リサイクル人生 「クランプメータ」

 壊れたクランプメータがほったらかしになっているのを見つけて、拾ってきた。
落としたか、ぶつけたか、重い荷物の中でつぶされたのか、原因はわからないが、
外装も、中の基板も割れていた。当然、動作せず。

 すごいぜ、単3電池は横っ腹に激しいパンチ?を受けたみたいにへこんでました。
ノックアウトかと、いったんは捨てたのですが、気になって拾い上げ、テスターで調べ
たらバッテリーはビンビンだぜ! 使う事にしました。
 血を吐くみたいにガハッ、と液漏れするんじゃないかと(そんなわけないが)怖いで
すが・・・。

 基板は、見た感じ、なんとか直せそうだったので、今日の午前中いっぱいで修理し
ました。

 これが基板。
 ひび割れている部分は、少し白っぽく見えるでしょう。
 けっこう重傷です。でも部品は全て無事だったのが儲けモノ。


 ヒビの入っている部分にエポキシを塗って、補強する事にします。よく接着剤が付着
するように、まずは基板を溶剤で洗い、ヒートガンで乾燥しました。


 パターンは、あちこち断線しています。やはり重傷です。
 ひとつずつ直していきましょう。


 パターン切れの修復方法は、レジストを削って銅箔を露出させ、メッキ線をハンダ付け
して接続します。距離が離れている場合は、ビニール線で接続します。
 補強の意味もあって今回は、主にφ0.8のメッキ線を使用しました。

 割れている箇所にはエポキシを塗布します。
 2液混合エポキシをねりねり。5分硬化型ですから迷っているヒマはありません。
 一気に勝負!!です。


 ツギハギだらけですけど、なんとか全ての断線箇所をつなぎましたよ!!
 メッキ線の曲げかたが上手でしょう?パターンにそって微妙に曲げました。


 ヒューズホルダーや、電池ホルダーのバネがゆるんでいるのを曲げて、強く
しておきます。

 外装で、欠けたり割れている部分にエポキシを塗って、できる限りの修復をしました。
 見た目は結構ボロい、クランプメータですけど、機能は完全に復旧できましたよ!!


 抵抗と電圧測定もできます。
 テスト棒のリードをそれぞれのジャックに差し替えて使うのですが、うっかり、抵抗側の
ジャックにさしたままコンセントにぶちこんでしまいました(笑)。でも壊れませんでしたよ。
そのへんはちゃんと考えてあるのでしょう。


 ついでに、「ラインスプリッター」を自作しました。
 偉そうな名前ですが、単なるAC中継コードです。線を1本ずつに裂いて、その片方に
クランプメータをこの写真のようにくわえさせると、電流測定が簡単にできるわけです。


 そういえば、リレー式電卓の消費電流を測定した事がないので、今度はかってみよう。

 ハンダ吸い取り機の消費電流を測定したら、最初冷えているからか1Aを超えていました。
フルに通電しているのでしょう。

 導体の抵抗は温度が低いほど小さいです。それは電球がそうでしょう。ソケットから
はずして測定した抵抗値を、100Vで割ったらこんなに電流が流れるはずがないと思う
でしょう。実際には、暖まると抵抗が増加するので、電流が制限されるわけです。

 電気スタンドの40W電球の抵抗値をはかってみたら、冷えた状態で22Ωでした。
I=V/Rで、100/22=4.55A、そしてP=V×Iで、100×4.55=455Wって、
そんなわけはありません。あくまでも電源を入れた瞬間だけでしょう。
 数秒間、点灯したあとの抵抗値は28Ωでした。消灯して温度が下がったからでしょうか。
本当に点灯中の抵抗値を測定する事はできないので、電流計を入れて電流を・・・あっそうか、
クランプメータで測定すればいいんだ。
 なお、電球の抵抗値を測定する場合、点灯後の電球は熱いので、ソケットからはずさないで、
スイッチON状態で、電源プラグを抜いて差し刃にテスターをあてると良いのです。但し、調光器
などを内蔵していない単純な回路の電気スタンドに限られます。

 それでハンダ吸い取り機は、しばらく見ていたら、クランプメータの針がピコピコ動くように
なりました。ヒーターに断続的に電流を流して、温度を一定に保っているんですね!


 最小のレンジは6Aでして、テレビとか、たいていの電器製品は100W(つまり1A)前後です
から、指示値が小さくて読みづらいものです。
 そういうときは、クランプメータの原理を考えてみます。

 原理は、要するにトランスです。トランスの一次側と二次側の電圧は、巻き数比で決まる
わけですが、クランプメータの場合、ラインスプリッターの巻き数は1(トロイダルコアでコイルを
巻くときに、線を1回通すと巻き数1と数えます)で、クランプメータ内部のコイルの巻き数は知りませ
んが、見た感じ、けっこうグルグル巻いてありました。

 ここで、試しにラインスプリッター側の線をクルッと巻いて、2回クランプに通してみます。すると
メーターの指示値がさっきの2倍になりました。巻き数が2倍になったからです。
 最小レンジはフルスケール6Aで、0.1Aなんかほとんどゼロみたいなものです。そういう時は
線を10回巻いて、10倍にして測定すれば良いのです。
 このように工夫して、電流が少なくても正確に読みとる事ができます。これは電気屋の常識
との事です。(なんだ、ひとから聞いた話か^^;)

 同様に、はんだごて(100V/18W)の電流をはかったら、160mAでした。つまり16Wです。
レーザプリンタLBP−320の待機状態では40mAでしたが、これも10倍にして読む事ができま
した。

 ついでに、リレー式電卓の消費電流は、意外に少なくて、待機状態0.6A、演算中1Aでした。


 それと、漏電ブレーカの原理を考えてみよう。
 電灯線は2本線ですが、なぜ、クランプメータは片方にしかくわえさせないのか。それは、
2本の線に交互に電流が流れ、磁界が打ち消し合っているから、クランプメータのコイルをかませて
も、磁界が生じず測定できないわけです。2線の電流のバランスがとれているからです。
 ここで、もし2本線以外に電流が流れるルートがあったら、2本線の磁界のバランスが崩れるから
磁界が生じますよね。これを検出すれば、漏電といって、意図しない経路で電流が漏れた事を検知
して、電源を遮断する事ができるわけなんです。


 最近クランプメータが欲しくてたまらなかった、というほどでもないですが、あれば便利
だなと思っていただけに、今回手に入ったのが嬉しいです。

 ただもっとゼイタクを言えば、直流用のクランプメータが欲しいところです。じつは、クルマの
バッテリー管理をしたいんですね。
 電気屋としては、クルマのバッテリー上がりは、電気屋の恥と思うのです。
おおっ、偉そうに・・・・・・。

 じつは偉いとかじゃなくて、去年の夏に、島原の花火大会を見に行った時、自分の前のクルマが
バッテリー上がりで動かなくなり、駐車場まで押すのを手伝ったり、連絡をとったりしていたら、
いつの間にか花火大会が終わっていて見られなかったのが悔しいだけなんですね(笑)。

 夜でライトをつけて、エアコンをつけて、渋滞でずっと動かなかったらバッテリーも大変でしょう。
オバチャン車なのでバッテリーをちゃんと点検しているのか疑問ですよ。

 まあとにかく、自分はバッテリー上がりだけは避けたいと、思うのであります。
 そのために、ふだんからバッテリーの状態を知って、いたわりたいのです。世の中には、すでに
アンメータというものがあります。バッテリー電圧計とかアンメータを標準装備している車も
あるでしょうけど、うちの車にはそんなものありません。タコメータすらありません。

 ただ車のバッテリーは、大電流を流すものですから、配線の途中を切ってシャント抵抗を入れたり
したくありません。配線をいじらずに電流を測定するには、クランプメータしかありません。

 ユー・アール・ディーの電流センサは有名です。AC用もDC用もあります。
 DC用をサンプルで手に入れて、試してみようと思っています。いずれ、ここで報告できるでしょう。
AC用に比べてけっこう高いですよ、DC用は。10000円前後です。


 それから、校正用としても、DC用のクランプメータを買っておこうと思いますが、なかなか高価な
ものです。AC用なら数千円からあるのですが・・・。

 ネットでいろいろ調べたら、カイセのSK−7680が手頃かなと思いました。
 DC用クランプメータはまさに車用でして、オルタネータ充電電流の測定例が載っていました。

 バッテリーのマイナス端子にクランプ、エンジンをかけずにライトを点灯したとき、マイナス表示に
なること。・・・・・・つまり放電ですね。貯金を使っていくのでマイナスですね。
 もしエンジンをかけている時にマイナスを示したら、それはオルタネータなどの故障が考えられる
わけです。もしオルタネータが故障している状態で走ったら、バッテリーの貯金を使い果たした時に
車が止まってしまうわけね。

 ライトを消し、エンジン始動。最初10Aぐらいで、徐々に下がっていく。・・・・・・充電が進んで、
電流が減るのかな? それともオルタネータからの供給で、バッテリーの貯金をする余裕があるの
かな? 両方ですな。余裕があるかどうかは、支出しだいです。つまりカーナビをつけて、オーディオ
をつけて、ライトをつけて、ワイパーをつけて、エアコンをつけて・・・・・・なんて事をしていたら、貯金
する余裕はなく、まさに「火の車」です。

 こういう時、無言のバッテリーの叫びを知ることができたら、エアコンやオーディオを消して、充電に
つとめる事ができるでしょう。

 細かいメーター表示は省いて、単に、「いま充電なのか放電なのか」が、LEDの色でわかる程度で
も良いのではないかと思います。
 充電か放電か微妙なところがあるでしょうから、せめて2〜3段階ぐらいで表示したらどうでしょう。

 いまやっているプロジェクトが終わったら、ぜひ、クランプ式アンメータに取り組んでみたいと思います。


 今回はHIOKIのクランプメータを修理しました。
 中学のとき技術家庭科でテスターの実習をしたときもHIOKIのテスターだったのを思い出しました。
先生が「これはテスターだからな、HIOKIって書いてあるからHIOKIという機械じゃないぞ、メーカー名
だぞ」と、くどい説明をしていました。こんなつまらない事ばかり記憶に残っていますね。

 ちなみに私は最初に買ったテスターがカイセなので、カイセ派です??

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