「最近の製作物(1)」

 世の中、不景気だというのに、私は色々な仕事を抱えている。でもカネにならないものばかり
のような気がする。片づかない事が多くて、まるで水の中を走ろうともがいているような感じだ。
 そんなわけで、ホームページの新ネタの追加も滞りがちである。

 最近、工作をやっていないかというとそうではなくて、単にネット上で発表していないだけであ
る。「ひみつ3」も最近、復活して、1年ぶりぐらいに論理回路図を見たら、これ自分で作ったっけ?
こんなカラクリ、よく考えつくなあ、という感じだけど(笑)。アルテラの中身は回路図入力していた
が、これを今度はVHDLで書き直そうとしている。ザイリンクスの石でも試してみようと思っている。

 VHDLは今まで使った事がなかった。最初見たとき、ワケワカランと思ったが、本とサンプルの
ソースを何度も見ているうちに意味がわかってきた。こりゃラクだね。しかしもうVHDLは古くなり
つつあるらしい。デザインウェーブ誌をみるともう次世代の言語が・・・。

 ところで、いろいろと工作やらデバッグをしていると、ああ、こういうものがあれば便利だろうにと
思う事がある。単にLEDが8個並んでいるだけでも、手っ取り早く出力ポートの状態を見るには
便利だ。ディップスイッチにプルアップの抵抗アレイをつけて、リード線をのばしたやつがあれば、
入力ポートにつないで、仮の入力信号を作る事ができる。

 ここでは、最近作った、便利(当社比)グッズをいくつか紹介しよう。


(1)テスター棒で部品にさわりにくくてイライラするよあーもう何とかならないかなクリップ

 テスターで抵抗値を測るとき、まあ、カラーコードなんか私は昔、工場のラインで働いていたから
0.001秒で読んでしまうが、そういう話じゃなくて、たとえば修理のとき、この抵抗、断線してるん
じゃない?と、確認したい時あるよねえ。

 ところがテスター棒の先では、抵抗にさわりにくい。かといって、指でおさえると指の抵抗が影響し
てしまう。
 それにリードやハンダの表面は、酸化したりヤニがついていて、テスター棒の先がうまく接触して
くれない事があるよね。あーイライラ。

 ミノムシクリップではさんでしまえ!
 これでどうだ!!

 なーんだ、こんなの誰でも考えつくじゃん・・・・・・。
 いや、それを実際に作る行動力を評価してほしいのである。思いついても、行動
しなけりゃ負けである。

 こんなふうに使うのである。


 テスター棒をジャックに差し込めば、あとはミノムシクリップで部品のリードをはさむだけさっ。

 そうそう、このジャックをアクリル板の切れっ端に穴でもあけて、固定すればブラブラしなく
て良いかもね。


 ついでに、こんなのも作った。


 ミノムシクリップがICクリップに変わっただけだが、ミノムシクリップより出番が少なそうな気が
する。単なる思いつきらしい(をいをい)。

 他にもいろいろバリエーションが考えられるでしょう。良いのができたら教えてください。


(2)なんで8255ってよく壊れるの?基板からはずさずに良否判定できないのチェッカー

 21世紀になっても、いまだに生き残っている昔の機械があって、なんとか修理してくれよと
無理難題がくる。
 生産中止になった部品でも、在庫を持っているところがあるが、値段が現役時代の何倍も
する。だから、やたらに交換するわけにはいかない。

 オシロで1ピンずつ見ていくのも面倒だ。もしソケットにささっていたら、チェッカーでも作って
一発チェックという手も考えられるが、たいていハンダ付けされている。これをはずさずに
簡単にチェックしたいという妄想があった。

 妄想じゃなくて願望。

 とりあえず思いつきで、こんなモノを作ってみた。


 8255のPA、PB、PCポートの状態がすべてLEDに表示される。回路図は、あえて示すま
でもない(笑)。

 実際に運用してみたら、すごく便利で、いとも簡単に不良チップを選別する事ができます。
久々のヒットかもしれません。

 なお、8255がよく壊れる装置というのは、私が設計したものではありませんので念のため。


(3)マイコンの命令表

 新しく取り組んだマイコンの命令に慣れるまでは、何度も命令表を見返したりして大変だ。
タイマーの設定や、レジスタ名なども、あれはどうだったっけな?と、データブックを見直す事が
多くて面倒だ。
 ただでさえ狭い机の上に、データブックを広げたままで邪魔だし、画面上でpdfファイルを閲覧する
のも何かわずらわしい。見たいときにパッと見れて、邪魔にならないようにするにはどうしたら良いか?

 そこで、よく参照する内容を、縮小コピー&切り張りして、下敷きにはさみ便利に活用していま
す。下敷きだから、この上で書類を書く事もできるし、暑いときはバタバタあおいでも良し。

 要するにカンペ(カンニングペーパー)です。このCPUは、このへんがポイントだとヤマ
かけてまとめるのです。


 PIC12C5XXのレジスタ一覧、命令表、CPUブロック図、I/Oポート、マクロ一覧。 (おもて、うら)

 命令の動作内容を、赤ペンで追記しています。
 「DECFでキャリ変化しない事に注意」と、二度とミスしないように記入しています。
 比較命令でのCY、Zフラグの変化は、Z80とは違う部分があるので、間違えないように、
表にして余白に記入しています。
 レジスタをある数値と比較する場合の書き方も、たまに忘れるので記入しています。


 PIC16F8Xの命令表、レジスタ一覧。 (おもて、うら)

 この命令表は、はじめてトラ技がPICの特集をしたときのもの。あの頃からずっと使い続けています。
 命令の動作内容は、自分で記入しています。一番下には、シフトの動きを記入しています。
 レジスタ一覧は、同様に赤ペンで追記して、色分けをして一目でわかりやすいように工夫しています。

 PIC16F877用は、これです。

 さすがに、レジスタなど多いですから細かい文字でタテヨコにギッシリ詰めました。
 アホですな。


 最近はごぶさたですが、Z80の命令表もあります。VHDLなどもパッと見られる表を作っておけば
ラクでしょう。こんなふうに、必要な内容を切り貼りして下敷きに入れておくと、とても便利ですから
皆さんも作ってみて下さい。


 なんといいますか、厄介な事、面倒くさい事があるとそれが原因でつまづいて、先に進む気力が
削がれることがあると思います。
 いちいち分厚いデータブックをひっぱりだして、あれはどこに書いてあるのかなと、あちこちめくるのが
面倒になったり、そのへんに広げておいて邪魔になったりするでしょう。知りたい事がすぐに調べられ
るとストレスも少ないし、仕事の効率も上がります。

 これはどんな事にもあてはまると思います。工作に必要な材料や、道具がすぐ取り出せる場所に
整理してあれば、何かに取り組もうという時に、取りかかりやすいんじゃないかな!


(4)RS−232Cケーブルがストレートかクロスか一発で見分けるチェッカー

 これは業者がケーブルを間違えて納入したためにトラブルがあり、それじゃこんなのがあれば良い
だろうと作ったものです。これで、受け入れ検査が簡単で、ラクになりました。

 5年ぐらい前の作品です。「最近の製作物」ではありませんが、ついでに掲載しました。

 ケーブル自体に、ストレートなのかクロスなのかわかるような記載がなかったし、型番もややこし
くてトラブルがあったんですね。
 なお、9ピン対25ピンのケーブルに対応するように作りました。



 内部を見れば、回路がバレバレですね。
 ストレートとクロスの違いは、基本的に2−3ピンの接続の違いです。
 LED2個を互いに逆方向に接続して、プラスマイナスの方向でどちらかが点灯するように
配線すれば、ハイ!できあがり。

 あまりにも簡単ですが、これは重宝したものです。






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