センチメンタルテープレコーダー

 1月13日朝、神の啓示を受けた。「リサイクルショップに行け」と。  (嘘。)

 今日は一日中、工作にハマるつもりだったが、昼前から出かけた。
 この店(ハ○ド○フではない)は、この前来てからずいぶんたつ。どうせ相変わらずロクな物
ないだろうとナメきっていた。

 すると・・・・・・
 「現状渡し、¥2,000」と書いてあった。

 これはナツカシイ。オープンリールじゃないか。ウォー。

 小6のとき、悪友と「川○浩探検隊ごっこ」に使っていた。二人で林の中を探検しながら、
実況を録音したのである。
 当時ビデオは家になかったから、テープレコーダーに録音するしかなかった。

 ドラえもんなど、アニメ番組もテープに録音して、すり切れるぐらい何度も繰り返し聞いたので
ある。テレビのイヤホンジャックから直接にコードで接続するのを知らなかったから、兄弟に「音を
たてるな」と言って、マイクを設置していたものである。
 もちろんその頃、カセットテープが普及していたし個人的に所有していたが、たまたま悪友が
持っていたのが、このオープンリールだった。ただのラジカセより雰囲気づくりには良かったと思う。

 迷わずレジに持っていった(笑)。
 店員:「現状渡しになりますが宜しいですかぁ?」 アタリメーよ。プロだぜ(とは言わなかったが)。

 ついでに、「心電計」も見つけたけど値札が貼ってなかったし、テープレコーダーに夢中だった
ので今回は手が回らなかった。もし2000円とか3000円だったら絶対買ってる(笑)。
 クリームとか専用の絆創膏?のような物も揃っていたから、買いだと思うのだが。 (何に使うの?)

 なんとか無事に帰宅、というほどスムーズではなく寄り道して、またハ○ド○フでゴミを買った。
子供の頃、電子ブロックなど欲しい物が買ってもらえず抑圧された人間は、大人になって現金を
手にすると、ロクな事に使わないのである(笑)。

 さて、さっそく動かしてみますか。

 そういえば、値札には「アダプターなし」と書いてあったが・・・アホな店やな、裏蓋あけたら
電源コードが入ってたぞ。昔のラジカセとかは、電池ケースなどの中にコードを収納するのが多かったが
そういうのを知らんのかも。あるいは、よく調べてないとか。

 コードは珍しく無傷で、電池ボックスにも液漏れの跡はなかった。ただスポンジが劣化して粉になって
いるぐらいだった。
 左の写真: 2つフタがあって、左のが電源コード収納部、右が電池ケースだ。
 右の写真: 電池ケースは液漏れ無しでキレイ、押さえのスポンジの粉が少々。


 さっそく再生・・・。
 ← フタをあけた状態。別にフタをあけなくても使える。

 ところがリーダーテープが切れていたり、逆にセットしたりして少々手間取った。20年ぶりだから仕方ないか。

 なにが録音されているのかワクワクしたが、なにやら、物寂しげなピアノ曲が流れてきた。どこかで聞いた
ことがあるような気がするけど、思い出せない、そんな曲だった。 (このへんがセンチメンタルだと言いたい
らしい)
 えらく長い曲だったが、テープの続きを聞いていたら、子供が「どんぐりころころ・・・」と、たどたどしい声で
歌っていた。周囲の誰かが笑ったり、また歌ったりする声が入っていた。
 これを聞きながら、このテープレコーダーのたどった運命と、前の持ち主への思いを馳せた。

  (後日記: 2003/06/27)
  (  先日、たまたまつけていたTVから、上記の曲が聞こえてきた。画面には「ひまわり」、「ヘンリー・ )
  ( マンシーニ」と出ていた。これをヒントに検索をかけ、ようやく詳細がわかった。              )
  (  1970年のイタリアの映画「ひまわり」の主題曲であった。                         )
  (  こんなふうに、どこかで聞いたような曲のタイトルを知りたい事って、よくあると思います。私は他に )
  ( も知りたいのがあるのだが、どうやって検索したら良いやらわかりません。鼻歌で、詳しそうな人に )
  ( 聞いてもらい、教えてもらうぐらいしか思いつきませんね。                          )
  (  こういうのを検索する方法って発明されてないのかな?                          )

 テープレコーダー自体は、LL学習機でおそらく英会話の勉強用と思うが、このテープを聞くかぎり、すっかり
オモチャになっていたようだ。

 ボリュームとトーン調整は、お約束でガリっていた。接触がはずれると音が出ない。微妙な調整が必要とされ
る。指先の感覚ひとつである。
 トーンは、ガリって接触がはずれると、高音が出る。その刹那、頭の中にCR回路が思い浮かぶ。

 そういえば、オープンリールもカセットテープと同じで、両面使えるのである。リールをはずして、裏返しに
セットすればOK。裏面も何か録音されてないか聞いたが何も無し。
 ちなみに、テープそのものを裏返しにしたらダメ。走行方向を間違えてセットすると、何も聞こえないので
壊れたか?とアセるのである。


 さて、各部を味わってみる。
 ケースは、シボの入ったプラスチック部分と銀色のアルミから構成されている。この雰囲気は、どうも
30年ぐらい前の製品のような気がする。そのあとか、ダサい木目調のエアコンとか出たのは?

SOLID STATE と書いてある。
TRACKスイッチの左が赤いが、これはLEDじゃ
なくて中に赤く塗った板が入っている。
合理的。
上の赤いレバーは録音レバー。
テープスピードを設定するスイッチ。
再生中に切り替えると面白い。
ガチャコン(なんだそら)。
これで巻き戻し、停止、再生、早送りを切り替える。
真ん中のボタンを押すとSTOP。
録音は、録音レバーを左に引き
ながら、このツマミを再生に回す。
録音時のレベルメーターと、
電池使用時の残量計を兼ねている。
ガリっている。
マイクとかイヤホンのジャック。
HEADSETと書いてあるから、
やはり英会話学習用か。
REMOTEは、マイクにスイッチが
ついていて、その操作でテープが
回ったり止まったりします。
消去および録音再生ヘッド、ピンチローラ。
普段はカバーがかぶせてあります。

アルコールでキレイに清掃しました。
いつの時代のでしょうかね?
分かる方は教えてください。

 忘れたけどテープカウンターも付いている。

 リールを見ていると、このテープは自動的に消滅する・・・・・・とか聞こえそうな気がする。

 テープの色は、そのまんま茶色である。


 次に、テープのかけ方を説明する。

巻き戻しで放置しておくと、
エンドセンサーなんか無いから
いつまでもカラカラ回っている。
赤いのがリーダーテープ。
これを、ヘッド部分を経由して、
巻き取りリールのスリットにひっかける。
すこし拡大。
リールにはスリットがあって、
テープがひっかけられます。
真ん中に切り込みがあるので
そこにテープを差し込みます。
リールを1回転させて、テープが
抜けないようにします。
ところが接合テープの糊が劣化していて
ポロッとはがれてしまいました。
とりあえずセロテープで
つないでおきました。

 しかしよく動いたもんだ。30年以上たつのに、いまだソニータイマー発動せず。
 間違いなく井深・盛田な時代のソニーである。この時代のソニーが好きだが、すでに
伝説になってしまった(あくまでも個人的見解)。

 オープンリールといえば、刑事ドラマの脅迫電話のシーンとか、昔のスパイ大作戦を
思い出す。まさに見た感じ、テープレコーダーなのである。

 TC−222Lで検索したら、次のページがありました。
 http://radiomann.hp.infoseek.co.jp/HomePageRadio/Radio_P81_Others.html
 この機種に関する記述は、ちょびっとしかありません。1971年に買った、とありますから
やはり30年ぐらい前の機種なのでしょう。4トラックのヘッドを装備しているそうです。
アンプは確かにモノラルです。



 余談。

 巻き戻しでそのままにしておくと、センサがなくて止まらず、巻ききってしまっていつまでも
カラカラ回る。だから、カウンタか、テープの残量を見ながら、カンでストップさせる。ストップを
押しても惰性ですぐには止まらないから、そのへんを見込んで、ストップを押す。うまくリーダー
テープ部分で止まったら拍手喝采である。

 どういうわけか早送りより巻き戻しのほうが早い。テープの残量しだいか?それともコイツが
壊れているのか。
 巻き戻しのほうが早いから、早送りを早くしたい時は、ちょっとひと工夫。リールをはずして裏返し、
巻き戻しにする。

 こういうセコイ事ができるから良いのである。なんでも便利機能満載でも、知らなければ
それまでである。こうやって微妙にダマシダマシ使えるのが楽しい。
 巻き戻しの終了寸前で、レバーをわずかに巻き戻し側に中途半端に動かすと、これまた微速で
テープが回る。これで磁気の先端がヘッドの手前に来るように調整できる。

 リールは両面使えると書いたが、通常の録音ではそのようである。ただLLというのが、
確かめてないのだが、A面のトラックにお手本の英語の発音が記録されているとしたら、B面の
トラックに自分の発音を録音するという事だろうか。それがリールを裏返す必要なくそのまま
スイッチの切り替えだけでできるという仕掛けなのかなあ。
 試しに裏返して、B面の終わり(つまりA面では最初のほうにあたる)に録音した。A面には
例の寂しげな曲が入っているが、スイッチをLLに切り替えたら、そのA面の曲に、逆再生に
なったB面の音が重なった。やはりそうか。B面のトラックを利用しているわけね。

 ところでテープは毎秒9.5センチの設定で、片面30分だった。

 録音テープの歴史といえば、現在のカセットテープ以外に「エルカセット」というのがあった。
自分は見た事も使った事もないけど、「こち亀」に載っていたし、’70年代の「ラ製」に詳しい
記事があって、その切り抜きを持っている。
 なんかオープンリール並みの音質とか書いてあったようだが。

 リーダーテープに関しては、これはカセットテープでの話だが、小1のときはじめてラジカセを
所有して新しいテープを買ってきた。試しにアーアーアーと録音して、さっそく再生したけど聞こ
えない。なぜだ?不良品か、ラジカセが故障か?とにかくあせった。
 あとで、ちょっとしたきっかけでわかったのだが、アーアーアー程度じゃ、リーダーテープ部分
に録音しようとしているわけで、まったく無駄な事をしていたのであった。
 これがわかってからは、録音を始める前に、鉛筆で回してテープを磁気部分まで送ってから
ラジカセにセットするよう心がけるようになった。


 恒例行事として、中を見たらスピーカーとモーターがソニー製だった。もちろんMADE IN JAPANで
ある。磁気ヘッドにもしっかり、SONYと刻印してあった。きっと木原さんがギャップをヤスって削り
だしたに違いない(そんなバカな)。

 あちこちにSONY、TOKYO JAPANと書いてあるのに気づいた。きっとSONYを世界の
ブランドとして広めたい気持ちがここまで満ちていたのだろうか。

 オープンリールの遊び方としては、巻き取り側のリールをわざと押さえてみる。するとテープが
にゅー と、のびてくる。ヤバイ。パッと手を離すと、何事もなかったように巻かれる。この微妙な
スリルが良い。(なんなんだか)

 なんだったっけ。マスター巻きって言ったかな。テープをキレイに巻いて保存したい場合、再生で
途中で止めたり早送りしないで、とにかくそのまま最初から最後まで再生して巻く。
 でもこのテープレコーダー、テープの流れを見ているとずいぶんユラユラしていました。

 持ち帰ってから、何度か動かしているうちに調子が戻ったような気がします。こういう機械は、
何となく整備してやりたくなります。実際に使うわけじゃないけど・・・。

戻る