ノウハウ集 「ロジアナをいじくり回す」

 ロジアナ(ロジック・アナライザー)など、一般人の生活には全く必要のないものだが、
我々の商売(趣味)には、オシロ(オシロスコープ)と並んで、必須のものなのだ。
 なんせ電気は目に見えないから、測定器という手段を使って、見るしかない。

 ロジアナとオシロの違いは、まずチャネル数。オシロは普通2chから4chぐらい。
むかし使ったテクトロのオシロは2chだったけど、トリガ端子に接続するオプションで、8チャネル
までのロジック信号でトリガがかけられた。

 ロジックアナライザーというぐらいだから、主にデジタル回路の測定を目的としたものである。
基本的にはTTLやECLレベルの設定となる。ローが浮いてる時とか、スレショルド未満の
ノイズでの誤作動は、ロジアナのスレショルドをユーザ設定する。

 もっとも、ロジアナでもアナログ波形を見たい時があるので、オシロを2chぐらい備えて
いる機種もある。ロジック波形とアナログ波形を同時表示する。


 ついこの前、トラ技の広告を見ていたら、中古で手頃なヤツがあった。岩通のやつ。しかも昔
いた会社で使った機種だから、使い方を知っていてすぐ使える。こりゃいい。
 さっそく電話したけど・・・・・・もう売れましたとのこと。残念!!

 ところが翌日になり、その業者から、HP(現・アジレントテクノロジー)の1660CSってのが
ありますよと連絡があった。カタログのコピーをFAXでもらった。見たら性能は結構いい。
岩通のやつよりチャネル数がはるかに多い。136chもある。しかもオシロ2ch内蔵。校正済みで
来年7月まで有効。FDD付き(波形を保存したい時があるから必須だった)。

 だけどこの機種に関しては経験がない。使い方がわかるだろうか。英語じゃないだろうか。
ちょっと気が進まない部分もあったけど、やはり性能が良いし値段も18万と、手頃だったので
注文した。

 中古品というものに不安があったのも正直な気持ちだけど、実際の物は程度が良かった。画面
が少々焼き付いていたけど支障ない。



 プローブがちょっと珍しい。岩通に慣れていたせいか、そう思った。

 岩通のやつは、いくつものICクリップの元締め?部分に平べったい箱があり、そこに回路が入って
いた。ECLか何か、やたら熱かったように思うが・・・?
 ところが、このHPのやつは、右の写真のようになっている。元締め部分は、何か回路があるかと
思いきや、じつはただのコネクタである。何の種も仕掛けもない。
 プローブの入力抵抗は100KΩ、入力容量は〜8pF、となっている。

 そしてケーブルがもっと変わっている。岩通は、ツイストペアのフラットケーブルだったかと思うが、
これは作業服ズボン用のベルトみたいな変な素材なのだ。これが何十本もの細かい配線には見えない。
フラットケーブルに比べれば、ずいぶん軽いし柔軟性がある。見た目は頼りないが、プローブの扱いは
楽だと思う。
 マニュアルによれば、この変なケーブルは「ニクロム線で編まれたポリアミド被覆の束が用いられている
ため、高い信頼性と耐久性が得られます」とある。

 もし普通の、幅広のフラットケーブルだと、クセがあってプローブが向けられる方向が限定されたりする。
それに元締め部分の重量があったから、ボテッと落っこちることもあって不便だった。


 このロジアナは、当時(5年以上前)の定価¥2,380,000だったらしい。それが中古で18万だから
お買い得かもしれん。数年前のリースのカタログで調べたら、月額25万のリース料金だった。

 仕様は、136ch(データ130ch、クロック/データ6ch)、3.5インチFDD内蔵、HDD内蔵、インター
フェースはHP−IB、RS−232−C、セントロニクス。しかし使わないだろうな。私はFDDがあれば十分。
 マウス(PS/2)でも操作ができるし、パソコン用のキーボードが接続できる。さすがに開発現場では
キーボードを置くスペースがないからマウスだけで結構だ。


 さて、これから実際の使用例を書いてみよう。HPのロジアナを使うのは初めてだから、自分が忘れない
ためにも、そして他に同じロジアナを持っている奇特な仲間のためにも?
 訳の分からない(あくまでも個人的な意見)マニュアルを読みながら試行錯誤した結果ですから、正確
ではないかもしれません。

 ついでに、マニュアルにはわかりにくい記述が多い。もともと英文なんだろうけど、変な日本語になって
いるところがある。間違いもある。「1つのポッドにHPが所有権を持つ・・・」と書いてあるけど、これは
たぶん「特許権」じゃないか。


●最初に、何か名前をつけなければならないらしい。適当にLCDTVと入れたが深い意味はない。実際に
測定したのはAKI−80なのに(笑)。

 これは、ポッドの割り当てを設定する画面らしい。
 (らしいってのはどういう事? ←現時点では理解不足らしい)。
 ここでは、ポッドA1、A2、A7、A8を使用する設定になっている。


●次に、プローブのグループ分けをするらしい。

 グループ分けの意味が最初わからなかったけど、ビットがとびとびでも、ここで自由に割り当て
を設定できるからいいんだな。ひとかたまりとして扱う事ができる。うまく説明できないけど。
 上記の例では、ポッドA1の8から15ビットをデータバスにしている。
 ところで、+字が気になるがこれはマウスカーソルだ。


●そしてトリガ条件を設定する。

 上の TRIGGER on "a" > 8ns の意味が最初わからなくて悩んだ。なんか簡易言語みたいな
トリガ条件の設定なんだなあと思っていた。マニュアルを読んでも意味がわからない。
 わからないけど、下に何か岩通ロジアナと似た表記がある。これじゃないのかと思っていじくり
回していたら、意味がわかった。

 上の TRIGGER on "a" > 8ns は、トリガ条件a(左側の、下から2段目)が8nsを超えたら
トリガがかかるという意味なんだ、きっと。
 で、どういう論理でトリガをかけるかは、その右側のXが並んでいる枠で設定するわけだ。
 BinaryとかHexは、表現が違うだけ。
 たとえばデータバスを見ていて、3Ehというデータでトリガをかけたいなら、上記のようにX3Eと
すればいいんだ。なーんだ。
 ちなみに3Ehは、Z80のLD A,n命令です。本当に命令でトリガをかけたいなら、M1信号も
トリガ条件にせにゃならんが、あくまでもテストなので省略した。


●これが測定波形。

 真ん中の垂直点線がトリガ点。ちゃんと3Ehでトリガされているぞ。
 そこから読んでいったら、3E、02、ED、47、D9、79、E6、E0、4F、D9となっていて
逆アセしたらちゃんとプログラム通りだった。当たり前といえば当たり前か。
 テストですから。




 あと、追記していきます。










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