが実際には87回だった。

 1層分を巻き終わったところで、実は「裸線」だった、というオチがない
だろうな?と、突然、疑問を感じたのでテスターで導通を調べた。
 結果、問題なし。ホッとした。

 とにかく丁寧に確実にやる。
 いい加減に巻くと、上の層を巻くときに巻きにくい。端から詰めて巻こう
としているのに、でこぼこのためにズレてしまう。

 こういう作業をすると、その人の性格がわかるかもしれないと思った。
 途中で投げ出してしまう人、キッチリ機械のように巻く人、ゴチャゴチャに
巻いて途中で破綻する人、ゆっくりだけどコツコツ何日もかけて仕上げる人、
・・・・・・。

 私は、とにかく結果を急ぐタイプだな。巻線器を作る手間を省いて、とにかく
巻き始めたぐらいだから。だけど巻き方は丁寧、最後まで仕上げる。
 こういう作業を始めると、止まらないタイプ。

 【写真11】 1層ごとにポリエステルテープを巻いて絶縁する。


 ポリエステルテープを、半幅重ね巻き(半分の幅だけ前に巻いたテープに
重ねて巻き進んでいく事)した。

 昼の一時間で3層、258回を巻き終えた。これで4分の1、意外に早くできる
かもしれない。見通しが立った。

 巻き方の工夫ができないか、いろいろ姿勢を変えながらやっていた。
 左から右に巻くときと、その逆方向では姿勢を変えてみたり。

 線でこすれて、指の皮が少しむけてしまった。

 それから、気になっていた鉄芯の材料の曲がりを直す件、
とりあえず思いついた方法を試す事にした。

 【写真12】 材料をセットした。            【写真13】 ギュウ〜〜〜
 

 【写真14】 いっぱいにしめこんだ状態で、このまま月曜まで放置しておく。


 この状態で、万力をゆるめるとやはり元のようにブワーッと広がった状態になる。
 たぶん月曜になっても同じかもしれないが、今のところ、他に方法を思いつかない。
 あとは、バーナーであぶってみるとか、金槌でたたき続けるか。
 板金に関しては、何も知識がない。勉強したり、試行錯誤するしかない。

 それにしても、今までに切った板は、まだ40ミリにも届かないのか。
 写真14では、5ミリぐらいしかないのだ。

 夜に、巻き線の続きを行った。

 1層分終わるごとに巻き数をメモしておいたので、参考までに書いておく。
 ()内は、ひとつ前の層との差

   1層目 87回  (0)
   2層目 171回 (84)
   3層目 258回 (87)
   4層目 340回 (82)
   5層目 421回 (81)
   6層目 505回 (84)
   7層目 590回 (85)
   8層目 674回 (84)
   9層目 766回 (92)
  10層目 853回 (87)
  11層目 943回 (90)
  12層目 1000回 (57)

 【写真15】 一次線輪を巻き終わった。


 このまま、最後まで完成させてしまうか?

 一次線輪の上にポリエステルテープを巻き、さらにクラフト紙を巻き、またその上に
ポリエステルテープを巻いて、絶縁を確実にした。

 【写真16】 半田台を流用した。


 ボビンを置いたまま線を引き出すと、よじれてきて作業がやりにくい。そこで、
半田台に材料のボビンを取り付けてみた。寸法もピッタリ合って、調子が良い。

 ちなみに写真16に写っているのは、2次線輪に使う直径1.0mmの銅線で
右側に置いた半田と同じ直径である。

 直径1.0mmでも結構固くて、巻いていくのに力が必要である。ピッタリ詰めて
巻いていくのが難しい。曲がりを直しながら巻いていくのが大変だった。

 二次線輪は・・・
   1層目 43回  (0)
   2層目 84回  (41)
   3層目 120回 (36)

 深夜1時過ぎ、ようやく巻き終わった。

 【写真17】 二次線輪まで巻き終わり。


 この上に、さらに紙とテープを巻いて完成とした。


●2006年12月23日

 巻き線1000回なんて大変だろうと思っていたが、意外にそうでもない。
 終わってしまえば、あっけなかった。
 別に、難行苦行ではなかった。

 巻き線が終わったので暇だ。

 疲れていたので昼間も寝ていて、午後遅くなってから起き出した。
 外に出た時に郵便受けをのぞいたら、先日、注文しておいた本が届いていた。

 同じ「少年技師ハンドブック」シリーズの、「電気器具と電池の作り方」だ。

 この本は、もっと過激である。
 「第五章 インダクション・コイルの作り方」

 インダクション・コイルというのは、中学の理科の実験で記憶にあるかもしれない。
 誘導コイルと呼んでいたと思う。黒くて細長いコイルで、上に放電極が付いており、
そこに火花が飛ぶやつだ。あのイカすヤツを作ろうというのだ。シビレる。

 さて作り方は?と、読み進めたところ・・・

 > 二次コイルは、BS第三十六番のエナメル線を二八〇〇〇回(長さにして
 > 約二六〇〇メートル、目方にして約三五〇グラム)である。

 28000回!

 間違いではない。
 アッサリ、そう書いてある。

 1000回どころでビビっていてはイカンのである。
 半端ではないのである。

 さすがに、簡単な巻き線器を作り、ハンドルを回して巻くような事が書いてある。

 これだけじゃない。

 この本には、鉛バッテリーや乾電池の自作まで書いてある。
 薬屋で必要な薬品を買い集めるところから、鉛を溶かして型に流し込み、電極板を
作ったりしている。

 今の時代、そこまでする必要はないだろうが、当時としてもやっている事はとても
レベルが高いのではないだろうか。

 この「少年技師ハンドブック」は、シリーズ20巻なのだが、身の回りにあるものは
何でも作っているような勢いである。

 なかでも13巻は、「特許の受け方と法規集」・・・・・・内容は見たことがないが、
少年技師としてはレベルが高いのではないだろうか。

 もうひとつ、巻末に「子供の科学代理部」の広告が載っているのだが、笑ったのが
「頭脳の素晴しく良くなる メモリーバンド

 【写真18】 写真付きである。


 ・・・・・・これって、あの・・・エ○ソンバンドじゃないの・・・。


●2006年12月24日

 1.思い出

 子供の頃、エナメル線を入手するには古いテレビを拾ってきて壊した。偏向
コイルや、トランスをほぐして、手に入れたものである。
 昔のテレビには、でっかい遅延線(コイル)が使われていて、これは結構たくさん
エナメル線が取れた。

 そうして手に入れたエナメル線を、配線に使ったり、ラジオのコイルを巻いたり、
あるいは空中に長く張って、アンテナにした。

 電話ごっこ(自宅には中古のダイヤル電話機が何台かあった)をする時の配線
にも使った。普通ならビニール線や平行線を使うべきだが、それよりエナメル線
のほうが比較的、豊富に手に入ったからである。

 そういえば、一番最初に手に入れたのは、スピーカーにくっついていた出力
トランスのコイルだったと思う。どういうわけか、うまい具合に巻き線が回る状態で、
線を引っ張り出して使いやすかった。

 エナメル線の皮膜をはがすのは、ナイフの先や、紙やすりでこするのが普通だが、
私は道具がなかったのか、横着だったのか、歯でくわえて皮膜をはがすことが
多かったと思う。

 確か、モーターも作ったっけ。
 モーターといっても簡単なもので、磁石とゼムピンと巻き線だけでできるもので
あった。マッチ箱にエナメル線を巻いて、巻き線を作る。確か針金を渡して、回転
軸にして支えたと思う。
 ゼムピンは曲げて輪っかを作り、回転軸を支えるように2セット立てた。これが
巻き線に電流を伝える整流子の役割も果たしたと思う。
 巻き線のエナメル線は、回転の状態によって導通したりしなかったりするように、
半分の面だけ皮膜をはがしたような記憶がある。

 不器用ながらに一生懸命作って、最初は全く回らなかったが、色々いじっていく
うちに、磁石の場所を微妙に調整してから軽く手で回してやると、コロコロコロ・・・
と、頼りないがとにかく回転するようになって、とても嬉しかったのを覚えている。


 2.エナメル線

 現在は、エナメル線は入手しにくくなり、ホルマル線か、ポリウレタン線が一般的に
なっているようだ。

 ホルマル線は、PEWと呼ばれ、ポリウレタン線(UEW)より耐熱性が高い。ポリウ
レタン線は130℃、ホルマル線は155℃である。
 今回は、ポリウレタン線を使ったが、トランスの仕様により耐熱性が要求されれば、
ホルマル線を使う事になる。


 3.今日の活動

 今日は夕方近くに、ホームセンターで色々買い込んだ。
 主に鉄芯を締め付けて固定するためのL金具、ボルト、ナット、ワッシャーである。

 L金具は、「曲板 黒 No.60 L−120B」というもので、八幡ねじの製品だ。
これを4個用いて、鉄芯を両サイド・両面から締め付ける。
 ボルトは首下長さ65mmのものを4本買った。

 【写真19】 L金具     【写真20】 ボルト・ナット・ワッシャー
 

 近所のホームセンターは、この前、改装してからレイアウトがだいぶ変わったが
内容的にも変化があった。ねじ類のバラ売りコーナーが充実している。
1本1本まで値札を付けられないので、近くに備え付けの用紙に、単価と数量を書いて
レジに持っていくようになっている。


 4.今後の予定

 巻き線は終わったし、固定用の金具や端子台も揃えた。
 あとは、缶コーヒーを毎日飲みながら、鉄芯の材料になる板を、ひたすら集めていく
だけとなった。

 はっきり言って今後は、ネタに困る(笑)。
 「今日は缶コーヒーを2本飲んで、板を12枚集めました」 ぐらいしか書けない・・・(^_^;)


●2006年12月25日

 1.予定(2006年12月24日記)

 今日も缶コーヒーを飲んで、切り開いて板を6枚作った。
 いままでの合計●●枚

 2.実際

 先日から、万力にはさんでおいた材料をチェックした。期待通りに、ペッタンコになっ
ているか・・・?
 万力のネジを徐々にゆるめた・・・・・・ブワッ!・・・広がった、ダメだった。

 雑草がアスファルトを突き破って花を咲かせるというではないか!じわじわと長期間に
わたって力を加え続ければ、変わりそうなものなのだが。雑草パワー敗れたり。

 チクショーメ。

 あと、可能なアクションとしては何があるか。金槌でたたくのはもうやった。ローラーが
無いのでローラーにかけるのは、やってない。自動車で踏みつけてみるというのは考えて
いる。

 ガスバーナーであぶってみる、というのをやってみた。
 バーナーが無いから、ガスコンロで・・・先細のペンチで板をつかんで、あぶってみた。

 最初、表面の塗装やコーティングが炎を上げて燃えた。黒煙が出た。
 間もなく、一部が真っ赤になった。しかし、全体が真っ赤にならない。

 よく見ると、このガスコンロは、ノーマルとターボがある。いや違った。ノーマルと、
ハイカロリーバーナーがある。いま使っていたのはノーマルだった。

 ハイカロリーで程良く焼き上がったが、まるで焼け跡のトタンの切れ端だ。
 もとの缶コーヒーB○SSの面影は全くない。

 【写真21】 焼け跡のトタン?


 焼け跡のトタン・・・バラック・・・・・・あ〜かい〜りんごに〜

 これはテストピース(切れ端)で、火であぶる前にあらかじめ、適当に折り目を
付けておいた。焼いた後に万力ではさんで、ペッタンコになれば成功、というわけ。

 さて万力にはさんでみたが・・・1枚だけというのは、はさみにくくて、いまいち
結果がハッキリしないが、うまくいったような感じだ。
 今度は、本番という事で5枚か10枚をいっぺんにはさんでみる事にする。
これがうまくいけば問題解決。

 火であぶるのは、「焼きなまし」という方法なのだろう。内部のひずみを取り除き、
組織を軟化させる。つまり、柔らかくなって加工しやすくなる。ナルホド。
 焼く前と後では、確かに柔らかくなったような感じがする。焼く前は、曲げようとすると
反発していた。

 焼きを入れるとか、焼きが回るとか言うが、焼きなましとは違う。しかし、いずれも
刀鍛冶に由来する言葉のようである。

 これで工程が増えたな。

 1枚ずつガスコンロにかけて・・・・・・塗装がはがれたから、1枚ずつニスを塗って
組み立てなければならない。表面が酸化しているので導通しないと思ったが、
テスターで確認したら導通したので、絶縁と錆止めを兼ねて、ニス塗りが必要。

 1枚ずつガスコンロにかけるのが面倒くさい。
 盛大に、たき火をしてその中に空き缶をたくさん放り込めば、ラクじゃないかと思った。

 いま住んでいる場所では、そこらへんでたき火をするとまずい。
 以前、近所の農家の人が畑でゴミを燃やしていたら、煙を見つけたのか、消防車が来て
怒られていた。ちょうどデジカメを持っていたので写真をカシャリ。

 小学生の頃、海岸でキ○チョールを爆発させて楽しんだのを思い出すなあ。

 現在のように、ゴミ処理がうるさくなかった頃で、よく海岸でゴミが燃やされていた。海岸に
遊びに行くと、たいてい何か燃やしていたりして、その中に殺虫剤の缶を放り込んだら、
離れた場所か、物陰に隠れて見守るのである。

 しばらくすると、ものすごい音をたてて火柱が上がる。
 缶の底の部分は、ドーム状にへこんでいるものだが、これが「反転」して、吹っ飛んでいた。

 ド迫力!!!!!!!!

 ところが、そうやって楽しみに見守っている時に限って、大人がやってくるのだった。
あぶないです、近づかない方がいいです、と必死で止めようとするのだが、大人は、何が?
という感じで受け付けない。
 理由なんか言えるわけない。とにかく立ち去ってくださいと・・・。

 モタモタしているうちに、ドカーン!と・・・コラッ!!!!
 ムチャクチャ怒られた。でもスリリングなのでやめられなかった。

 こういう危険な遊びは、大人になったら、やりたくてもできない。やっちゃいけない。やはり
子供のうちに思いっきりやって、「発散」しておくべきではないかと思う。(をいをい)

 (良い子は真似しないように)

 今日も缶コーヒーを1本飲んで、切り開き、小さい方の板を6枚作って終わりにした。
 これで、これまでに作った小さい方の板、合計36枚。


※しばらく、缶コーヒーを1日1本飲みながら、板を集めていく日々となる・・・。
 ネタは続くのか?


●2006年12月26日

 1.金属の性質

 私は金属に関する知識は無いに等しいが、どうやら「焼くと性質が変わる」のが実験で
確かめられた。

 缶を切り開いたままでは、曲げようとしても反発があり、きれいなペッタンコの板にするのが
困難だ。しかし焼くと柔らかくなり、万力などでギューッと押しつぶせば、ペッタンコになりそうな
感じがした。

 先日は、切れ端を焼いてテストした。せっかく切った板が台無しになったら困るからだが、
どうやら大丈夫のようなので、今日は6枚焼いてみた。

 表面の塗料が燃え切って、全体が真っ赤になるまで加熱した。

 【写真22】 B○SSが萌え燃えている

 ※フラッシュを使ったら、ガスの炎が写らなかった。

(ひとりごと)
 こんなガスコンロじゃなくて、盛大に焚き火をして、いっぺんにやりたいが・・・。
 年越しのドサクサにまぎれて、派手に焚き火をしてやるか?
 それとも、餅を焼く網に載せて、じっくり時間をかけて焼くか?


 【写真23】 確かに性質が変わっている。


 冷却は、水につけるような事はしなかった。火から離して、そのへんに置いて
自然に冷えるのを待った。

 曲げてみると、コキコキッ、という感じに折れやすくなった。しかし、もろくなった
わけではないようだ。
 何だろう、この、コキコキッという感触は・・・曲げる力に対しては、素直に曲がる
ようだが・・・。

 とにかく、これでペッタンコになれば、OKだ。
 ひたすら缶コーヒーを飲んで、缶を切っていく。

 やはり表面には絶縁と錆止めを兼ねて、ニスを塗る事にした。ちょうど手元に、
以前ダ○ソーで買ったのが転がっている。

 2.今日

 今日も缶コーヒーを1本飲んで、小さい方の板を6枚切った。
 この缶コーヒーを見るだけで、なんか、胸がムカムカしてきた・・・。

 これまでに作った小さい方の板、合計42枚。

 それと今夜、先日のテストピースを万力にはさんでおいた。1枚だけだと、はさみ
にくかったが、当て板(ベーク板を利用)2枚にサンドイッチにした。
 明日の朝が楽しみである。

 3.本の筆者について

 本をよく読んでみると、変圧器やモーターの材料は、「子供の科学代理部」で売って
いたようである。あの、切るのが難しそうなモーターのコアの板も・・・。

 面白いのは、本文に何カ所か、「子供の科学代理部で売っている」旨を書いて
いながら、何度目かに、「提灯持ちはこれくらいにしておこう」と書いていることである。

 さて、筆者は、本当にこのトランスを作ったのか?

 【写真24】 「モーターと変圧器の作り方(山北藤一郎著)」より


 「電気機械の作り方」のものとはタップが出ている所が違うが、同じようなもの
である。確かに、作られていた。

 筆者の山北藤一郎氏は、芝浦製作所(現在の東芝)の技術者であった。「モーター
と変圧器の作り方」の1ページに、「私は、自分自身芝浦製作所に勤務しているその方の
専門家の端くれに属する人間でありますので、・・・」と書いてある。

 「おとなの工作読本No.8」(念のため、これは2005年の本)の、80ページに写真が
載っている。「自宅の庭で、電気機関車を線路にのせる藤一郎」と題した写真だが、
しゃがみこんでニコニコしながら、電気機関車をいじっている姿が実に嬉しそう。

 4.トランスについて

 実は、トランスの製作を始める前に、実際のトランスはどのような構造になっている
のかと思い、2個ほど壊してみた。
 鉄芯はギッシリ押し込んである上に、ワニスでガチガチに固めてあるので、金槌で
コツコツと時間をかけながら叩いてほぐし、鉄芯を1枚ずつ抜きながら分解した。

 【写真25】 鉄芯の1組分

 これは電気鋼板(珪素鉄板)で作られていると思われる。アルファベットのE(イー)と
I(アイ)に似ているのでEIコアと言うのではないかと思うが自信がない。

 なんだ?空き缶を切らないでこれをとっておいて使えば良かったじゃないか、という
方もいらっしゃるでしょうけれど、あえて使わなかった。
 解体する時に、ひしゃげてしまって使えないのも多かったけれど、それよりも、材料を
自前で調達して作るというのが目的のひとつだったから。

 【写真26】 柱上変圧器の内部

 これはめったに見る事ができないと思うが、電柱の上に載っている変圧器の内部で
ある。

 このように冷却&絶縁用の油に沈めてあり、よく見ると電圧の切り替えタップがある。

 10年ほど前に、電気工事士の勉強をするために職業訓練校に通っていた頃に撮影
した写真である。実習のときに、フタをあけたついでにカシャリ。


●2006年12月27日

 今日は帰宅が遅くなってしまったので短めに。

 ここで改めて振り返ってみるが、鉄板をペッタンコにしたい理由は、鉄芯を組み立てる
時に、フワフワしていたら作業できないのではないか、と思った為。

 1層ごとに、鉄芯の組み合わせを変えながら積み上げ、組み立てていく。
 フワフワしていたら、積み上げていくうちに崩れやすくなるのではないか?

 ちょっと触ったら崩れた、というように、なりそうな気がする。

 崩れないように、ピッタリ合わせて組み立てるのはどうしたら良いか。別の本にやり方
が書いてあった。木などで囲んだ枠の中で、積み上げていく。なーんだ、と思ったが、
これくらい自分で工夫して考えつかなければならないな。

 最後にL金具ではさんで、ボルトで締め込むわけだが、このときにギュッと締まって
くれれば問題ない。(ゆるいと、唸ったり、振動したりする)

 昨日焼いた板を6枚重ねて万力にはさんでおいたが、強めに締めておいたのに
数時間後にゆるめてみたら、ブワッと広がってしまった。
 1枚ずつやらなければならないのだろうか?早速、1枚はさんで一晩置くことにした。

 それより、実際に積んで確認したらどうかと思った。
 現状、小さい板しかないので”コ”の字になるが、実際には”つ”のような形を交互に
組み合わせたようになる(言葉で表現するのは難しい)。

 【写真27】 なんかダラダラした感じ。


 【写真28】 フワフワしている。            【写真29】 崩れている。
 

 なんか、力が抜けそうだが・・・。

 これらを囲むような「枠」の中でやれば、きれいに揃えられるはず。
 そして、コの字の真ん中をタコ糸で縛るか、クランプでしめれば、崩れなく
なって以後の取り扱いが容易になるものと思われる。

 今日は缶コーヒーを1本飲んだが、色々忙しくて洗うところまでしかできず、
明日の分と、まとめて切る事にする。


●2006年12月28日

 昨日の空き缶を切って、小さい方の板を6枚作った。
 これで、今までの合計が48枚となった。
 クランプにはさんで、ギュッと締め込んだ状態で厚さ約1cm。

 まだまだ先は長い。

 【写真30】 ノルマ、あと14本 ・・・・・・ ゲ〜ップ

(但し、小さい方の板の分)

 先日、空き缶入れをのぞいたら、同じ銘柄の空き缶が結構入っていた。
 これを集めてくれば、もっと早くできるかもしれない。

 でも、汚いし、私の嫌いな暗黒生物Gが潜んでいたら最悪。

 それに、趣味でやっていることだから、時間をかけるほど楽しみも
持続すると思う。あっけなくできたら面白くない。これが最大の理由。

 それで、拾わないことにしている。


 話は変わるが、真空管ラジオを作りたいのに、トランスが入手困難な
頃があった。今から10数年前のこと。
 いや、秋葉原などでは入手できたかもしれないが・・・私は地方に住んで
いるし、インターネットもまだ普及していない頃で、雑誌の広告だけが頼りだっ
た。

 真空管ラジオやテレビがよく捨ててあったのは、私が小学生の頃だった。
あの時に真空管だけ抜いて保存していたが、他の部品も気を利かせて取って
おけばよかったと思う。エアバリコンは、ゲルマラジオを作るためにいくつか保存
していた。
 しかし、トランスはひとつも持っていなかった。

 実際には、トランス無しでもラジオを作る事は可能である。文字通り、トランスレス
という方式である。

 しかし、そのためにはトランスレス用の真空管が必要になる。たとえば5球スーパー
なら、その5本のヒーターを全部直列につないで(パイロットランプも直列にしていた
かもしれないが)、ちょうど100Vになるようなヒーター電圧の真空管を選ぶ必要が
あった。
 もっとも、ヒーターは6Vぐらいだから、それだけトランスから得るようにすれば、
汎用品のトランスが使える。

 200〜250Vぐらいの電源電圧は、倍電圧整流回路を使えば得られる。
 ダイオードとコンデンサを組み合わせれば、容易に実現可能である。
 なお、ダイオードとは現在では半導体のダイオードを意味するが、もともとは
真空管の2極管がそう呼ばれていたという。
 全て真空管で構成したいというこだわりがあれば、半導体ダイオードは使えないだ
ろう。

 結局、売ってないとか、通販で注文するのも一仕事とか、金がないとか、色々あって
1998年頃に、ようやく5球スーパーを作った。
 古美術屋で、ボロボロの真空管ラジオを手に入れたのがきっかけで、トランスは良い
状態だったので使えた。


 なんというか、売ってないからとか、手に入らないからあきらめるんじゃなくて、自分の
力で何とかできないかという、努力や創意工夫が大切だと思う。昔の自分は、そういう
考え方が不足していた。

 キットを作ってうまくいくのは当たり前で(でも初心者の頃はなかなかできなかったもの
だが)、何もないところから作り出して、成功する方がずっと充実するはずだ。
 自分で工夫して作る事、アマチュア精神というのは、これからも大切にしたいと思う。


☆板を平らにする件について、掲示板にて皆様のご意見・アドバイス等、
 この場を借りて感謝申し上げます。
 ご意見を取り入れつつ、色々考えて、試行錯誤中です。


●2006年12月29日

 「変圧器の作り方」と銘打っておきながら、作るために必要な情報を開示していない
ことに気づいた。そこで、近日中に図面などを公開する予定。

 それから、これを見て作るのは自由だが、危険が伴う事も明記しておく。自己責任で
あることに注意されたい。
 いまのところ私は、空き缶を切る工作をしていてケガをしていないが、何度か、ギリギリ
危ない時もあった。切り口が鋭くとがったりするし、切りくずの処理もきちんとしなければ
ならない。
 必要な板を全部切りだしてしまうまでの間、たぶん1回はケガするのではないかと思う。
(覚悟している)

 そして実際に作り上げたトランスが、何ら安全性が保証されるものでない事にも注意し
なければならない。必ず、監視・管理された条件下で使うべきである。
 現代は世知辛いので、こういう文面を書いておかないといけないのが辛い。

 今朝、缶コーヒーを1本、ヤカンの熱湯で暖めてから飲んだ。うまかった。自販機のは
ぬるい感じがする。変質を避ける為の温度調整というのがあるのかもしれないが?

 初めて、大きい方の板を6枚切ってみた。小さい方の板と同じ、1缶から6枚取れる。
 缶を切り開いた状態で測ったら、寸法的にギリギリで、6枚のうち1枚は一部が欠けて
いる。
 もっと、いっぱいまで材料を切り出すように努めたい。

 大きい方の板を切ってみた理由は、鉄芯の組み合わせを試す為。

 昼間、ホームセンターに出かけて道具を揃えてきた。空き缶を切り開く前に、飲み口の
部分を切り抜いた方が作業しやすいが、自宅には缶切りがなかったので安いのを買って
きた。これは昔からデザインが変わらない。昔の家にあったのとほとんど同じ。駄菓子屋に
あったのもこれと同じだったかもしれない。3徳というやつで、缶切り、栓抜き、あとひとつ、
これは何という言葉で表現するのか知らないが・・・コルク抜きじゃなくて、栓抜きのように
くわえこんで穴をあけるやつ。

 そういえば、缶切りも栓抜きも活躍しなくなって久しい。いま、ほとんどの缶詰は、ツマミを
ひっぱって開けるようになっている。

 缶入り飲料も、私が子供の頃には、「穴をあける道具」がくっついていて、それで缶のフタに
2カ所(ひとつは空気が入る穴、もうひとつは飲み口となる)穴をあけていた。
 その後、プルタブ式になった。これは、ひっぱってはずす方式だったので、よく道ばたに
落ちていたが、現在の方式になってから全く落ちていない。

 おっと、そうだ、プルタブのほかに、2カ所のボタン?ポッチ?のようなフタを指で押して
あける方式もあった。これは、そのフタが缶の中に落ちて誤飲するという問題があって
無くなったと思う。

 話が脱線してしまったが、鉄芯の組み立て方については、板をペッタンコにするのが
課題だった。現状できるのは、手作業で板をできるだけまっすぐにするぐらい。

 板がフワフワして組み立てにくい事に対しては、万力ではさみつつ、板を組み立てて
いったらうまくいくのではないかと考えついた。
 完全に締め込まないで、ある程度ゆるくしておく。バラけない程度に。
 そこに、組み合わせる板を1枚ずつ差し込んで、締めたりゆるめたりして、組み立てを
進めたらどうか。

 大きい万力をひとつ、これを基本として、他に小型のクランプを2個ほど使って、できそう
な感じがする。
 大きい万力で下の部分を、小型のクランプを左右それぞれ一つずつで締める。


●2006年12月30日

1.寸法など

 一応、「変圧器の作り方」なので、遅くなったが材料の寸法などを掲載しておく。

 【図1】 鉄芯の材料 (イ)大きい板、(ロ)小さい板 の寸法


 【図2】 鉄芯の組み合わせパターン(甲)  【図3】 同、(乙)
 
 1層ごとに、甲・乙のパターンを繰り返して積み上げていく。
 巻き線のボビンを差し込むために、上があいている。ボビンの取り付けが済んでから
(ロ)の板を上に差し込む。

 大きい板、小さい板、それぞれ厚さが(ギュッと押しつけた状態で)40ミリになるまで
作るというのは、1層につきそれぞれの板を2枚ずつ使って、最終的には厚さ20ミリ
にするためだ。


2.今日の作業

 今日は1本飲んで、小さい板を6枚作った。
 大きい板を切ろうと思ったが、缶を切り開いた状態で寸法が微妙に不足していた。
 上手に切れば、大きい板を6枚切り出せるのだが!

 それと、缶コーヒーの備蓄を増やした。

 【写真31】 B○SSタワー ・・・・・・ ゲ〜ップ〜〜〜


 見るだけで胃がムカムカする。

 これまでに作った小さい板、合計54枚。
 大きい板は増加せず、合計6枚のまま。


3.今日の負傷

 昨日、ケガに注意とか何とか書いたような気がするが、早速、ケガした。

 【写真32】 鋭くとがった部分に注意!


 缶を切っている途中で、切り口がずれた時に、よくこのような鋭い部分ができる。
 これを取り除こうと、指先でゴネゴネやっている時に、うっかり刺してしまった。
 ピンセットやペンチで扱えばケガしないのに、横着してしまった。


4.缶の構造

 缶の構造なんて、普通は意識しないものだ。その必要もないし・・・。
 今回は、缶を切って材料にしたので、気づいた事がある。

 【写真33】 かしめ部分

 上フタの部分はアルミで、胴の部分はスチールでできている。
 写真33は、その合わせ目(かしめ)の断面を撮影したものである。

 じつは、この部分がハサミで切れないので、避けて切らなければならない。
 ギリギリに切って、極力、材料を少しでも多く取りたいが・・・。
 切りにくい部分である。


●2006年12月31日

 今日は、缶コーヒーを朝・夜で2本飲んだ。
 小さい方の板を12枚作った。今までの合計66枚。
 クランプで締め込んだ状態で、厚さは約14mmである。

 空き缶の再利用というと、昔のブリキのおもちゃを思い出す。
 小学生の頃、ダイヤルを回すとチリンチリン鳴る電話とか、ロボットを開けてみた
ことがある。電話の底板の内側には、ミカンの缶詰の印刷があって驚いた。
ロボットも同様だった。

 大量生産的には、同じ材料をたくさん揃えないといけないだろうに、同じミカンの
缶詰の空き缶ばかり手に入ったのだろうか、と思う。

 私が今やっている事は、わざわざ同じ銘柄の缶コーヒーをたくさん買ってきて
毎日1〜2本ずつ飲みながら材料を確保している。材料を同じ厚さで揃える必要が
あるからだ。

 ひょっとしたら、スチール缶はみんな同じ厚さかもしれないが・・・同じ銘柄で揃えた
方が無難なので現状のまま進めていく。


●2007年1月1日

 今日も、缶コーヒーを朝・夜で2本飲んだ。味に飽きてきた。

  ・小さい板を6枚作った。
   今までの合計72枚
   クランプ厚さ約15mm

  ・大きい板を5枚作った。
   缶を切り開く時に斜めになって1枚分を損した。
   今までの合計11枚

 地味に進行中・・・・・・


●2007年1月2日

 最新の記事が先頭に来るようにすれば良かったなァ・・・(何を今さら)。


1.鉄板を平らにする問題

 さて現状、鉄板を平らにする問題については、手で曲げて、ある程度平らにしたら、
それで良いのではないかと考えている。
 あとは、組み立て方法を工夫すればできるはず、という見通し(甘い?)。

 クランプで締めながら組み立てていく。1層分を追加する時は、くずれない程度に
ゆるめて、板を差し込んでいけば良いだろう。あとは、その繰り返し(で、大丈夫の
ハズ)。

 全部の層を重ね終わったら、L金具とボルト・ナットで左右を締め込む。
 (完璧なシナリオの、ハズ)

 ・・・・・・ところが、手元のクランプがその分の幅に足りないが・・・半分ずつ作る?それとも
工程を考え直す?考え中・・・


2.今日の進捗

 材料をうまく切り開いたので、大きい板を6枚作ることができた。今までの合計17枚

 今後は、小さい板と大きい板を交互に作っていき、鉄芯の組み立てを進めて
いけば良いと思う。小さい板なら小さい板ばかり作らないで、板を切ったらすぐに
組み立てに回す。そうすれば、少しずつ完成に近づく様子が見えるので、やる気が
増すと思う。


3.ボビンの寸法

 ボビンの寸法図を載せていなかったので、図4及び5に示す。

 【図4】 上板及び下板(同じ物を2枚作る)     【図5】 「筒板」
 
 材料は1.5ミリ厚のベーク板とした。
 私は2ミリのエンドミルを使い、フライスで切り出した。

 図4の中央の角穴、カドに○が4つあるが、これはカドを補正する為の穴加工である。
 エンドミルで内角を加工するとカドが丸くなって、「筒板」をはめ込む事ができない。
 そこで、カドに穴をあけることによって、カドが直角に切れたのと同じ効果を得る。

 外形のカドのRは、実際いくつにしたか忘れたが適当な数字で良いと思う。好みで。
 リード線を通す穴は、エンドミルに合わせて2ミリで統一した。
 いくつもあけているが、適当にあけただけで、実際には全体で4点しか使ってない。
 将来、何か使えるように、予備という事で。

 図5の「筒板」としている板は、上板と下板の中央の角穴に合わせて、互い違いに
組み合わせてはめ込むようにする。最初はきつくて入りにくかったが、何度か
いじっているうちにピッタリはまった。
 ピッタリはまったら、多少いじってもはずれない。まっすぐになっている事を確認して
瞬間接着剤を流し込む。


●2007年1月3日

1.進捗

 今日も缶コーヒーを1本飲んだ。ゲプー。
 大きい板を6枚作り、今までの合計23枚

  そろそろ鉄芯を組み立てたいが、休みも明日までで、また多忙な日々が始まる。
 どんなに忙しくても、毎日一歩ずつでも前進しようと思う。

2.「少年技師ハンドブック」について

 少年技師ハンドブックは、昭和初期から発売された20巻のシリーズである。
 そのタイトルのみ、参考までにリストを掲げておく。漢字、仮名遣いは現代に直した。

    ( 1)電気機関車と電車の作り方
    ( 2)科学玩具の作り方
    ( 3)モーター利用模型と実用品の作り方
    ( 4)蒸気利用模型と実用品の作り方
    ( 5)家庭実用品の作り方
    ( 6)電気機械の作り方
    ( 7)軍艦汽船の作り方
    ( 8)飛行機航空船の作り方
    ( 9)やさしいラジオの作り方
    (10)高級ラジオの作り方
    (11)カメラと映写機の作り方
    (12)望遠鏡と顕微鏡の作り方
    (13)特許の受け方と法規集
    (14)高級電気機関車の作り方
    (15)セメントと面白い実用品の作り方
    (16)化学実験と実用品の作り方
    (17)易しい工芸品の作り方
    (18)博物標本の作り方
    (19)簡易木工器具の作り方
    (20)電気器具と電池の作り方

 このうち、持っているのは6巻(今回参考にしたもの)と20巻のみ。
 それにしても、何でも作ってやろうという勢いだな、これは・・・。


●2007年1月4日

 休暇は今日まで。
 長いようで短い休暇だった。古雑誌の整理ばかりやっていたような気がする。
 (あまりにも本が多すぎて破綻寸前)


1.「筒板」の組み合わせ

 さて、ボビンの「筒板」(適当に付けた名称)の組み合わせについて
説明が不足していたと思うので、詳細な図面を追加する。

 【図6】 「筒板」の組み合わせ


 これはボビンの中央付近を拡大したもので、26×21の穴に鉄芯が
入るわけだ。鉄芯の幅は25ミリ、穴は余裕を1ミリみて26ミリとしている。
同様に、鉄芯を全部重ねた状態で20ミリ厚になるが、やはり1ミリの余裕
をみて21ミリとしている。

 ボビンの作り方は、「本」とは異なるが、鉄芯の寸法は「本」に従って
いる。ボビンの、鉄芯を通す穴寸法も同じ。但し、本にはボビンの外形が
書いてなかった。そこで、鉄芯の外形寸法を元に、巻き線がどれくらいの
寸法になるか、線の太さと巻き数、巻き層数を見積もって決めた。


2.鉄芯の組み立て

 組み立ての段取りを決めようと、今まで作った板を、あれこれいじり回した。
 頭で考えていた事が、実際にやってみるとうまくいかない。

 書類をはさむクリップを利用しようとしたが、途中で崩れたり、問題があった。

 【写真34】 クリップではさみながら・・・失敗。


 板の曲がりは、結局、1枚ずつ手で曲げて調整し、できるだけ平らになるようにした。
こういう作業は避けたかった。万力にはさんで、漬け物を漬けるみたいに、放っておけば
いつの間にか、おいしく「平らになっている」ことを希望していた。現実は甘くない。

 まず、平らな所に置いてみて、曲がり具合を見る。そして曲がっている部分に
対して、反対側に力をかける。部分的に力をかけるのではなく、場合によっては
全体的にグーッと、軽く力をかける。全体的に曲がりを取るような感じ。

 さて、組み立ての手順・・・どこから手をつければ良いのやら。

 【写真35】 大きい板をずらした部分から組み立て?


 大きい板を、1枚ごとに25ミリずつずらして、重ねていく。これをクランプで締めておいて
小さい板を1枚ずつ差し込んでいく?


3.今日の進捗

 朝から缶コーヒーを1本飲み、大きい板を6枚作った。
 今までの合計29枚
 万力で締め込んでも6ミリぐらいにしかならない。


4.その他

 なんだか、チラシの紙をこよりにして、それを編んで、カゴなどを作っている
ような気分。(作った事はないが)
 とにかく、地道な作業を継続していくのみ。

 毎日コーヒーを飲んで、缶を切り開いて、板を切り出し、手で曲げて調整して、積み上げる。
 チマチマ、チマチマ、チマチマ、・・・・・・


●2007年1月5日

 今日も、缶コーヒーを朝から1本飲んだ。

 1本ずつじゃ、時間がかかるから2本にしたいが・・・さすがに、2本ずつでは、
キツイ。私は胃が弱いから。

 写真31の”B○SSタワー”だが、今日、ようやく3段目がなくなった。
 明日から2段目に突入する。

 念のため、このタワーは鉄芯を作るために必要な本数を揃えたわけではない。
 休暇前に買えるだけ買っておいただけで、まだまだ必要な本数には足りない。


1.今日の進捗

 夜、毎日やっているように空き缶を切り開いた。今日は小さい板を取ろうと
思いながら、寸法線を引いた。横に60mm幅、縦に25mmごとに線を引いた。
今までやっていた通りだ。

 そこで、ちょっと気になった。「端材が多くないか?
 ちょっと考えれば、もっと取れそうな感じがする。

 【写真36】 板取りを考える


 写真36は、空き缶を切り開いた状態である。
 缶自体は、高さ97mmだが、てっぺんと底の部分は使えない。それらの部分を
避けて切り開くと、縦が約85mm、横が約160mmになる。

 切り出そうとしている「小さい板」は、25×60mmである。これを、いかに無駄
がないように多くの枚数を切り出すか。

 今までは横並びに6枚取っていたが、写真36のようにすれば、1枚多く取れる。
その場合の単品の板を、赤ペンで囲んで示した。

 もっと早く気づけば良かったなァ!(アホやな、私は)

 これで、小さい板が7枚追加され、今までの合計79枚となった。
 万力で締め込んだ厚さは、約17mm
 必要な厚さの40mmまで、まだまだ、道のりは長い・・・・・・。


2.生産設計について(趣味のトランス製作とは、あまり関係ないが)

 材料(例えば、定尺のもの)から、いかに無駄を少なくして製品を取るか。
これはいくつもの業界で共通にある課題と思う。材料の無駄をなくせば
利益に結びつくだろうし、廃棄物を減らすためにも重要である。

 業界は色々、材料は鉄板かもしれないし、布かもしれない。私がかつて在籍した
プリント基板の会社では、やはり基板にも定尺があり、ひとつの例をあげれば
1m×1mの材料があった。
 ここからワークサイズを決めたりするのだが、我々がふだん目にする基板は、
最終的な外形であって、基板工場の工程の中では、そうではないのだ。Vカットで
割ったり、ルーターで外形を切り出して、ああいう形になっているのである。

 PCIバスのボードなど、カードエッジの端子が付いているのがある。これは、
金メッキをするために、工程の中では全部の端子が接続されており、さらに、メッキの
装置にクランプして電流を流すための電極となるパターンが、両サイドに付いていたり
する。これら工程上、必要な部分は最終的にルーター加工で切り取られる。

 材料を無駄なく取る話から、はずれてしまったが・・・、
 基板単品の寸法がある程度、融通がきくならば、材料を有効に使って、コスト的に
合理的な条件が出せたのを覚えている。


●2007年1月6日

1.今日の進捗

 朝から缶コーヒーを1本飲んだ。
 昨日の要領で、小さい板を7枚取り、今までの合計86枚となった。

 まだまだ足りない。

 地味に進行中・・・・・・


●2007年1月7日

 買いだめしておいた缶コーヒー、もちろんそのままでは冷えているので
 まず、小さめのヤカンに水を半分ぐらい入れてガスコンロにかける。

 缶コーヒーは、あらかじめ良く振っておく。

 タブをあけない状態で加熱すると、圧力が高まって、タブをあけた時に
 吹き出したりする(「動物のお医者さん」の”おしるこ”缶を思い出す)。

 それで、最初にタブをあけておく必要がある。

 十分に、よく振ったら、タブをあける。
 このとき、タブを立てた状態にするのがポイントだ。

 湯が沸騰したら、火を止めて、
 さきほど立てたタブを持って、ソーッと、ヤカンの中に缶を置く。
 そしてヤカンのフタをかぶせるのが、私のこだわりだ。

 タブは出し入れの際のツマミになる。ここを持てば熱くない。(当社比)

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 缶を入れた後、そんなに時間はかからない。2〜3分も待てば熱くなる。

 ヤカンのフタを取って、熱い湯気に気を付けながらタブをつまみ、
 缶を取り出す。

 ヤカンに残ったお湯は、これから洗おうとして流し台の中に置いている食器に
 かけてやる。結構、汚れが落ちるものだ。

 ヤカンは、中のお湯をできるだけ出してしまって、フタをかぶせないで
 ガスコンロにのせておく。火はつけない。余熱で乾燥する。


 缶は、手で持てないぐらい熱い。
 タオルで包んで、コタツに持っていく。

 すぐに飲もうとするな。熱くて口がつけられない。
 しかし、ズズッとすするようにして、ちょっとだけ飲む。

 ・・・ズズッ・・・・・・ウン、うまい。

 口がつけられないのに、わざわざ熱いのをすするのが良いのである。


 少しずつすすっていくうちに、だんだん冷えてきて、ちょうど良くなってくる。
 缶にタオルを巻かなくても、手で持てるようになってくる。

 そして、ほど良い温度になったのを、
 ゴクゴクと飲むのも、また違った味わいがある。

 ズッ、ズズーッと最後の一滴まで吸うクセが、貧乏くさいのである。


 冬といえば、寒い屋外で飲むコーンスープ缶も、じつにうまい。
 冷え切った空腹の身体に、暖かさとおいしさを与えてくれる。

 いつも飲むたびに、コーンを一粒も残さないように誓う。
 そう、最後の一粒がなかなか出てこない。

 すすっても、叩いても、振っても、出てこない。
 もう缶の中は空っぽ同然だから、急激に冷えてくる。
 とても冷たい。

 吹きさらしの駅のホーム、道具もない、これ以上なすすべもない。
 ただ、敗北感が漂うのであった。

 一粒残ったコーンが食えなかった悔しさをかみしめつつ、
 空き缶入れに放り込む。

 列車通勤をしていた頃、諫早駅で島原鉄道を待つ時間が長かった。
 田舎のローカル線で、1時間に1本しか通らない。

 当時勤めていた会社から諫早駅までは、バスを利用していた。
 バスターミナルから駅まで2〜3分だったと思うが、列車の時間が迫っていると
 (あるいはその逆)とにかく走った。

 しかし、無情にも、駅に着こうという目前のときに島原鉄道は、出発して
 走り去っていくのであった。あああああああ・・・・・・

 そんな時は、真冬の吹きさらしのホームで、ガタガタ震えながら次の列車を
 待つのであった。

 1本飲んだが、うまかったし、空腹のせいかもう1本飲みたくなった。
 また買ってきて、今度こそはコーンを全部食うと、誓った。

 少しずつ飲む。味わいながら。
 だんだん缶が軽くなってくる。

 4分の1ほど残ったところから、勝負が始まる。
 缶を微妙に揺らしながら、中身を撹拌する。

 コーンが液体中で浮いて、一緒に回っているイメージを浮かべつつ、
 缶を微妙に揺らし続ける。

 ヨシ、今だ!!
 一気に缶の中身を口中に投じる。

 ・・・・・・・・・!!!!

 勝った。


 ・・・・・・吹きさらしの寒さを、しばし忘れさせてくれるような、ほのかな幸福感。
 飲み干した缶スープが、身体の中からも暖めてくれる。

 やはり缶スープはうまい。
 もう1本いこう。

 ポケットの小銭がチャラと音をたてる。

 再び0番ホームから階段を下り、向こうのホームの自販機へと、
 階段を駆け上がるのであった。


 ※なお、自宅に持ち帰って飲んだとき、「缶切り」で開けて最後のコーンを取り出したが
  何だか、ズルをして勝ったみたいで後味が良くなかった。


1.今日の進捗

 今日も仕事だったが、起きるのが遅くなったので朝食は自宅でなく、仕事場で摂取する
事にした。
 コンビニでパンのみを買い、コーヒーは買いだめを兼ねて、仕事場の近くの自販機で仕入れ
よう。

 ところが、私が年末に大量に買い込んだせいか(それ以来、補充されてないのか)、同じ
銘柄のボタンが2つあるのだが両方とも「売り切れ」になっていた。ガーン。

 いずれにしてもパンの朝食にコーヒーは欠かせないので(おにぎりの時にもコーヒーを飲むが)、
同じB○SSの微糖だか何だかわかんないが、今まで買った覚えがない、パッケージの色使いが
私としてはおいしそうに感じない(カフェオレ色じゃないとダメだ)、そういうコーヒーを選ばざるを
得なかった。

 なんか不満だ。

 缶の仕様が違う。つなぎ目(シーム)がある。いつも飲んでるやつはシームが無い。
 これを切り開いて使うのは、やめにした。

 結局、自宅で夕食後に買いだめしておいたやつを暖めて1本飲んだ。

 これで小さい板を7枚作り、今までの合計は93枚となった。(予定)
 ※予定、というのは、この文章を書いている時点では、缶を洗って乾かしている最中であり
   実際に切り開くのは今夜遅くか、明日の朝になるため。


2.その他

 変圧器の作り方なのに、あまり関係のない事を書いていてもしょうがない。
 原理とか、なぜ鉄板を重ねて作るのか等、理論的な面も補足していきたいと思う。

 何しろ、しばらくの間は、ひたすら缶コーヒーを飲んで切り開き、板を作っていくだけなので
 ネタが続かないのである・・・(自爆)


●2007年1月8日

 今日も仕事だった。
 朝から缶コーヒーを1本飲んだ。上蓋を缶切りで切り開いて洗い、乾かしておいて
帰宅してから加工する事にした。

 【写真37】 最近の(と言っても去年の夏の)写真

 ガスマスクはロシア製、
 相当古いもので、しかもゴム臭かった。
 なんか、ヘンタイ的(笑)


1.今日の進捗

 昨夜の1本と、今日の1本を一緒に切り開いた。

 昨夜、予定としていた小さい板7枚を作り、合計93枚
 今日の分は大きい板を6枚作り、合計35枚

 ようやく、小さい板を万力ではさんだ状態で約20mmになった。
 目標は40mm、まだ半分!!

 ・・・という事は、200枚近く作らなければならない?


●2007年1月9日

1.今日の進捗

 朝から1本飲み、小さい板を7枚作った。合計100枚


 職場の近くの自販機で、買いだめをしようと思ったが相変わらず売り切れ状態だった。
 買わなくても、まだ手元に19本あるが・・・。

 小さい板を作るか、大きい板を作るかは、缶がうまく切り開けるかどうかによる。
大きい板を最大限に取るには、切り開いた状態で、端をまっすぐに切って、端から
端まで16センチ必要である。
 缶を開く時に、斜めに切ってしまうと、長さが足りなくなる場合がある。

 仕方なく、小さい板を7枚取る事になる。小さい板の場合は、多少、雑に切り開いても
余裕がある。


●2007年1月10日

1.今日の進捗

 朝から1本飲み、帰宅後、小さい板を7枚作った。
 今までの合計107枚。
 万力で締め込んだ状態で、約22mm


2.いろいろ

 鉄板を平らにすることを考えていたら、鉄道を利用する方法を思い出した。
 レールに、風圧で飛ばないようにテープで貼っておき、列車が通過したら平らになるはず。
 変な形になってしまうかもしれないが・・・。(実際には、やらないけど)

 小学生の頃、すごくバチあたりな事をした。
 (これに限らず、悪事は色々あるのだが・・・)。

 1円玉をレールに置いて、つぶして小判のようにした。バチあたりどころか、これは法律に
触れる。決してやってはいけない。当時は知らなかった。
 島原鉄道は、ほとんど1時間に1本しか通らないから、次の列車が来るまでドキドキしながら
待っていたのを覚えている。ヒマなガキだった。

 (そのせいか、今はビンボーで1円に泣いたりする。お金は大事にしないとダメだ。)

 その前に、当時の友達が珍しいおみやげを見せてくれた。記念メダルのようだが、小判
みたいな長い形をしていた。文字か何か刻んであったと思うが覚えていない。
 裏面を見ると、かすかに10円玉の10の文字の痕跡が見えた。聞くと、10円玉を機械で
つぶして記念メダルを作ってくれる業者がいたらしい。なんと、ヤバイ。

 自分が知っているのは、専用のメダルを販売機で買ってから、日付などを刻む機械に
それをセットするやつだったと思う。そういう機械を勘違いして、メダルじゃなくて10円玉を
入れてしまったのかもしれないが、今となってはわからない。


 それにしても、思ったより鉄芯の製作に時間がかかりそうだな・・・開始してから、まだ1ヶ月
にもならないけれど。
 地味に進行中。


●2007年1月11日

1.今日の進捗

 朝夕1本ずつ飲み、その2本を切り開いて、
  小さい板を6枚、合計113枚
  大きい板を7枚、合計42枚
 製作した。

 大きい板のうち1枚は、写真36でタテになっている1枚が、何とか80ミリ確保できたので
作ることができた。
 以前から、大きい板が1枚取れそうで取れないので悔しかったが(小さい方の板60ミリは
取れたが、大きい方の板80ミリにはギリギリだった)、今日は成功した。

 仕事場の近くの自販機は、私が年末に買い占めたせいで?、ずっと売り切れだったが
今日見たら、補充されていた。あいにく、持ち合わせがなかったので1本だけ買った。

 明日、10円玉をゴッソリ持っていって、また買いだめをする予定。
 (小銭を箱にためているのだが、10円玉は買い物でほとんど使わないので、たくさん
 たまっている。自販機なら拒否される事なく使える。)


2.組み立てについて

 鉄板同士を両面テープで貼りあわせたらどうか?と、この前から考えている。

 その利点は、3つある。
      (1)組み立てが容易
      (2)1枚ごとの絶縁
      (3)板の厚さが水増しできる(笑)

 単純に板を積み重ねて組み立てると、途中で崩れるおそれがあるが、両面テープで
貼っていけば崩れることはない。

 1枚ごとの絶縁については、もともとコーヒーの空き缶であり、塗装が施してあるから
そのまま使っても問題ないと思う。あえて紙をはさんだり、紙の代用として両面テープを
使用すればもっと確実と思う。

 板の厚さを水増しというのは、どうかと思うが・・・表面に塗装がないブリキ板を使う
場合は、絶縁のために紙をはさんで組み立てるから、そういうやり方もあると思う。
 但し、磁力線を効率よく通すには、やはり板と板のスキマは空きすぎていてはいけない
だろう。

 欠点、というか気になるのは、高温で粘ったり溶けたりしないかということだ。珪素鋼板に
比べれば鉄損が多いはずなので、発熱が問題になるかもしれない。実績がなくて不明だが。
 重ねた板は最後にボルトで締め込むから、両面テープが粘っても問題ないと思うが・・・。

 両面テープで貼りながら組み立てるのは良いが、コの字に組んだあと、巻き線ボビンを
通してから最後の鉄芯をはめ込むのだけは、1枚ずつ差し込んでいくから両面テープが使え
ない。もっとも、コの字まで組み上がっていれば崩れる心配もないだろう。

 コの字の部分は両面テープの分だけ厚くなるはずだ。だから、最後に差し込んでいく板は
差し込みがゆるくなる可能性が高い。しかし両面テープを貼ってから差し込むのは困難だ。
 貼りながら組み立てていくのも難しい・・・。

 板の幅は25ミリだから、両面テープは25ミリ幅のものを使う事にする。ちょうど手元に、
フライスの材料を固定するための仮止めテープがあった。
 ニチバンのナイスタック・リムカ(NW−R25)で、25ミリ幅×9mである。
 近所のホームセンターには売っていなくて、ドラッグストアに行くたびに買いだめしている。

 【写真38】 ナイスタック・リムカ


 仮止め用なので、失敗してもはがしやすい。だから、とにかく鉄芯の組み立てを始める事
にした。

 【写真39】 組み立て開始!


 頑張って組み立てるぞ!!


●2007年1月12日

1.今日の進捗

 朝から1本、夜に1本、あわせて2本飲んだ。
   小さい板を6枚、合計119枚
   大きい板を7枚、合計49枚
 製作した。

 それと、昼間に缶コーヒーを12本買いだめした。
 自販機に、10円玉ばかり大量に投入した。嫌がらせに近いかも。

 鉄芯の組み立ての続き。

 両面テープで貼っても、仮止め用の弱いやつだから、板の反りによって
若干、浮いてくる部分があった。
 それで昨夜から、写真40のようにクランプで挟み込んでいた。

 【写真40】 クランプで挟んだ。


 しかし、クランプが当たった部分に傷が付いた。傷が付いても問題ないだろうし、
最初から厚紙か何かを当てておけばよかったのだが・・・忘れていた。

 このように部分的に押さえても、板の反りで部分的に浮いてくるので、全体的に
押さえるのがよい。

 そこで、「漬物石」として、カーバッテリーを用意した。
 非常用電源として机の下に置いていたものである。重いのでちょうど良い。

 【写真41】 カーバッテリー 40B19R


 なぜか、EAGLEのマニュアルでサンドイッチしている。

 これで一晩、置いておく。
 一夜漬け?(意味不明)


●2007年1月13日

1.今日の進捗

 今日は、本当に久しぶりに土曜日を休みにした。
 少し遅めに起きて、朝食をとり、食後の缶コーヒーがうまかった。

 1本飲み、乾かしてから大きい板を6枚取った。今までの合計55枚。

 先日から鉄芯の組み立てを進めているが、大きい板が不足している。
 それで今後は、極力、大きい板を作るようにしていく。

 午前中、鉄芯を組み立て、大きい板の在庫を使い切った。(半端に1枚残っ
たが)

 【写真42】 現在ここまで積み上がっている。


 積み上がっている、といっても写真ではフワフワした状態で、実際には締め込む事
になる。締め込むと約8ミリだった。目標まで、あと12ミリ足りない。

 ちょっと気になって、締め込み用のL金具を当ててみたら、ネジ穴の位置がうまく
合わない。上下2カ所で締め込むことができず、片方だけになってしまう。まずい。

 既製品では、なかなか思ったような寸法や穴位置のL金具が売ってないので
曲げてないステーを買ってきて、自分で加工するしかないか?と考え中。

 せっかくの休日なのに、昼ごろ、お湯が出なくなった。昨年11月末に給湯器が故障
して、今は業者が取り付けていった代替機を使っている。その代替機も故障するとは!
(中古で、見た目も結構ボロかったしなあ!)

 ヤレヤレ、と思いながらガス屋に電話した。すぐに行きますとのこと。
 電源を入れ直してみたが結局ダメで、やはり交換となった。

 ところで、11月末に修理に出したのはどうなりました?と聞いたら、家主さんの意向で
修理せず、現在取り付けている代替機を使って欲しい、との事。エーッ聞いてないし。

 11月末に故障機をはずして、代替機を取り付けた際、「修理ができたら、また立ち会い
が必要ですかねえ?」と業者に聞いたら、はい、面倒ですが、お願いしますと言われた。
いつ修理ができるのかと心配していたのに。なんじゃそら。


●2007年1月14日

1.今日の進捗

 朝から1本、夜に1本、あわせて2本飲んだ。ゲプー。

 その結果、大きい板を12枚作ることができて、今までの合計は67枚となった。

 これで鉄芯6層分を積み重ねた。
 (フワフワした状態ではなく)ギュッと押しつけた状態では厚さ9ミリ。
 まだまだ目標の20ミリには届かない。

 組み立て作業後、また、カーバッテリー漬物石の下敷きにしておいた。


2.巻数と電圧とか、理屈の話

 トランスの出力電圧は、1次と2次の巻数比で決まるのは、すでにご承知の通り。

 今回作っているトランスは、1次1000回、2次120回で100:12、だから
入力1次側100V、出力2次側12Vとなる。

 比率だから、きりのいい数字である必要はない。
 1次を1234回巻いたとしたら、12/100をかければ2次は約148回になる。これで、
入力100Vに対して出力12Vが得られる計算だ。

 1000回という、きりのいい数字にしているのは、便宜上の理由だろうと思う。半端な
数にする理由が見あたらない。電圧も半端な値を求めているわけではない。巻き数は
整数であって、小数以下はできない。

 それじゃ、なんで1000回も巻く必要があるのかと思う。
 比率なら、100回:12回のほうが単純じゃないか?と疑問を持たないか。

 今回は、本に書いてある通りに作ったから、1次側は1000回巻いた。もし今後、自分で
変圧器を設計する機会があったら、どうやって巻き数を決めるのか?

 巻くのが面倒くさいとか、小型にしたいから巻数を少なくしたいという必要性もあると思う。
だったら100回:12回で良いのではないか。

 なんと恥ずかしいことに、私は、この問題に対して即答できない。今まで考えた事もない。
 でも、たぶんダメじゃないかという気がする。コンセントにつないだ瞬間にブレーカーが
落ちるかもしれない。ちょっと自信がないが・・・。

 これから、勉強しながら、説明していくことにする。

 今回作ったトランスの、1次巻き線の抵抗をはかったら、11オームだった。2次巻き線は
0.5オームだった。

 ここに、もし直流電源をつないだらどうなるだろう。1次側に、仮に直流100ボルトをかけたら
I=V/Rから、100/11=約9アンペアが流れる計算になる。巻線は焼けるだろう。

 ところで、電球の抵抗をはかった事があるだろうか?手元には、一般的な白熱電球(例:
トイレの100ワット)は無かったが、「ネオハロクールH JD110V 85WN−EH TB」という
100Wのハロゲン電球があったので抵抗をはかってみた。すると、8.5オームだった。

 計算では、これも12アンペア近く流れることになるが・・・点灯中は実際には100ワット、
つまり1アンペアである。
 電球は、フィラメントが加熱すると抵抗が増えるから、電流は減るのである。電源を
つないだその瞬間は大きい電流が流れるが、じきに減って安定する。そして電球の中は
空気(酸素)がなく、代わりにアルゴン等のガスが詰めてあるからフィラメントは燃えない。

 トランスの場合は、今回のものが完成していないから測定しようがないが、やはり9アンペア
も流れないはずである。しかし、電球とは異なる原理であって、熱くなって抵抗が増えるの
ではない。

 電球は抵抗体だから交流でも直流でも関係なく働く。(実効値とか、細かいことを言うと
ゴチャゴチャするので省くが)

 ところが、トランスはコイルであって、直流と交流ではその挙動が異なる。コイルは、交流に
対して抵抗を持つ。直流では、理論上は抵抗0だが実際には超電導じゃないから、銅線と
しての抵抗値を持つ。

 交流を流すと、自己誘導によって、・・・・・・ウーン、中学の時に、理科で実験をしたはずだ。
コイルに検流計(目盛りの中央がゼロ、左右にプラス、マイナスとなっていたメーター)をつなぎ、
そのコイルに磁石を出し入れすると、針が動いたのを覚えていると思う。

 これは、自己誘導を確認する実験であった。もう忘れてしまったが(オイ)、たしか、コイルには
反対方向の・・・・・・忘れた。(オイオイ)

 鉄心なしの空心コイルを電源につないだら、また違った結果が?鉄心があるかないかで
違う?

 つづく・・・。


●2007年1月15日

1.今日の進捗

 朝から1本飲み、大きい板を6枚作った。今までの合計73枚。
 鉄心の3層分を積み重ね、ギュッと押さえた状態で、ようやく10ミリに到達!

 3層分で、おおよそ1ミリのようである。缶コーヒー1本で大きい板が6枚で3層分、
小さい板は今まで作ったのがたくさんある。それじゃ、缶コーヒーをあと10本飲めば、
目標の20ミリになる?


2.理屈

 今日は疲れて眠いのでやめとく(おい)。

 実は昨夜、寝ながら色々考えて、巻き線のボビンに棒磁石をつっこんで実験を
しながら文章を書こうと思った。しかし磁石がない。探しにいかなければ・・・と思ったが
行く時間がない。


●2007年1月16日

1.今日の進捗

 朝から1本飲み、夜に、これを書きながら1本飲んだ。
 大きい板を12枚作り、今までの合計85枚となった。
 6層分を一気に進めた。
 ギュッと押しつけた状態で約12ミリ。

 夜に職場で、ゴクローサンですと、気を利かせて?1本買ってきた人がいた。
 まさか・・・と思ったら、同じ銘柄の缶コーヒーである・・・・・・。

 それだけはカンベンしてくれ、

 と言いたくなったが、
 事情を話すと長くなるので(このサイトも知らないだろうし)、素直に受け取った。


2.理屈

 さて、理屈の話をしよう。
 じつは、高校の時の教科書を何冊も取り出して、先日からパラパラ読んでいた。

 もう20年にもなるのか。そんなに時間がたったのかと思う。
 これらの教科書は、進学や引っ越しの時にも一緒に持っていったものだ。


 【写真43】 授業中に居眠りするな。


 赤線がグニャグニャである。明らかに寝ぼけている。
 こんなのが、あちこちにある。

 当時の自分に会えるなら、ゲンコツをお見舞いしたいところだ。
 しっかり勉強してなくて、あとで苦労したのだから。本当に。

 しかし、理屈は退屈だった。
 教科書の文字を追いかけるだけの勉強、実感もイメージもわかなくてピンとこない。

 試験に、ココからココまで出すから覚えておけ、と言われて、試験の間だけ覚えておく、
という器用な真似もできなかった。いや、納得できなかった。それじゃ何のための勉強
だろうと思っていた。身につけなきゃと思っていたが身につかなかった。

 ポケコンのBASICで、公式などを入力しておいてカンニングしていた卑怯者もいた。
私は、そういう事はしなかった。世の中、要領よくやった者の勝ちとは思いたくなかった。

 電気が好きで選んだ学校なのに、授業についていけないこともあった。いろんな教科の
勉強を次々にやっていくのが、辛かった。実習のレポートや宿題を、毎日、明け方近く
までやっていた。眠かった。通学の列車の中で居眠りしていた。座る席がない時は、立った
まま居眠りして、ヒザがカクッと曲がるのを笑われていた。だって眠くてしょうがないのに。
いつも眠くて疲れていて、悪循環だった。

 授業中も、よく眠くなっていた。寝ちゃいけない、と頑張るのだが、疲れていてどうしよう
もない。
 国語のS先生は、そうやって居眠りしている生徒の頭を、シャープペンシルの先でチクッと
やるので有名だった。あのイヤな感触、私は、絶対にその罰を受けたくなかったので国語
だけは特に頑張って起きていた。しかし・・・不覚にも居眠りしてしまった事がある。無意識に
寝ていたのだ。いきなりチクッときて、急に現実に引き戻された。しまった〜!!

 いまは甘くなっているようだが、当時はスパルタ?に近い校風だったと思う。英語のY先生
(お元気でいらっしゃいますか?)は特に厳しく、「コラッ、顔あらってこい!!!!」と怒鳴ら
れた。確か、当時、生徒指導にもあたられていた。

 私が赤点で学期末に親を呼ばれてしまい、その厳しいY先生が、「前田君は、どうして
数学が苦手なんでしょうね。ふだんの生活は、とても真面目で良い生徒なのですが」と、
ニコニコ笑って話されていたのが印象的だった。あの厳しい先生が笑うなんて珍しい。
非行に走らない真面目な生徒が好きなんだろう。成績なんてどうでも良いのだろう(をい)。

 確か1年の1・2・3学期とも親を呼ばれた。3回とも父が来たが、2年の1学期には母が来た。
さすがに、母親が来ると辛いものがある。実家から列車で30分、島原駅から歩いて30分、
上りはきつい。タクシーで来たかもしれんが、バカ息子のために来たかと思うと気の毒になり
以後、それなりに頑張って、ギリギリ赤点にならないレベルを卒業まで維持した。

 親からは、アンタは要領が悪いから勉強ができない、と言われたのだが、要領がいいとか
悪いとか、具体的にどういう意味だろうと疑問を持ち続けただけで、結局どうすればいいのか
わからないまま現在に至っている。

 昔話が止まらないのでこのへんにしておくが、とにかく、教科書の文字を追っていくだけ
では、退屈でしょうがない。
 それに、この教科書、いま読んでも言葉が難しい。わざと難しく書いて、権威を示そうとして
いるのだろう。「少年技師の電気学」を最近読んだが、非常にわかりやすいぞ。

 そういえば、ベクトル図が出始めた頃から破滅的だったと思う。こういう図を描いて、何の
意味があったのか思い出せない。(大丈夫か、エレクトロニクスでメシ食ってんだろ!!)
 たしか、三菱マークが逆さまになったようなベクトル図が宿題で、通学列車の中で、
同級生に聞きながら、あわてて描いていたような記憶がある。それだけ。

 脱線したが、文字を追いかけるだけじゃなくて、実際にやってみれば理解しやすいはず。
 それで今回は、最初に作った巻き線の中に磁石をつっこんでみて、電磁誘導を実際に
確認しようと思う。

 どこかに「棒磁石」がないかと探してみたが、自分の部屋には無い。ハードディスクを
ぶっこわした時のと、ニコチャンマークのクリップと、マグネットシートぐらいしかない。
 今朝は早めに起きて、ホームセンターに寄ってみたが、売っていなかった。おかしいなあ、
棒磁石ぐらい、売っていそうな感じがするが・・・。

 あれこれあって、ようやく棒磁石を手に入れる事ができた。

 【写真44】 なつかしの棒磁石


 これを見ると、小学生の頃を思い出す。
 磁石は宝物だった。

 うっかりコンクリートの地面に落としてしまい、フェライトがパチッと砕けてしまった時の
悲しかったこと。もう元には戻らない、という切ない気持ち。

 砂鉄を集めるのが好きだった。

 なんで磁石にひっついた砂鉄が取りきれなくて残るんだろうと、イライラしていた。
 そのうち、どこかで読んだのか、ビニール袋をかぶせれば良いという知恵を
仕入れてきた。なんだ、その手があったのか!とナットク。

 磁石にビニールをかぶせたまま、砂場をひっかき回すと、砂鉄が集まってくる。
 砂鉄を入れる容器の上まで持っていって、磁石を抜くと、砂鉄がザッと落ちる。
 なんと、効率のよいやり方だろうか!

 まさに大量生産大量消費大量廃棄?である。

 しかし、まだ問題は残っていた。砂鉄だけかと思ったら、砂も結構混じっていた。
本当に砂鉄だけの真っ黒な状態にしたくてたまらなかった。いま思えば、実につまらん
事に情熱を燃やしていたと思うが、純度を高めるにはどうしたら良いかと考えていた。

 百科事典に、昔の製鉄法として「たたら製鉄」がイラスト入りで紹介されていた。ほう、
昔は、こんなふうにして製鉄をしていたのか。砂鉄が原料だったのか。ナルホド。

 砂鉄を空き瓶に集めるだけじゃなくて、こうやって溶かして型に流し込んだりすれば
好きな形のものができるというのがすばらしい。こんなの(たたら)日曜大工でできない
だろうかと考えていたと思う。ムチャクチャだが。

 また脱線してしまったが、とにかく磁石を手に入れたので、電磁誘導の実験をやって
みる。理屈は、実験をしながら、そして実験を終えたあとで考えてみる。

 【写真45】 穴に入れてみたくなるのは男の本能


 ちょっと波形を見たりしていたが、いかん、もう夜遅くなってしまったので、また明日!


3.その他

 カーバッテリーを漬物石の代わりにするのは、あぶないので止めよう。
 鉄心の上に載せると、けっこう不安定である。倒れて、電解液があふれる可能性がある。
 まだ倒れた事はないが、不安定なのを見て、考え直したのだ。

 代用として、「広辞苑」、「軍艦島実測調査資料集」、「トラ技」(笑)などの重そうな本
使う。


●2007年1月17日

1.今日の進捗

 朝から1本飲んで、大きい板を6枚作った。
 今までの合計は、91枚となった。
 3層分を積み重ね、押しつけた状態で約13ミリになった。
 あと7ミリ!!
 どうやら1本で1ミリのようだ。あと1週間ほどで完成するかも?

 夜にパソコン組み立て&インストールのアルバイトをしたので、
これ以上の作業はできなかった。少しでもお金を稼がないと!!

 そういえば掲示板で、箱買いが安いのではないかとのご指摘、
まったく、おっしゃる通りで・・・ちょっと考えたのだが、そこまで手が
回らなかった。
 それに、もう何十本も買ってしまった後だし・・・・・・。


●2007年1月18日

1.今日の進捗

 朝から1本飲んだ。大きい板を6枚作り、合計97枚。
 3層分を積み重ね、押しつけて・・・昨日とあんまり変わらん。
 押しつけ加減で微妙に変わるので、完成時期も微妙だ。

 なお、両面テープがそろそろ無くなる。これは、鉄心を作るために
新しいものの封を切って使い始めたものだ。あと1巻は必要になるだろう。

 組み立て途中の鉄心を、ボビンに差し込んでみた。寸法誤差やズレで差し込め
ないと困るので。(今日ではなく、16日に撮影したものだが)

 【写真46】 試しに差し込んでみた。



2.理屈

 今日も夜遅くなってしまったので、また、日を改めて。
 いろいろ忙しい・・・。


●2007年1月19日

1.今日の進捗

 朝から1本飲んだ。大きい板を6枚作り、合計103枚。
 押しつけた状態で、14ミリ。


2.理屈

 だめだ、今日も余裕なし。明日、土曜日も仕事である。

 先日の棒磁石は、磁力がかなり弱い。1箱に2本入っているが、
同じ極同士を近づけても、動かない。手で持っていると、わずかに
反発力を感じる程度だ。
 もともと弱いのかどうかは分からない。10年ぐらい放置されていた
のも事実。


●2007年1月20日

1.今日の進捗

 朝から1本、昼過ぎに1本、あわせて2本飲んだ。
 大きい板を12枚作り、今までの合計115枚。
 押しつけた状態で、16ミリ。

 鉄心は、ずっしりと重い。

 ゴールは、もう目の前、(のような気がする)。

 しかし、ボビンを差し込んだあとで、小さい板をはめ込む工程があることを
忘れてはいけない。小さい板のストックが、だいぶ少なくなってきたので、追加で
作る必要があるかも。


2.用語集

 いままで、鉄心あるいは鉄芯とか、適当に書いてきたが正しくは鉄心である。
 ここで、用語を整理しておこう。

 ・珪素鋼板 → トランスやモーターのために作られた特別な鉄板のこと。
           鉄損が少なく、磁気的な特性もよい。
           現代では、電磁鋼板(でんじこうはん)と呼ばれることが多い。

 ・鉄心    → 磁束を通す働きをする。
           薄い鉄板(正式には電磁鋼板を使う)を積み重ねて作る。

 ・重ね接続 → 鉄心は、薄い鉄板を積み重ねて作るが、図2及び3のように
           継ぎ目が1カ所にならないように重ねていくことを、重ね接続という。


3.そのほか

 理屈の話は、日曜に余裕があったら書くことにする。

 教科書などを見ると、「ロ」の字の鉄心に、左右それぞれ1次と2次の巻線が
描かれている図が多い。それで実際のトランスも、このような構造になっているのかと
思いこんでいたが、そうではなかった。こういう作り方のほうが効率が悪いのである。

 トランスをバラして中を見ると、1次と2次の巻線が重ねて巻いてあって、教科書と違う。
最初は知らないから、「小型化のため、やむを得ず」、だと思っていた。

 ところで、トランスを固定するための台として、この前から板きれを探していたが
今日、ちょうど良いものを見つけたので確保した。

 【写真47】 良さそうな板きれ。


 ホームセンターで探したら、大きい板しか売ってなかったもんなあ。

 ・・・・・・と思いながら、ホームセンターの裏手を歩いていたら、ゴミ集積場に、板きれが
けっこうたくさん捨ててあった。おおっ、これくらいのがちょうど良いのになあ、そしたら
買わなくて済むし・・・と思ったが、愛想の悪い店員が多いし、面倒くさいのであきらめた。

 ホームセンターには工作室があって、電動工具などを貸してくれるが、たぶんそこから
出たゴミだろうな。

 板きれで十分、というお客さんは結構多いかも?わからんけど。
 空き箱に集めておいて、どれでも1個10円です、というふうに売ったらどうだろう?

 大きい板を買って、ちょっぴり切り取って使って、残りを捨てるよりも、「エコ」だと思うが。


●2007年1月21日

1.今日の進捗

 朝から1本飲んだ。
 大きい板を6枚作り、今までの合計121枚。
 押しつけた状態で、16ミリか、17ミリか、微妙なところ。

 今日は、朝からネットワークの勉強に集中しているので
 理屈の話まで書けそうにない。

 その、ネットワークに関しては、近いうちに、成果が発表できるかもしれない。


●2007年1月22日

1.今日の進捗

 朝から1本、夜に1本、合計2本飲んだ。
 大きい板を12枚作り、今までの合計133枚。
 押しつけた状態で、17〜18ミリ。
 もう少し!!

 時間が足りない・・・いつも仕事で帰宅が遅くなるし、帰宅してからも
メシ食ったり風呂入ったり、調べものをしていたら、あっという間に深夜1時!

 そういえば、このプロジェクトを始めてから、もう1ヶ月過ぎた。
 1月も終わりに近づいているし。早い。

 とにかく、地道にやっていく。


2.今日の負傷

 食器を洗うついでに、空き缶を洗っていた。上蓋を切り取ったやつの中を
洗おうと、気を付けていたのだがスポンジを入れてゴシゴシやっているうちに
サクッと切ってしまった・・・。


●2007年1月23日

1.今日の進捗

 朝から1本飲んだ。
 大きい板を6枚作り、今までの合計139枚。
 押しつけた状態で、18〜19ミリ。

 この缶コーヒー、1日に2本は飲めない。胃がおかしくなる。
 (あくまでも個人的な感想であり、個人差があります)

 昨夜もキャ○ジンを飲んでから寝た。

 食品の原材料の表示は、量が多い順番と聞いた事があるのだが、
この缶コーヒーの場合、
    牛乳、砂糖、コーヒー、・・・
となっていた。

 砂糖なんか、意外にたくさん入っているかもしれない。普通にコーヒーカップで
飲むコーヒーを、同じぐらいの甘さにしようと思ったら、角砂糖が何個いるだろう。

 ちなみに、乾麺の「そば」なんかは、
    小麦粉、そば粉、・・・
だったりする。


2.いろいろ

 さて、鉄心の厚さは、ほとんど20ミリと言っても良いぐらいになった。そこで、
またボビンに差し込んでみた。

 板は、押しつけていないと勝手に膨らんでしまうのだが、いまの状態で
締め付けても、ボビンの穴に対して「ゆるい」という事はないようだ。
 わずかにスキマがあったとしても、紙か何かを詰めてやれば良い。

 なんでスキマがあったらいけないかというと、経験がないので正解かどうか
わからないが、電気アンマのように振動すると思う。
 本には、鉄心はしっかり締め付けろと書いてあるぐらいだから。締め付けが
足りないと、飛行機の爆音のような音がして熱くなる、と。

 なかなか理屈の話まで、たどりつけない。

 そして、トランスを完成して終わり、だったら自己満足になってしまう。
 電気鋼板を使った正式なものと比べて能率が悪いと思われるが、それがどの程度
なのか、性能評価もしてみたい。鉄損で、どれくらい熱くなるのか、など。

 完成は近い。


●2007年1月24日

 早いもので、1月も、もう終わりに近づいている。

1.今日の進捗

 朝から1本飲み、
 大きい板を6枚作り、今までの合計145枚。
 クランプで締め込んだ状態で、19ミリ。

 【写真48】 完成一歩手前!!



 【写真49】 組立作業時以外は、このようにクランプで締め込んでいる。

 締めずに放置しておくと、徐々に膨らんでしまう。


2.たかが100円

 しかし、この缶コーヒー、北海道産生クリームとか何とか書いてあるが、そんなの
わかるわけないだろう。意味のないことを書いてんじゃねーよ、などと、ひとりで燃え
上がったのでありました。
 たかが100円の缶コーヒーだから、いちいち文句をつけてもしょうがないかなあ!


3.素朴な疑問

 巻線ボビンに、鉄心を通さないでAC100Vを通電したら、どうなるんだろう?
 また、鉄心を通したとしても、最後に組み立てる一番上の部分の継鉄をはめないで
通電したら、どうなるんだろう?

 上記の疑問については、本には書いてなかったが、悪い結果になりそうな感じはする。
またコイルを巻き直す気にもならないが・・・確かめてみたい気持ちもある。

 本には、鉄心の締め付けがゆるいと、ブーンとうなったり1次巻線が熱くなったりする、
と書いてあるので、おそらく、そうだろうと想像するが・・・・・・


●2007年1月25日

1.今日の進捗

 朝から1本飲んで大きい板を6枚作り、今までの合計151枚。
 クランプで締め込んだ状態で、20ミリ。

 【写真50】 20ミリ達成!


 長い道のりだったが、これから巻き線ボビンの差し込みと、継鉄の取り付けを
する。まず、ボビンが差し込みやすいように、クランプで挟み込む。

 【写真51】 クランプで挟み、ボビンを差し込んだ。


 継鉄の差し込み方は、図で説明した方がわかりやすいのだが、左右から交互に
差し込んでいく。
 一番外側の板は、押さえていないとはずれてしまうから、最後に取り付ければ良い
と思う。

 交互に板を差し込んでみたのだが、途中でなぜか頭がこんがらかってきたので、
風呂に入りながら考えた。何だ、片方ずつ、とにかく板を全部差し込んでしまって
あとでずらして合わせれば良いのではないか?

 【写真52】 小さい板を全部差し込んでみた。


 うーむ、小さい板が足りない。
 大きい板は1枚余ったが、これは切れば小さい板として使える。

 まだしばらく、缶コーヒーを飲む毎日が続きそうである。

 現在の在庫、13本。


●2007年1月26日

1.今日の進捗

 朝から1本飲み、小さい板を7枚作った。
 小さい板を作ったのは、1月12日以来である。

 さらに、1枚余っていた大きい板を短く切って、小さい板にした。
 結局、8枚作った事になり、また、大きい板は1枚減った事になる。

 小さい板の合計127枚
 大きい板の合計150枚(組立済)

 あと、小さい板を約20枚作らなければならない。
 缶コーヒー1本で7枚ずつ、1日に1本ずつ飲んだとして、あと3〜4日で
 鉄心の組み立てが終わる予定。


2.そのほか

 今日も帰宅が遅くなってしまった。22時過ぎ。
 忙しすぎる。ぜんぜん片づかない。貧乏ヒマ無し。

 一人でLANの通線をして、天井裏に行ったり戻ったり、ヒーヒー、ハーハー、
くたびれた。568Aだ。568A・・・意味不明。

 さらに、またパソコン組み立てのバイトが・・・自宅にパーツ一式を運び込んだが
置き場所が無いので(玄関をふさいでいる)、急いで組み立てて納品しなければ。

 メシ食ったり、風呂入ったり、片づけをしたりしているうちに、もう深夜0時だ。
 あれもこれもやりたいのに、調べものがあったのに、できずに今日も終わる。

 時間が欲しい・・・。


●2007年1月27日

1.今日の進捗

 朝から1本飲んだ。
 小さい板を7枚作り、今までの合計134枚。
 鉄心にはめこんだ。

 パソコンの組み立てのバイトの為、トランスに関しては、これ以上の作業できず。


●2007年1月28日

1.今日の進捗

 朝から1本、午後に1本、あわせて2本飲んだ。
 小さい板を14枚作り、今までの合計148枚。
 夜、鉄心にはめこんだ。

 昨日からやっているパソコンの組み立てが、ちょっと行き詰まっている。
 いや、組み立て自体はすぐに終わったのだが、キャプチャボードがダメ。

 キャプチャボードを動かそうとすると、ハングする。(リセットがかかる)
 HDDの内容を全部消して、最初から全てインストールし直したが結果は同じ。
 ボードを差し込むスロットを変更してみたが、やはり結果は同じ。
 思いつく限りの設定を変えながら様子を見て再起動・・・を繰り返したが改善せず。
 とうとう行き詰まって、依頼主に相談する事にした。

 メーカーのサイトなどを調べたところ、どうやらオンボードVGAとケンカしている?か、
チップセットの問題と思われる。
 別のキャプチャボードを試してみるか、それじゃ今のやつはどうするか。返品するのは
難しいと思う。
 こんな事でつまづくとは思わなかった。困った困った。


2.継鉄の組み立て

 小さい板は、あと3枚作れば組み立てに必要な分が揃う。もう、継鉄の組み立てをして
良い状態になった。

 ・・・・・・と思ったら、違った。結論を先に言うと、もう揃っていた。

 【写真53】 とりあえず左右にそれぞれ差し込んでおいた。


 左右にそれぞれ差し込んでおいて、あとはピンセットで1枚ずつ交互に引き寄せながら
合わせていけば良いだろう、と先日から考えていたのだ。

 ところが、これは途中で混乱を招いた。1枚ずつ探りながらピンセットでゴソゴソやっている
うちに、訳が分からなくなってしまったのである。
 仕方なく、板を全部抜いて、やり直す事にした。

 結局、奥から1枚ずつ交互に差し込んでいくことにしたが、手前まで差し込み終わろうという
時になって、左右にズレがある事に気づいた。あれ?おかしいぞ?ズレるなんてありえない。

 また、板を全部抜いた。そして左右の板の枚数を数えたが、積み上げに関してはミスが
ないのを確認できた。

 今後は、さらに注意しながら板を1枚ずつ差し込んだ。完全に端を合わせないで、大まかに
差し込んでおき、あとで修正する方針にした。

 ようやくOK。あと1枚あれば、鉄心が完成という状態になった。

 【写真54】 端を金槌で軽く叩いて揃えた。



 【写真55】 端がきれいに揃った。


 あと1枚、手前に貼れば鉄心は完成だ!
 明日が楽しみだ・・・・・・と思っていたら、何と、足もとに1枚落ちていた。
 これで全部揃った!!

 続きは明日!!!!


●2007年1月29日

1.今日の進捗

 朝から1本飲んだが、もう材料を作ることはない。

 これでようやく、缶コーヒーから解放され・・・・・・ない。
 あと8本残っている。ヤレヤレ・・・。


 【写真56】 立ち上がれ!


 L金具で挟んで、立たせてみた。
 写真では、とくに左側の金具が歪んで見えるが、実際には歪んでいない。

 L金具が長すぎて違和感があるが、このままで良いのではないかと思う。

 それより問題なのは、この構造では鉄板の一部が押さえられず、はがれて
しまうことだ。

 【写真57】 はがれている。


 縦方向だけじゃなくて、横方向にも締め込むように、金具の構成を考えなけ
ればならない。

 寝ながら考えて、明日の朝一番にホームセンターに行ってみる。
 近所のホームセンターは、朝8時から開いているので便利だ。

 あとは、手元の部品箱を探って、端子台とヒューズホルダー、ヒューズそして
電源コードを探しておいた。


●2007年1月30日

1.今日の進捗

 朝から1本飲んだ。
 昨日のも、何か必要になりそうな感じがして、一応洗っておいた。
 (これが後で役に立つとは!)

 鉄板がはがれるという問題(写真57)は、朝メシを食いながら考えていたが、
わざわざホームセンターで金具を探してこなくても、同じ空き缶でいいじゃないか。

 本には書いてなかったが、はがれる部分(鉄心の上の部分)をカバーする長さの
板を作って、貼り付ければよい。そこだけ厚さが違ってくるので、合わせるために
両サイドにも鉄板を貼る。

 そうして作ったのが写真58の板。これを押さえ板と呼ぶ事にする。

 実際は長い板が2枚と、短い板が4枚である。空き缶1本からは、写真58に
写っている分しか取れなかった。もう1本の空き缶から、短い板を1枚取った。

 【写真58】 押さえ板


 次に、押さえ板の寸法を示す。

 【写真59】 寸法図


 鉄心に押さえ板を両面テープで貼り付けて、L金具で挟み、木台に据え付けた。
 端子台、ヒューズをネジ止めした。
 コードクリップを貼り付けた。

 トランスから出ている線を端子台に接続した。
 電源コードの線を剥いて、絶縁チューブを通し、丸端子を圧着した。

 配線を目視確認し、ヒューズを入れた。

 ううっ・・・・・・これで、ようやく、できあがったのだ。

 いざ、コンセントへ・・・・・・

 プラグの先っちょを、チョイチョイと軽く差したり戻したりする。おっかない。
 ヒューズを付けているのだが、バチッとはじける可能性もある。
 ショートする気配がないので、プラグをしっかり差し込んだ。

 (安全な手順は、スライダックを使って0Vから徐々に電圧を上げていく。電流や、
様子を見ながら、少しずつ。私は金に困ってスライダックを売ってしまったので無い。)

 多少はブーンと鳴るかと思っていたが、耳を近づけても、うなりは聞こえない。
 まったく静かなものだ。
 巻線や鉄心は、無負荷だからかもしれないが、熱を感じない。

 トランスというのは、まったく地味なものだ。何か光るとか回るとか、見た目に
面白いところがない。そういうものなのだが・・・。

 トランスといえば、高校の頃、古い実習棟の薄暗い変電室にあった巨大なトランスを
思い出す。静かにブーンとうなっていた。

 さて、テスターで電圧をはかってみた。出力電圧は、無負荷での電圧である。

 【写真60、61】 左より、1次電圧(約104V)、2次電圧(12V)
 

 うーん、ちゃんと12V出ている。
 教科書に書いてある、巻数比というのは本当なのだな。(当たり前田のクラッカー)

 次に、何か適当な負荷をと思い、ジャンクのパチスロからはずしておいた、
28V3Wのウェッジ電球をつないでみた。
 光った。電球の定格電圧の半分以下だからそんなに明るくないが、光った!

 【写真62】 ついに完成!!!!!!!!!! 


 電球をつないだ状態での出力電圧をはかってみたが、無負荷とほとんど変わらない。

 こんな物に1ヶ月以上も費やしてしまったが、これでトランスというものに対する見方が
変わったと思う。

 電磁鋼板じゃないとダメかと思っていたが、スチールの空き缶でも捨てたもんじゃない。
 (負荷をかけてみれば発熱が大きくなるかもしれないが)

 あとは、評価をしてみたいと思う。無負荷電流を測定したりとか。
 そういえば、理屈の話を書きたかったが余裕がなくて、まだできていない。

 ここで、おまけとして、関連書籍の紹介をしておく。

 【写真63〜66】 関連書籍
   

 左から、順番に・・・
    「モーターと変圧器の作り方」 (山北藤一郎著/科学教材社/昭和22年6月5日・四版)
    「模型製作ABC」 (子供の科学編/科学教材社/昭和22年7月5日・三十九版)
    「少年技師の電気学」 (山北藤一郎著/科学教材社/昭和21年9月20日・第三版)
    「電気器具と電池の作り方」 (山北藤一郎著/誠文堂/昭和9年5月26日・十版)

 最初の3冊は戦後間もなく発行されたもので、使われている紙がとても粗末だ。
悲しくなるほどボロボロで、印刷されている文字や写真がよく見えないところがある。

 最後のは、昭和初期の本にしては、少々ネズミにかじられている程度で、きれいである。
紙もそんなに悪くない。後ろのほうに載っている「子供の科学代理部」の広告が面白い。

 「頭脳の素晴しく良くなる メモリーバンド」は以前紹介したが、最後のページには、もっと
興味深いものが載っている。

 「ジャスパー映写機」というもので、そのスクリーンには、<<アメリカねずみ>>の絵が
描いてある。アメリカねずみというのは、有名なキャラクターである。普通、アメリカねずみとは
呼ばないのだが・・・、ミ○キー○ウスである。
 版権がうるさいらしいので、そのページの写真は載せないことにした。


●2007年1月31日

 早いもので1月も、もう終わりである。

 朝から1本飲んだが、もう材料を作る必要はない。少しホッとした。
 でも、缶コーヒーの在庫は、あと6本ある。


1.発熱

 夜に帰宅後、しばらく通電して様子をみる事にした。負荷は、昨日のウェッジ電球で
ある。

 1時間ほど経過してから、鉄心に触れてみた。温度計が無いのでわからないが、
手の感触では、だいたい35〜40℃と思われる。暖まった時に特有の匂いがした。


2.無負荷時の消費電流

 次に、負荷を無しにして(2次側開放)、1次側に流れ込む電流を測定した。ヒューズを
抜いて、そこに交流電流計(テスター)のリードを触れて測定した。

 結果: 約245mA
 何も負荷をつながないのに、245mAを消費しているのか・・・。


3.気づいたこと

 よく耳を澄まして聞くと、通電中は、わずかにブーンと鳴っている。

 また、漏れ磁束は結構強いかもしれない。B○SSの缶を、鉄心に近づけたら、
微妙に吸い寄せられ、ブーンと音をたてて振動した。


 今日は、製品のコストに関する調べ物に一日を費やして、くたびれてしまった。
 私は、一技術者であるが、回路設計ばかりやっているわけではない。ソフトばかり
いじっているわけでもない。管理的な仕事も増えてきたが、外注先と連絡調整したり、
調査や、文書など資料作成(意外に多い)、新規技術の習得に要する時間のほうが
はるかに多い。

 疲れたので、このへんで。


●2007年2月1日

 朝から1本飲んだ。
 あと5本残っている。

 今日も帰宅が遅くなり、帰宅後は、雑用の処理ばかりで、ほかに何もできず。
 トホホ・・・。

 「うず電流のナゾ」に迫りたいと考えている。


●2007年2月2日

 朝から1本飲んだ。あと4本残っている。

 やはり今日も帰宅が遅くなり、帰宅後は、秋月キットの組み立てをした。

 うず電流が気になる。
 なぜか「Nマシン」を思い出したりした。

 明日(土曜日)は、休みにしたが、散髪や、米を買いに行くなど、用事が
たまっている。


●2007年2月3日

 朝から1本飲んだ。あと3本残っている。

 なんか胃の調子が悪く、手元の胃薬が残り少なくなってきたので、
ドラッグストアで「キャ○ジン」を買ってきた。

 周囲の人間には、胃薬など飲んだこともないというヤツがいて、うらやましい。
胃が痛くなったこともないなんて、信じられない。

 私なんか、胃内視鏡を何度飲んだことか。バリウムも飲んだし・・・。
 十二指腸潰瘍で半年ぐらい薬(ガスター)を飲んでいたこともある。。
 「マーロックス」という胃粘膜保護剤を飲んでいた時期もあったし、風邪薬で
胃炎になって仕事中に倒れ、病院にかつぎ込まれた経験もある。
(それ以来、胃が荒れそうな薬を処方される時は、胃薬も一緒にもらっている)

 今日はトランスに関して何もできず。このまま流れてしまうのはイカン。


●2007年2月4日

 朝から1本、夜に1本、あわせて2本飲んだ。
 あと1本残っている。

 また雑用の処理に追われたが・・・空き缶の残骸を捨ててきた。

 【写真67】 空き缶の残骸


 こういうのを載せると、終わりのような雰囲気が漂うなあ・・・。

 まだ、終わらせるつもりは無い。
 以後、進捗があった場合のみ更新していく方針とする。


●2007年2月5日

 朝から1本飲んだ。
 これで在庫が全て無くなった。当分、缶コーヒーは飲みたくない。

 さて、無負荷時の消費電流は245mAだったが、つまり24.5Wになる。

 ちょうど今日、21Wの電気座布団を見る機会があった。使っている人によれば、
「熱い」という。たかだか21Wだが、ハンダゴテだってそれくらいのものがある。それで
火傷することもあるのだ。

 電気座布団に座り、通電したところ、しばらくして熱くなってきた。尻が熱い。
 これを加減できないかという相談だったので、調光器を持ってきて、これで加減したら
良いです、という提案をして解決した。

 私のトランスは、負荷をつながないでしばらく放置しておくと、鉄心が、だんだん暖まって
くる。鉄心に触れると、わずかにジーンと振動している。

 これから寝ながら教科書を読んで、よく勉強してみるつもりだ。その成果を、少しずつ
発表していこうと思う。


●2007年2月8日

 やはり教科書は、20年近く経過した今でも、催眠デムパを発していた。
 昨夜、読みながら寝てしまった。
 気が付けば午前3時半、イカン、・・・グッタリ。

 さて、理屈の話を・・・。

 先日、負荷をつながないのに1次側に流れる電流が245mAあると書いた。
正式な(電磁鋼板で作られた)トランスは、こんなに流れないと思う。近いうちに
近い仕様のトランスを準備して、実測するつもりだ。

 とにかく、その「損失」について、勉強してみよう。

  ・トランスの損失 ・・・ 大部分は「鉄損」と「銅損」である。
                 ジャック=ドーソンによって定義された。(ウソ)

  ・無負荷損 ・・・ 負荷を接続していなくても1次側に無負荷電流が流れる。
             これが無負荷損を生じる。
             鉄損 + 励磁電流による巻線の抵抗損 + 絶縁物中の誘電損
             大部分は鉄損で、あとは無視できるほど小さいので、鉄損と
             考えて良い。(教科書のママ)

  ・鉄損 ・・・ 「ヒステリシス損」と「うず電流損」から成り立っている。
          電気鋼板は、鉄損が少ない。
          ブリキとかスチールの空き缶は、反対に、鉄損が大きい。

  ・銅損 ・・・ 銅線の抵抗分の損失だったと思う。タブン。(をいをい)

  ・損失は、細かい事を言えば、漂遊負荷損とか、他にもある。
   無視できるほど小さいから、計算に入れないだけ。

 久しぶりに高校時代の教科書(電気技術I)を開いてみたが、数式だらけで、
なんかゲッソリ。
 ルートの中に分数が括弧でくくられて自乗されたのが2つ並んでいて、分数を
見るだけで具合が悪くなるのに、・・・
 ベクトル図なんか、あちこちに出てくるが・・・何のために描いていたのか、よく
わからない。こんな図を描いて何かピンとくるのだろうか。何がわかりやすくなるの
だろうか。今でもよくわからない。

 ・励磁電流 ・・・無負荷の場合に、1次巻線に流れる電流のこと。

 ・ヒステリシス損 ・・・ 励磁電流は鉄心中の交番磁束より位相が進むから
               電力消費があることになる。これをヒステリシス損という。

 うーむ、文字を並べてみても、ゴチャゴチャするばかりで、ちっともピンとこないな。

 トランスの絵に、ここに流れる電流が何々で、といった落書きを追加していったほうが
わかりやすいと思う。

 それにしても、「」ばかり出てきて、面白くないな。

 生きているだけで金がかかるんだもん。何やかんや名目をつけて税金取られるし。
 生きているだけで丸損


●2007年2月9日

 今まで、ほとんど意識したことがないが、市販のトランスの励磁電流は、いかほど
か?
 励磁電流を意識したのは、コンセントに差しっぱなしになっているトランス式の
ACアダプターが暖まっているのに触れた時ぐらい。こいつ無駄食いしてるなと。

 今日は、ジャンクだがまともなトランスを準備して、励磁電流を測定してみた。
 橋本電気製のパワートランスである。

 仕様:
    1次側 0−100V
    2次側 0−6V−12V−48V 0.5A

    (以下、実測値)
    1次側直流抵抗 20Ω
    2次側直流抵抗 0−12V間 1.6Ω


 【写真68】 まともなトランス(2次側無負荷)


 【写真69】 34.2mA!!


 たったの(?)、34.2mAとは!
 おそらく、市販のトランスの励磁電流は、この程度と思われる。他にもいくつか
調べてみたい。

 自作B○SSトランス、無駄食いじゃ〜〜〜

 ほとんど鉄損に食われてるんだろう・・・鉄心を暖めているだけ。
 この原理を応用すれば、缶コーヒーの保温器ができる?

 ところで、「うず電流損」は、鋼板の厚みの2乗に比例する。すなわち、極力薄い
ものを使うのが良い。

 それから、入力電圧が一定の条件では、
   ヒステリシス損は、周波数に反比例
   うず電流損は、周波数に無関係
となる。

 教科書丸写しだが、ひとつひとつ意味をかみしめて、理解するようにしたい。
 (と、自分に言い聞かせる)


●2007年2月11日

 素朴な疑問だが・・・
 トランスの巻数は、どうやって決めるのか?

 本に、1次は1000回巻け、と書いてあったから1000回巻いた。
 2次電圧は1次と2次の巻数比で決まる。12Vにしたいから120回巻いた。

 じゃ、巻数比で決まるなら、100回と12回でも良いと思わないか?
 その方がラクだ。

 1000回巻くのは、やってみたらそんなに大変じゃなかったが・・・100回で済む
なら、手間は減るし、材料も少なくて済む。トランスも小型化できるだろう。

 じゃあ、100回巻いたのを作ってみよう。いまの鉄心を一部抜いて、ボビンだけ
差し替えれば済む。

 いや、まてよ。


      |
      |
      |


 なんか、マズイ感じがする。理由はハッキリしないが、結果が見えるような感じが
する。

 歴史的に証明されているかもしれない。その事実は。

 毒を飲んで死んだ人がいるのに、その毒を飲んでみよう、やってみなくちゃわからない
と言っているようなものかもしれん。

 歴史は繰り返すというが、繰り返してはならない歴史もある。

 マズイ感じがするのは、たぶん、実際に電源をショートして火花を散らしたり、煙を上げ
た経験の積み重ねからきたカンだと思う。

 (自分じゃないが)トランスの2次側をショートさせた現場にいた事がある。その瞬間、
部屋の蛍光灯が薄暗くなり、ブーーーンと、うなるような音がしたかと思うと、スパーン!!
と火花が散って、真っ黒な煙がモクモク上がった。同時に、独特の匂いがたちこめた。
まるで悪魔が降りてきたかのようだった(あくまでも想像)。ヒューズを使っていなかった。

 なぜ、マズイのか、そこを追究していく。
 そこから、トランスの設計法につなげていきたい。

 <素朴な疑問をひとつずつ解決する過程で、理屈を解いていく。>

 教科書の文字を、ただ追うのでは身に付かない。先生の話を、何となく聞いているだけ
でもダメだ。自分から何かに取り組んで、その中で生じた疑問を解決しながら進む。
これが勉強の仕方だと、30才を過ぎてから、ようやくわかった自分が恥ずかしい。


 さて、考えてみれば、単純に巻数比で電圧が決まるなら、1次は10回、2次は1回でも
良くて、入力100Vで出力10Vが得られることになるが、それはおかしいのではないか。

 10回なんて、ほとんどショートじゃないか。

 いや、1000回巻いたって、テスターで抵抗をはかったら、たったの11Ωだった。しかし、
11Ωの抵抗を直接コンセントにつっこんだのとは、わけが違う。抵抗は炎を上げて燃える
だろう。電球は空気を遮断した中に閉じこめてあるから、焼き切れないで光るが。

 だが、トランスはショートにならないのだ。

 トランスは線が巻いてあるからコイルの一種である。コイルは、交流を流すまいとする
働きをもつ。それは、交流における抵抗である。

 単純に、直流抵抗のみで決まっているわけではないことを、確かめてみる。

 自作トランスの抵抗を、電圧(100V)と実測の電流値(245mA)から求めてみよう。
 抵抗は、テスターで測ったのですでにわかっている。

 オームの法則で、 抵抗R=電圧V/電流I より、
 R=100/0.245=408.16 Ω ・・・アレ? 計算が合わない。

 そうだ、電球だって消灯している時は抵抗が数Ωだった。フィラメントが熱くなると抵抗が
増加するんだ。点灯したらすぐに電源を抜いて、電球の抵抗をはかってみるといい。

 トランスも同じで、暖まると抵抗が増加するんだろう?

 いや、トランスの巻線が、通電していきなり赤熱するか?抵抗が増加するほど、暖まって
いるか?
 やはり、電球とは違うのである。

 テスターで測ったのは直流抵抗だった。
 トランスは交流で使うのだから、交流に対する抵抗を求めなければならない。

 その式は、次のようになる。

 誘導リアクタンスXL = 2 × π × 周波数f × インダクタンスL
  単位は Ω

 いきなりタンスがどうとか出てきたが、気にしないでくれたまえ。(をいをい)

 実際に、わかっている数値をあてはめて計算してみる。

 インダクタンス計は持っていないから、トランスのインダクタンスはわからない。
わかっている数値から、インダクタンスを求めるようにする。

 XL = 2 × π × f × L
    = 2 × 3.14 × 60 × L
    = 376.8L

 無負荷時の電流より求めた抵抗値(さっきの408.16Ω)は、交流と直流に対する抵抗値
を足し合わせたものと考えられる。
 トランスの巻線は、直流抵抗も持つから、これを足し合わせることにする。

 つまり、

  R + XL = 408.16

 これからLを求めると、・・・・・・
 う〜〜〜 恥ずかしながら、式の変形がよーわからん。

 分数が出てくると、ウツになるんだよな。
 よくそんなんでエレクトロニクスの設計者を名乗っているなと言われるだろうな。

 やっつけ仕事でいく。

 たとえば、プログラムを組んで、あるパラメータを0.01刻みで、だいたいねらった範囲を
スキャンしてみて、結果がもっとも近いところを探す。

 ポケコンでは、数式を入力してENTERを押すと結果が出るが、また数式に戻って、
一部の数値を変更して再びENTERを押す、という反復操作ができるのである。

 だいたいの見当をつけて、結果を見ながら調整していくというワザ?である。

 だって、設計で計算した抵抗値通りの抵抗が売ってなかったら、ボリュームで調整
するか、2つ3つの抵抗をシリか、パラにして合わせこむしかないだろう。それが現場という
ものだ。
 (レーザートリミングする?)

 それで、式をたててみるが・・・

 408.16Ωから、直流抵抗11Ωを引く。
 408.16 − 11 = 397.16

 397.16Ω、これが、たぶん「交流抵抗」だろう。誘導リアクタンスのこと。

 小数以下がくっついてくるのは、円周率のせいだ。電子工学の問題集では、これを考慮した
問題になっていて、答えがきれいに出るようになっているが、実務では面倒くさいだけ。
 円周率を3とするか否か、議論があったと思うが、実務では3で良いと思う。

 いや、これは408.16は円周率をかけたやつじゃない。もうゴチャゴチャしてきた。
 376.8Lの方だ。

 また計算し直すのは面倒だから、小数以下は切り捨ててしまえ。
 397Ωとする。XLは397Ωだ。

 XL = 376.8L

 397 = 376.8 × L

 L = ・・・ どうやるんだっけ。忘れた。

 やはりLを、だいたい0.5から1.5まで0.1刻みでポケコンで反復計算を・・・

 いや、このくらい思い出せなくてどうする。(何をひとりで熱くなっているのか)

 どっちかだ。2つにひとつだ。

 376.8 / 397 または、 397 / 376.8 のどっちか、答えらしい方だ。
 結果をさっきの式にあてはめてみて、合うほうが正しいのだ。

 376.8 / 397 = 0.949
 397 / 376.8 = 1.054

 うーん、だいたい 1 だろう。
 1ヘンリー[H]だ。

 いや、そんないい加減じゃいかん。どっちも同じような値だが。

 XL = 397 = 376.8L で

 Lが0.949としたら、 376.8 × 0.949 = 357.58
 Lが1.054としたら、 376.8 × 1.054 = 397.15

 うむ、L=1.054だ。間違いない(と思う。)

 これが本当に正しいのか、自分の理解の範囲では正しそうに思えるが・・・。
 何か、見落としているかもしれない。

 本当は、小学校から算数をやり直したいのだ。

 高校を卒業してから専門学校に入った後、中学あたりからやり直そうと試みたが
続かなくて、いまの学業の方が忙しくなって、それっきり。
 いまでもやり直したい気持ちがあるが、なかなかできない。

 小数以下の扱いはいい加減だったが、実際にモノを作ったときにそこまで
精度が出るのか、あるいは、出す必要があるのか、というのが問題になってくる。
だから、1.054じゃなくて、1で十分な場合もあるのだ。

 機構部品の設計だって、CADで0.xxx1とか数字が出てきても実際に作れないし
作る必要もない。単に、設計していく中で、たまたま端数が出てきただけのことだ。

 ある斜線と、ある直線との交点を拾ったら、たまたまその座標に端数がついてきた。
私は加工機の精度を考慮して、四捨五入するなどして丸めて0.1単位にしたりする。

 ところが、それがナットクできない人間もいて困ったものだ。コンピュータの計算結果
を、鵜呑みにするタイプだろうな。その上、アタマが固い。私が数値を丸めているのに
対して文句をつけてくる。
 そもそも、100分の1すら問題にならんのに、そこまで出す必要がないのに、アホ
しか思えん。

 こういう、「石頭」を説得する方が、電気の勉強よりも、ずっと難しい。
 これも「実務」というものだ。

 そう思えば、交流理論も軽いものだ。(ホンマかいな)


 まだ、気になることがある。
 自作のトランスは、鉄損が大きいことがわかっている。鉄心を暖めるために、無駄な
電力を消費しているのだ。

 だから、あの無負荷時の電流から求めたインダクタンスは、「見かけ上」のものじゃ
ないだろうかと、気になっている。

 無駄食いでアッチッチ、でも、インダクタンスはインダクタンスなのだろうか。
鉄損などを含めて総合的に計算しなければならないのだろうか。

 その、無駄食い係数?とやらを、あとで考えてみようと思う。


 話は変わって、なんで100回とか10回巻きじゃダメっぽいのか、という理屈を
述べていこう。

 ふと思ったが、これはインダクタンスと関係がある。

 インダクタンスとは何かというと、巻数だと思う。コイルの。
 かなりおおざっぱな話だが・・・巻数に比例するのは間違いない。

 これを書いているのは正午すぎで、腹が減ってきたから話を早くまとめようという
意図が働いているのがバレバレである。

 本当におおざっぱだが、1000回を100回に減らしたら、インダクタンスも1/10に
なる。

 ということは、さっきの式(どれだ?)を思い出すと、電流が10倍にならないか。
 2アンペアも3アンペアも流れたら、あの細い巻線が、焼けてしまうと思う。

 もし10回だったら、これは言うまでもない。悪魔が降りてくるのは間違いない。
 会社でやったら、非難ゴーゴーの大嵐である。

 スライダックの仕組みをウッカリ忘れて、地絡させてしまい、主幹の漏電ブレーカを
落としてしまった、あの覚めない悪夢を思い出す。


 細かい話は飛ばしてカレーを食いたいが、
 インダクタンスは、磁束と電流も関係している。

 磁束といえば、鉄心だ。鉄心を通るわけで、これがもし細かったら、そして、
鉄心が無かったらどうなる?とも考えられる。

 それから、さっきの誘導リアクタンスの式に周波数fが含まれていたことから、
周波数にも関係するはずだ。
 もしかして、周波数が高かったら、巻数が少なくても全然OK?と考えられる。

 小さいスイッチング式のACアダプターがあるが、あれが小さくできるのは、
もしかして、周波数が高いからトランスが小さくできるせい?という疑問が生まれるのだ。

 逆に、周波数が低かったら、ヤバくなる?ということも考えられる。うちは九州だから
60Hzだが、東京の50Hzではどうか。差がそんなにないから、問題ないかもしれない
けれど。

 だんだん面白くなってきたが、腹も減ってきた。とりあえず、ここまで。

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 試合再開。

 昼メシを食いにいくつもりが、ハ○ドオフの引力に負けて、またイラン物を買ってしま
った。荷物がかさばるので、一旦、自宅に戻り置いてきた。それで出直してカレー屋へ。

 行く前に、何となく手に取った「スイッチング電源設計入門」(佐藤守男著/日刊工業
新聞社)を見たら、ACトランスの設計と試作、ということで少しだけ解説があった。

 ここに、”ACトランスを設計する上で次の式が欠かせない”として、
          E=4.44fnφ
という式があった。
 f: 交流周波数、 n:巻数、 φ:磁束、 E:交流電圧の実効値

 この式を使えば、巻数を決めることができる。こんなのがあったのか!

 磁束の値というのが、パッとわからないが・・・飽和磁束密度はコア材によって異なる。
この本には、珪素鋼で1.6〜2.2T、フェライトでは0.3〜0.6Tと書いてある。

 しかし、B○SS缶コーヒーの空き缶の飽和磁束密度のデータなど、どこにも無い。
メーカーに問い合わせるだけ無駄というものだ。

 自分で測定するにはどうしたらよいか今すぐにはわからないが、こうも書いてある。
”なるべく巻数を多くした方が磁束密度の変化の幅が小さくなり、トランスのロスが小さ
くなる”
 この本では、さまざまなマージンをみて1次巻線の巻数を764回と計算している。
以上のことから、多い分はかまわないと解釈して良いと思う。但し、極端に多いと問題が
あろう。抵抗(銅損)が増えるわけだから。それに材料がもったいないし、トランスが、
でかくなる。

 これで1次巻線に最低限、必要な巻数の求め方の裏付けができた。やはりラクをして
100回とか適当にやっていたらダメなのである。でも、あえてそれをやってしまうのも、
貴重な経験になると思う。チャレンジャーな方は挑戦されたし。


 そのほか、鉄心を他のやり方で作ったらどうかと、いろいろ妄想をめぐらせてみた。

 フェライトで作れたら最高だが、うちの台所では製造できないと思う。代替手段として
砂鉄をシリコンコーキングか、エポキシ接着剤で固めたらどうか。まったくの素人考えだが
・・・。

 原料の砂鉄は、公園の砂場で集めてくる。

 いまどきの子供が砂場で遊ぶのか知らないが、我々の世代は、山を作り川を作り、
水を流したりして遊んだものだ。
 落とし穴も、ちょっとしたブームになっていた。

 大小さまざまな落とし穴を掘って遊んだが、それまでの集大成とも言える、最高に気合を
入れた落とし穴を掘った。

 見た目でわからないように砂をかけてカムフラージュすると同時に、すぐ横に、落とし穴っぽく
見えるような細工をしておいた。穴のフタのビニールのように見せる為、ニセ穴の周囲に
ビニールの切れ端を埋めて、こっちが本物だと、アピールした。

 それから、誰かを呼んできて、落とし穴に誘い込んだ。いかにも落とし穴らしく見える
所は避けるものだ。うまく本当の落とし穴に落ちるように、歩かせたりした。
 しかし、穴を掘るだけで昼休みの大半を使ってしまい、タイムリミットがせまっていた。
私には、多少のアセリがあった。

 ホラ大丈夫だろう、と、ピョンピョンはねたりして、本当の落とし穴はコッチ!(偽物の方)とか
言いながら、なんと、自分が本当の落とし穴にハマってしまった。

   ボソッ・・・・・・・・・ゲーッ!!!!

 あんなに深く掘って、泥水どころか、犬のクソまで入れた事を本当に深く後悔した。
 何が、今までの集大成だ。

 周囲の砂が崩れ、足がハマって抜けない。
 マジで、ピンチだと思った。

 ・・・以後、落とし穴禁止令が出て、落とし穴ブームは急速に廃れていったのだった。


 昔は、砂場に犬や猫のクソが落ちているのなんか珍しくなかった。ちょっと砂を掘って
いると、それらしい物が出てきたりしたのだ。それでも、我々は寄生虫がついたり、
病気になった事はなかった(と思う)。

 校舎の2階とか3階の窓付近に、鳩のクソがくっついているのを、素手でつかんで
下を歩いている人に投げたりしたものだ。

 TVで見たと思うが、いまは砂場の砂を定期的に入れ替えたり、殺菌して戻す装置が
あるらしい。そこまでするか?と思うが・・・

 我々は、砂場の犬のクソを手づかみにしていたし、その後に手を洗う時には、砂を
洗い流す程度にしか考えてなかったと思う。適当に体操服で拭って、その指で鼻くそを
ほじったり、爪をかんだりしていた。(笑)

 いまは予防接種も廃止されたらしいが、我々の頃は、注射がイヤで泣き叫んで逃げ回る
ヤツなどがいた。私は、病弱なほうだったから幼い頃から注射には慣れていた。でも
最初は注射がイヤで、必死で逃げ回っていた覚えがある。幼い頃、病院では、尻に注射
されていた。
 腕に注射されるようになってから、ちょっと大人になった?と思ったりした(笑)。

 で、その後、当時は学校でゴミを燃やしていたから、注射器も焼却炉に放り込まれてい
た。当然、注射針は取り除いてあったが、一部、付いているものも混じっていた。今なら
大問題になるかもしれない。
 やはり小学生だから、それをオモチャにして遊んでいた。針が付いているのだけを選んで
集めていたヤツもいた。私も何本か、針が無いのを選んで、水鉄砲にして遊んだ。
 家に持ち帰ったら、親にものすごく怒られたと思う。

 どうやら、「使用済みの注射器」と「おみくじ」は、家に持ち帰ってはいけないというのが
わかった。ちなみに「おみくじ」は、冬休みあけに神社の木にたくさん結んであったのを
見つけ、家で”おみくじごっこ”をしようと思ってたくさん持ち帰ったものだ。

 まあ、それはいいのだが、いい大人が砂場で砂鉄を集めるというのは、ある意味で、
不審な感じがする。それじゃ砂浜で、ということになるかもしれない。
 今でも、砂浜に黒い砂(砂鉄?)がたくさん集まっている部分を見つけると、微妙に
トキメキが走る。


 全く違う話になるが、うず電流のナゾも解き明かすと言いながら、まだやっていない。
こうしている間にも、その原理を応用した電力計が、私の知らない間にグルグル勝手に
回って、課金しているのだ。
 原理がわからない限り、バテレンの魔術のようなものにだまされて、課金され続ける
のだという妄想が脳を駆けめぐるのだ。

 自宅を出る時にメーターを見ると、ジーッと、ゆっくりにしか回っていないが、たぶん、
私のいない間に、電力会社から送られてくるデムパによってキューンと高速回転してい
るかもしれない。


 まじめな話、コアとしてラジオのフェライトバーアンテナを利用してはどうだろうか。
曲げられないから、長いのと短いのを4つ、必要に応じて複数本を束ねてみるとか。

 「モーターと変圧器の話」には、針金をぐるぐる巻きにしたものを鉄心にしたトランスの
作り方も紹介されている。ブリキ板の鉄心より性能が良いようだ。
 鉄心のどこにもつなぎ目が無く、円形なので磁力線が通りやすいとか。

 それから、この本には、変圧器の設計法が書いてある。これを、抜粋しながら、
設計法について考えていきたいと思っている。


●2007年2月12日

 セメダインについて

 山北藤一郎氏の本には、接着に「糊」や、「膠」(にかわ)を使うように書いて
あるが、「セメダイン」も出ているのが意外だった。昭和初期に、セメダインが
あったのだろうか?

 検索したら、メーカーよりも下記のリンク先の方が、歴史について詳しく書いてあった
ので紹介する。

 COMZINE「セメダイン」 (NTTコムウェア株式会社のサイト内)

 セメダインは最初Aで、膠を化学処理してチューブに詰めたものだったそうだ。
セメダインBを経て、溶剤型のセメダインCは昭和13年に完成したと書いてある。


●2007年2月19日

1.近況

 パソコンの修理などをしていたら、あっという間に1週間が過ぎてしまった。

(1)パソコンの修理
 起動後、やたらに重くなって操作を受け付けず、エラーを出したりするパソコンが、
見捨てられて私の所に来た。
 ここの記事とは関係ないので、細かく書かないが、ハードウェア系の問題と判断して
調べたところ、結果的にCD−RWドライブが不良で、それを取り外したら正常に動作
するようになった。

(2)電子点灯管
 10年ぐらい前から気になっていたが、いいや、今まで通りの安いグローランプで、と
なかなか手がのびなかった。それが、急に気が変わって、先日買ってみた。
 買ってすぐ台所に取り付け、点灯テストしてみて、フーン、ナルホドとナットク。それから
ヤスリを持ってきて、ぐるり一周、傷をつけて分解。
 カバーのプラスチックは割ってしまい、中の基板をひきずり出し、回路図を起こそうとして
いるところ。
 分解する前は、中身は大して入っていないだろうとナメていたが、実際には本格的な
回路が入っている。
 グローランプの代わりに、ドライバーの先端をつっこんでショートしても蛍光灯を点灯させ
る事ができるのは知っているから、大した回路じゃなくて済みそうなものだ、と思っていた
が・・・。

 グローランプが、スイッチを入れた直後にチカチカしないと雰囲気?が出ないから、
青色LEDでも仕込んでやろうかと、妄想を膨らませている。


2.トランスの評価

 無負荷損の測定方法が、高校時代の教科書に載っていたので、実際に試して
みたい。

 高圧側を開放して、低圧側に定格周波数の定格電圧を加えて、電流計と電力計
を読む。
 このとき、電力計は無負荷損を、電流計は無負荷電流を示す。

 無負荷損−銅損=鉄損 だが、銅損は小さいから無視する。無負荷損=鉄損とする。

 自作トランスは、鉄損が大きいのは間違いないだろうが、それがどれくらいなのか
これでハッキリする。

 あっ、電力計は持ってないし・・・。


●2007年3月11日

 しばらく更新してなかったので、どうせ飽きて放り出したんだと思われているかもしれ
ないがその通りである(をい!)。

 さて、以前から持っていた本の話なのだが、昨日、別の資料を発掘したので、本棚の
一部が露出した。そこに、「NECパソコンの父が今、語る・反骨のすすめ」(渡邊和也
著/マイクロマガジン社)があった。

 一度は、最後まで通して読んだと思うが・・・記憶にない。なにしろ、うちは、古本屋に
布団を敷いて寝ているようなもので、部屋の匂いは、まさに古本屋のそれだと思う。
 すでに管理しきれなくなっていて、最近は、同じ本を2冊買ってしまうという失態
何度かあった。しかも高価な本だけにガッカリである。

 この前ようやく終わったが、2005年分までのインターフェースと、デザインウェーブを
全て処分した。1ページずつバラして、毎日ヒーヒー言いながら?、シートフィーダの
スキャナにかけてPDF化した。重労働だった。これで部屋が少しでもスッキリしたかと
いうと、・・・・・・はっきり言って、見た目では全然変わらない(笑)。

 雑誌などの資料は、必要な時にパッと出して活用できなければ持っている意味が
ないと考える。活用してこその資料である。

 現実は、こうじゃないだろうか・・・
        こういう働きの回路、どこかに載っていたよな、
        確かトラ技に載っていたが、さて、何年の何月号だったっけ。
        トラ技の記事のタイトルは検索ソフトがあるのでキーワードで探せる。
                                     (トラ技データベース
        ところが、本棚に順番に並べていないから、積み上げた山を崩して
        片っ端からひっくり返して探さなければならない。
        探しているうちに、面白そうな記事があって、つい読みふけってしまう。
        それもあって時間が過ぎてしまう。

 PDF化して、パソコンのHDDに格納しておけば、場所は取らないし、必要な時に
パッと取り出せる。コピーしたいページがあったら、そのままプリントアウトできる。
(あくまでも個人的な利用の範囲内で)

 いや、ペーパーレスだから、プリントするという習慣をなくすのも大切である。

 今度は、トラ技をPDF化したいのだが、1989年頃から現在まで、あの分量を思うと
グッタリしてなかなか着手できない。でも、片づけたら部屋がかなりスッキリする
だろう。これは魅力的だ。トラ技だけは、なかなか捨てがたい気持ちもあるので、
バラした後は、別のファイルに綴じて、しばらく保管しておくか、と思う。

 いらん心配かもしれないが、パソコンの世界は変化や進化が激しい。もしかしたら、
将来、PDFが滅びたりしないだろうか。
 実際にアクロバットリーダーは、古いバージョンを使っていると、正しく表示されない
とか文句言うし・・・ある時点で、古い形式は切り捨てたりしないだろうな。
 PDFが滅びそうになったら、今までのPDFデータを全部プリントアウトするか、後継の
形式にドンドン変換する作業が必要になるか・・・。

 CD−RやDVD−Rに保存するのは、二重にバックアップしておかないと不安だとか、
1カ所に置いておくのは心配だから、2カ所に分散して保管しようとか、心配をし始めたら
きりがない。(笑)

 まあ、部屋のスペースは増え、古本屋特有の臭いは減る、だろう。(笑)

 そういえば以前、ラジオライフだったか、ずいぶん昔の話だと思うが・・・日本全国の
電話帳を取り寄せたヤツの話があった。電話番号の規則性を調べるのだったか、公衆
電話の電話番号を調べるのだったか、目的は何だったのか忘れたが・・・とにかく「臭う」と
書いてあったのだけは覚えている。
 ちなみに、日本全国の電話帳は、図書館に揃えてあったりする。私も高校生の頃、
島原図書館にあった東京の電話帳で、有名人の名前を探したりして遊んだ。単に探して
見つかったら喜ぶだけだったが、意外に載っているものである。

 さて、前置きが長くなったが、その「反骨のすすめ」をちょっと読み返していたところ、
興味深い記述があった。
 126ページあたりから、モーターを手作りした話があって、そのモーターを動かす電池の
代わりにトランスが必要で、そのトランスも手作りしたくだりがある。

 モーターは、お茶の缶と、トタン屋根の余った部分を使った、とある。

 そのモーターを回すために、非常用ランプから電池を借用してバレた。それでトランスが
欲しいが、買うお金がなくて自作した。

(127ページより引用)
> 鉄芯はやはりブリキで、トタンの切れ端を短冊型に切り取ったもの約二百枚ロの字
> 型に組み上げるのだが、そのまま使うと渦電流損で発熱するので、たき火の中に
> 入れて色が赤くなるまで熱することにより表面を酸化させる必要があった。

 なお、トランスに使うエナメル線も、旧軍隊のモーターを壊して取ったとある。


 うーん、やはり、山北氏の本を見て製作されたのだろうか?


●2007年4月5日

 あっという間に4月になった。

 桜が咲いて、
 雨が降って、強い風が吹いて、
 見るヒマもなくパッと散る。

 あれこれ色々忙しくて、落ち着かず、ホームページの更新ができなかった。

 いや、忙しい時ほど、くだらん記事を書いて現実逃避するのが良い。

 トランスのネタは尽きたし、と、ネタが尽きたんじゃなくて単に「下がった」
だけなのだが。

 継続を、との要望があり、こんなくだらん記事でも読んでくれる方がいるのが
気になって、ちょびっと、やる気が出てきたようである。


 さて今回は、この前からの課題だった「無負荷損」の測定をした。教科書通り
だが、実際に確かめてみる。

 結線は図7のように、・・・・・・アッしまった、いきなりAC100V INじゃない。
 図は間違い。いまごろ気づいたが、面倒だから修正しない。(をい)

 ノートの隅に殴り書きしたような図が、やる気を感じさせない。

 本当は、スライダック(または他のトランス)経由で、製作したトランスの
低圧側(2次側)に、トランスの低圧側定格電圧であるAC12Vをかける。

 AC100Vをかけたら、たぶん悲劇が起きるが、怖いから実験しない。

 【図7】


 高圧側(1次側)は開放して、誤って触れたりショートしないように注意する。
 実際には差し込みプラグが剥きだしになっているからだ。

 電圧計をにらみながら、スライダックで0Vから徐々に電圧を上げていく。
 少しでも異変があったら、すぐに電圧を0Vに戻すか、切断できるように
しておく。

 スライダックを回していくと、どこまで行ったらキケンなのか確かめたくて
しょうがない。
 「こ、これ以上はキケンであります!」
 「かまわん、・・・電圧最大!、あげろ〜!!!!」

 教科書(電気技術I・上)では、上図の回路に電力計も含まれていたが、
私は電力計を持っていないので省略した。電圧と電流のかけ算で、電力を
求めることとした。

 まず、写真70の組み合わせで測定した。結果は1.95Aだった。

 【写真70】 自作トランスと、スライダックを接続


 続いて、自作トランスから橋本トランス(写真71)に接続し直し、測定した。
 結果は0.19Aだった。

 【写真71】 再び登場の橋本トランス


 前述したように、教科書通りなら、電力計の読みが無負荷損なのだが、
ここでは、電圧AC12Vに電流をかけ算して求める。力率は仮に1とする。

 自作トランス・・・ P=VI=12×1.95=23.4W
 橋本トランス・・・ P=VI=12×0.19=2.28W

 以前に確認した「無駄食い」の再確認に終わったようだが、とにかく、
無駄食いなのである。

 自作トランスは、電流が多いので電流計を見ながらドキドキしていた。
写真をみるとわかるように、細い線でつないでいたから、焼けるんじゃ
ないかと思って。


 話は変わるのだが、昔からラジオ工作などでおなじみのSTトランス、
もとは山水の製品を橋本電気に移管されて現在に至る。

 よく1石ラジオなんかのクリスタルイヤホンをつなぐやつに、ST−30が
使われていたのを思い出す。
 子供の頃の私は、このトランスが嫌いだった。手に入れるには、通販しかなかった
からである。手元にあるジャンクから取れない部品のひとつだった。

 何かといえば、この厄介なトランスが出てくる。アンプの出力にST−45があって
8Ωのスピーカーがつながる。あるいは、回路の途中に何段かトランスが入っている。
そういう製作記事は、実際に作る気が起きなかった。

 泉弘志さんの製作記事で、STトランスをよく見かけたものだ。たまに、トランスを
使わないで抵抗で代用したのがあり、そういうのを見るとホッとして、作りたくなった。

 通販でしか買えない貴重なトランス、その1個を、以前に作ったラジオから
部品取りして、再利用していた。何度も使い回すうちに、リード線は短くなり、
あるいは、根本から切れたりした。

 当時は、リード線の皮をむくのにニッパーしか知らないから、ひっぱられて
ちぎれてしまうのである。切れてもくじけず、意地になり、根っこからほじくり返して、
線をつないだような感じもする。

 ジャンクから取れないと書いたが、本当に、一般の電気製品の中で見かけた事は
ない。需要があるのかと思うが、いまも生産され続けているから、どこかに需要が
あるのだろう。

 どこだろう・・・・・・と思ったら、まさか自分のところにその仕事が来るとは。
もう何年か前だが、鉄道関係の放送設備の基板だった。トランスの型番が懐かしかった。
 じつは最近も、別の仕事でSTトランスに再会した。自分が思っている以上に、需要は
多くあるようだ。

 10年以上前に、モデム関係をやっていた時には、電話用のライントランスを使って
いた。絶縁のためにも、電話回線にはトランスしかないと思いこんでいたが・・・・・・。
 ご存じのように、電話回線に接続する機器は「認定」を取得しなければならないが、
それに関する資料を読んでいて、ライントランス以外の方法があるのを知った。
 回線に直流をかけてはいけないという規格だったと思うが、例えば、コンデンサで
接続する方法もある。(交流的な接続)

 その後、実際に、現物を見ることができた。パソコンのISAバス用のモデムカードが
そうなっていたのである。確かに高耐圧のセラコン2個のみで接続されていた。


 ところで、ジャンク基板に付いているトランスをはずして保存しておいても、もともとの
素性がわからないから使いようがない。子供の頃、自分の中では、そういう認識だった。
 もっとも、当時は知恵が不足していたと思う。周辺の回路とか、電圧を調べておけば
良かったのに。
 あるいは、ほぐして巻き直すぐらいの根性は無かったのか。無かったのである。

 IFTなどもトランスの仲間だが、スーパーラジオ用の規格品とか、FCZコイル以外は
ほとんど特注品のようだ。家電品の中を見ても、流用できそうなものは見あたらない。

 雑誌の製作記事で、例えばFMワイヤレスマイクなんか、ボビンにエナメル線を何回巻け、
と書いてあった。あるいは空芯コイルもあったが、それらの巻き数の決め方まで説明して
なかったのが残念である。

 というのは、そのへんがわかっていないと、自分で応用できない。鉛筆に錫メッキ線を
何回巻いて、何回目からタップを出せと、書いてある通りに作るだけで終わってしまう。
 理屈がわからないから、試行錯誤で周波数の変更を試したりする事になる。

 子供の頃は、身近に専門書がほとんどなかったから、そういう情報に触れる機会がなか
った。「ラジオの製作」とか「初歩のラジオ」が全てだった。


●2007年5月3日

 棚に置いていたトランス、何かの拍子にひっかかって床に転落、
ボビンの一部が、欠けてしまった!

 【写真72】 セメダインスーパーXを塗布して乾燥中。(5分待て)


 また、物を落として壊してしまった。ガッカリ。本当にガッカリ。

 昨日、現場で天井付近のLANの配線をいじっていたら、神棚の
花瓶に触れてしまい、・・・・・・カシャーン!と砕け散ったのである。

 そうなる事態が予想できるなら、最初から花瓶を撤去しておけよと
言われそうだ。しかし、まるで考えの中になかった。脚立にのぼって足下に気を付けて
ペンチを持って、配線を押さえているやつをはずして、・・・これだけで頭の中は
いっぱい。スタックオーバーフロー。

 一度の失敗で、この後の作業が、いまいち不完全燃焼なのが自分でもわかった。
なんか調子が悪い。段取りが悪い。うっかりミスをした。疲れているのか。
 あとから考えれば、ああすればよかったこうしておけばよかったと、自問自答の繰り返しで
頭がボーッとする。

 運転でもしていれば、事故を起こしていたかもしれない。そう、こういう状態の時が危ない
のである。

 そういえば、最初に自動車教習所に通っていた頃を思い出す。運転の練習をしていて、
何か失敗すると(たとえば脱輪とかエンスト)、それがずっと後まで尾を引いて、以後ボロボロ、
という状態になるのが多かった。
 先生には、クヨクヨ考えるな、過ぎた事は忘れて目の前のことに集中しろ!と何度も注意
された。

 まあ、その頃に比べたら、だいぶ改善していると、自分では思うが・・・こう悪い事が重なると
ちょっと気が滅入ってしまう。


 さて、欠けたやつを貼りあわせよう。

 【写真73】 貼りあわせたところ。


 鉄心もズレてしまったので、修正した。
 この機会に、ニスを塗って固めてしまうか?と思う。


●2007年5月5日

 接着した部分は、十分にしっかり付いていた。少し力をかけてみたが、はずれる心配は
ないようだ。この接着剤は、今回初めて使ったけど、なかなかの物だと思う。

 自分の中では、一度壊れた物は、二度と元には戻らない、という感覚があった。それで、
接着剤には、あまり期待していなかったのだ。くっつけても、すぐにはずれてしまうんだもん。

 とくに大切な物に限って、うっかり壊してしまうことが多い。茶碗とか、親父の持ち物とか、
オモチャとか。

 例えば、引っ越しの時、茶碗を重ねてヒモでしばったやつを運ぼうとしたら、崩れてしまい、
床下収納の中にガシャガシャーン!!とぶちまけてしまった事があった。

 親父の・・・というのは、一番厄介なパターンで、親父が留守の時にコッソリいじっていたら、
壊してしまった。やってしまってから、深く後悔するのである。ああ、下手にいじるんじゃなかった
と・・・これ、見つかったら大変だ。タダじゃ済まない。さわらなきゃよかったと泣きべそになる。

 ※しかし、何度も経験するうちに、どうやってごまかそうかと、悪知恵も働くようになる(笑)。

 親父のラジカセを分解して、抵抗を根っこから折ってしまった時は、追いつめられた感じがし
た。

 親父は、物を大切にするので、ちょっと傷をつけただけでもうるさかったのである。自動車の
ドアを少し強く、バンと閉めただけでも怒られた事がある。わずかに傷がついただけでも、
いちいちタッチペイントで修正していた。そんな感じだから、とにかくヤバイのだ。

 今では、抵抗なんかいくらでもあるが、当時は壊れたテレビを拾ってくるか、ものすごく敷居の
高い通販に頼るしかなかった。(1.おこづかいを調達して、2.現金書留封筒を買い、3.エレック
センターのカタログを調べて注文書を書き、4.郵便局に持っていき、5.高い料金を払う必要が
あったので、敷居が高かった)

 いまでも2.2KΩだったのを覚えている。ちなみにゲーム&ウォッチの圧電ブザー回路にも
2.2KΩがあった。それが初めて読んだカラーコードだったと思う。

 さあどうしよう。抵抗の根っこから折れたヤツ。
 削って、足を少しでもむき出しにして、ハンダ付けできないか。とにかく必死だった。変な汗が
タラタラ出てきた。

 ラジオ回路の基板は、簡単には取り外せない。なぜなら、ダイヤル糸がかけてあるからだ。
これをはずしたら、元には戻せない。当時、小学生のガキだったから、ダイヤル糸を元通りに
かけ直す自信がなかった。根性がなかった。

 しかしハンダ付けは、基板の裏面にアクセスせねばならない。どうするか。
 ダイヤル糸が戻せるギリギリのところまで基板を持ち上げ、あとは細かい事は覚えていないが
とにかく抵抗をくっつけたのだ。
 ハンダ付けは、いまいち心配だったので、抵抗と基板の間に接着剤をたらしておいた。これで、
とにかく落ち着いたワケだ。


 トランスに関して、ほかにも追究したいテーマがあるのですが、
 それらは別の機会にして、
 とりあえず、ここまでで一区切りにします。

 今まで読んでいただいて、有り難うございました。


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