「あやしい圧着端子」

 電子工作でコネクタを使うことがあるが、あの端子の圧着は、本当は専用工具で
行わなければならない。だけど持ってないから、適当にラジオペンチなんかでツブシて、
それだけだとゆるいから、ハンダで固めてしまう。試作なら良いでしょう。

 でも仕上がりが悪いし、専用工具を買おうと思って値段を見たがあきらめてしまった。
手動式圧着工具はリングスリーブとかY端子(丸端子)などの一般的なやつでも数千円
はする。小さいコネクタの端子用だとひとつ数万円もする。

 だけど全然持ってないのもなあと、とりあえずフラットケーブル用、Y端子用(AK−15)、
リングスリーブ用(AK−17)は所有している。
 一応ペーパードライバー?ながら電気工事士なのでリングスリーブ用は揃えてある。
しかし練習と技能試験でしか使ったことがない(笑)。


 さて最近取り組んでいる作品では、小型の鉛バッテリーを使っている。こいつの端子は
ファストン端子(差込式)なのだが、手近なところ(ホームセンター)では手に入らない。
代用になりそうなモノは?と、カー用品コーナーで探してみた。

 あるにはあったが、使ってみたらちょっと接続があやしい・・・ひっぱったら抜けたし(笑)。


 なお工具は、ちゃんと専用(端子と同じメーカ)のものを使用したし、電線の太さも合わ
せている。めいっぱいチカラをかけてカシメた。間違いないと、自分では自信があるのですが。


 でも、この圧着ペンチは、カンペキじゃないと思う。そりゃそうだな、1000円ちょっとだし。
 圧着は、規定のチカラでカシメるから確実な接続が保証される。電気工事のリングスリーブ
だったら、1.6の線が2本のとき特小で、3本〜4本のとき小で圧着する。これを間違えると
欠陥工事となる。

 まともな圧着ペンチだと、規定のチカラを加えるため、カチカチカチ・・・と締まっていき、
最後まで締めるとロックがはずれて開くようになっている。訓練校で、女性が一人いたけど
これを最後まで閉めるのが体力的に大変だったようだ。床に押しつけたり必死でやっていた。
最後のカチ、のチカラが大変なんだね。

 さっきの圧着ペンチは、カチカチカチ・・・が無いから、作業者のチカラの入れ方しだいで
バラツキが出る。ハッキリ言って、接続不良が出るのは当たり前だと思う。


 もう1回やってみるか。別の端子で。

 (左)被覆をカシメると、そりゃまあ、抜けませんけど・・・。
 (右)被覆のカシメをはずして、そのままひっぱったら・・・ズルズルと抜けました。

 ダメだこりゃ・・・・・・。 (−_−;)


 もうこうなったら、ハンダで固めるしかないか。

 (左)まずカシメて・・・。
 (右)芯線のカシメ部分に、ハンダを薄く流し込んだ。

 これでとりあえず問題ない接続になりました。端子をいくつも無駄にしてしまったけど。

 なおハンダを流す時は、熱で被覆が溶けないように注意します。被覆が溶けるとユルユルに
なります。被覆のカシメは、芯線のハンダ付けのあとに行うのが良いでしょう。
 そしてハンダが芯線の奥まで浸透しないようにします。被覆のカシメの手前ぐらいまでなら
浸透しても良いと思います。振動のかかる部分がハンダで固くなっていると、折れやすくなります。

 念のため、以上の作業手順は安全を保証するものではありません。あくまでも私の実施例を
参考までに示しただけで、これをマネしてトラブルが起きてもいっさいの責任を負いません。


 最近ニュースで、素人のカーナビ取り付けによる車両火災が発生という記事を読んだ。
 こんなふうにひっぱるとズルズル抜ける圧着端子を使っているかどうか分からないけど、可能性は
あると思う。心配だ。
 電流が少ない信号線だったら、たまに接触不良でおかしいなあ?で済むかもしれないが、何アン
ペアも流れる電源線では熱を持つ。最悪、被覆が溶けてショートし、発火するかもしれない。

 あくまでも工事は、自己責任だけど・・・。でもこういう用品のメーカーは、素人が使うことも想定
して、もっと簡単で確実な接続ができるように改善してほしいと思います。


 そうそう、けっこうモグリ電気工事をする人がいるみたいです。まあ自宅内だけで、自己責任で
するのなら・・・本当はダメですけど。コンセントのつけかえぐらいは・・・(本当はダメ)。感電して
死ぬのも漏電して火事になるのも自己責任です。
 業者でも、仕事を見ていると何か怪しくて、これはもしかしてモグリでは?と思えるような人も
見た事があります。

 その業者は、解体した家からひっぺがしてきたような中古の電線を使っていました。よっぽど言って
やろうと思いましたが、田舎で保守的な雰囲気があり、私がいくら「あれはおかしい、間違ってる」と
主張しても親に止められてしまいました。
 配電盤はキタナイ中古でした。新築の家なのにトンデモない事です。
 コンセントの向きはデタラメでした。
 工事が終わり帰ったあと、照明のスイッチを入れたらブレーカが落ちました。
 1台のエアコン工事に2日もかかっていました。しかも雑な作業でした。
 テレビの同軸ケーブルをステップルで打ち付けていました。おかげでテレビの映りが悪いです。
 この業者はFコネの作り方を知らず(をいをい)、私が屋根裏にもぐって工事しました。

 そのほか、素人工事を見た例では・・・電線の接続部分に、本来はリングスリーブか差込コネクタ
を使うのですが、その人はいわゆる帽子型の端子(絶縁付き終端接続端子)をかぶせて、例の
カー用品の圧着ペンチでつぶしていました。全部この調子です。初めて見た時、唖然としました。
 これじゃ、そのうち焼けて火事になります。
 だから全部やり直させて、リングスリーブと工具が無いから、差込端子に交換しました。
 電線は2.0で太いから大は小を兼ねると思っていたようですが、肝心の接続部分を大切にして
いなかった。接続部分こそ抵抗を極力小さくしなければならない。だから確実な接続方法をとらな
ければならないのです。


 うーん、世の中けっこうアバウトでも何とかなってるんだろうか。はぁ・・・。

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