トンデモ系 「宇宙艇と陽電子エンジン」

 以前、掲示板で、この話題が出ていたのでまとめてみた。

 私は、かつて、清家新一氏の宇宙研究所「宇宙艇」の会員だった。一時は相当ハマっていて、マジで
信じていたのだが、例の「トンデモ本」を読んでから、冷静に考え直し、退会した。ちょうどその直後、
「宇宙艇」は休刊となった。
 会社の同僚などから、「そんなのインチキに決まってるよ、宗教みたいなもんだよ、やめなよ」と言われ
ていたものだが、信じていたんだ・・・あの頃は・・・純粋だった(笑)。

 会費は当時1年分¥6,180−だった。発行は毎月だったか隔月だったか忘れたが、確か隔月だった
と思う。なお賛助会員¥30,000−、法人会員¥50,000−だった。社長さんやドクターは賛助会員に
なって下さいという文面をどこかで見た。

 「宇宙艇」を知ったきっかけは、高校生の頃に図書館で見つけた「消えた地球重力」で、コイルの重量が
軽くなる実験を見て、これで重力を制御してUFOを飛ばすことができるのでは!!と、大変な興味をそそら
れた。お陰で勉強そっちのけで、この本を読みふけってしまいテストの成績はサンザンだった。
 この本は、数式が多くて余白が目立っていた。数学が苦手だったので意味はわからなかったが、すげえ
とか思いながら眺めていたっけ。

 このほかにも、清家氏の著作がいくつかあることを知り、全部入手しようと思った。ところが、出版社の
大陸書房が倒産してしまい、その時は買えなかった。その後、「宇宙の四次元世界」をたまたま古本屋で
見かけて買った。
 この「宇宙の四次元世界」が最初の本のようで、これを読むと、清家氏がUFOの原理を、アダムスキー
型円盤の分析から考え出している事がわかる(これに関しては議論がある)。
 最近、近所の古本屋で「空飛ぶ円盤製作法」を見つけたが、さすがに買おうとは思わなかった。

 ちなみに、そのシリーズを参考までに次に示す。いずれも大陸書房。
    ・宇宙の四次元世界
      超相対性理論を詳しく解説し、あわせて円盤機関の秘密を追究。四次元の科学に挑む!
    ・超相対性理論入門
      重力エネルギーの電力化、スピン波と重力場など著者の研究実験結果を世に問う!
    ・空飛ぶ円盤製作法
      長年の研究のすえついに円盤製作に成功!その基本原理と実作例を図解と理論で証明。
    ・実験円盤浮上せり
      前著につづいて円盤製作の実例を示す。UFO飛来はここに初めて実証された!
    ・円盤機関指導せり
      世界で初めて重力直接発電池の製作に成功した著者が驚くべきエネルギー開発を公表!
    ・UFOと新エネルギー
      (コメント無し)
    ・空飛ぶ円盤完成近し
      半導体コイルの作成と展望。トロントシンポジウム・モレイコンバーター。
    ・消えた地球重力
      重力の消滅実験。タイムテレビとラジオの試作。

 とくに「空飛ぶ円盤製作法」とか「実験円盤浮上せり」は、そそられるタイトルだが、本当に浮上したわけ
ではない。完成近しといいながらいつまでたっても完成していない。言っちゃ悪いが結局完成しなかった。

 その後も新しい本が出て、買ったけどどこにしまったっけ。宇宙の神秘とUFOの謎という本だったかな。
そのほか、宝島のシリーズとか、いくつかの雑誌(特にムーとか)にも記事が出たりしていた。

 研究所では、「空飛ぶ円盤の受験英数」とか「超相対性理論」、それと「陽電子エンジンの組立方」を通信
販売していた。とくに「超相」は、”ノーベル賞委員会が14冊買い上げて行ったとの歴史あり(ノーベル賞近し)”
などとPRされていた。
 ノーベル賞近しとか、円盤完成近しとか、どうも清家氏の時間は相対論的ウラシマ時間らしい(笑)。

 イギリスのサール氏も反重力機関で有名だが、「宇宙の四次元世界」には、かなり詳しくサール氏の活動が紹介
されていた。実際に飛行している(という)写真があったが、もし本当ならすごい事だと思った。
 でもあれから何の進展もないところをみると、やっぱり・・・。


 清家氏は、東大卒で彼の息子達も東大卒である。清家博士と呼ぶ人もいるが、実際には博士号は無い。
社長でもない人を「社長!社長!」と、親しみを込めて呼ぶのと同じだと思う。
 その後、大学の助教授などを経て、宇宙研究所の前身である重力研究所を設立された。
 建物は墓地のど真ん中にあり(!)、所長みずからセメントをこねて建設されたという。

 映画back to the futureのドクのように、日夜怪しげな研究をしているマッド・サイエンティストがいるが、
どうやって生活しているのか謎であった。どうも自分には、清家氏と重なって見えてしまう。
 なお清家氏の研究と生活は、テレビ出演、出版、「宇宙艇」会費、寄付などで支えられていた。


 さて「宇宙艇」を紹介しておこう。

 これは入会しようと思って問い合わせた直後に頂いた見本誌で、120号である。B5版で、モノクロ65頁ぐらい。

 その後、清家氏に手紙を数回書き送った事がある。

 デジタルハカリを使った実験に対して、自分はハカリを持っていないので何とか方法はないかと考え、やじろべえと
いうか天秤のような方法を考えて、提案した。
 その軽くなるというコイルを2つ用意し、それぞれ電池とスイッチをつないで両側にぶらさげ、バランスをとっておく。
それから片方のスイッチを入れれば、軽くなったことが傾きで簡単に、目に見えてわかるというもの。これに関しては
何ら返事はなかった。デジタルハカリじゃないと都合の悪いことでもあるのかな?
 本当に軽くなっているなら、デジタルハカリより、この方法のほうが結果がハッキリわかるでしょう?



 その次の手紙は、「宇宙艇」の126号に掲載された。

 左が表紙で、この表紙写真についてのコメントは書いてなかったが、たぶん若い頃の奥さんだと思う。
 右が自分の手紙と写真が掲載されているページ。文章は、見本誌に対する御礼と、入会申し込みの件、それから自己
紹介で写真を同封しますという内容。写真の撮影日付は91年11月23日。

 ちなみに、毎号こんなハガキが綴じ込まれていた。

 UFOの目撃報告ハガキである(笑)。これで投稿すれば、「宇宙艇」の目撃報告欄に掲載されるのである。
 そういえば、自分も一度、明け方にUFOらしき物を目撃して、報告した事があった。テレパシーを感じて目が
覚め、星空を見たら飛行物体が見えた、なんて、アブナイ事を書いていた。いま思えばどうかしていた。
 それも掲載されたけどどこにいったっけ。まあ、思えば、若かったなあ(^_^;)

 「宇宙艇」などを読んで気づくのは、妙に下ネタが多いことだ。「ネゲントロピー水で毎朝ピンピン」とか、「宇宙と
セックス」という記事があったりする。
 「宇宙とセックス」というのは、社会は男と女から成り立っていて、宇宙は物質と反物質から成り立っている
という話である。いつもの調子で、難しそうな数式がズラズラ出てくるかと思ったら、なぜか俳句(短歌?)が
並んでいた。
 すでに「宇宙の四次元世界」から、下ネタは出ていた。

 あと、そうだなあ・・・やたらに「ノーベル賞候補」と書いてあったな。最初はマジだと思って、ノーベル賞の
ニュースを楽しみにチェックしていたけどね・・・(笑)。


 そうそう、こんな本も買ったっけ。

 タイトルがすごい。「陽電子エンジンの組立方」だって・・・しかも6訂増補版ダゼ?
 「宇宙艇」の後ろのページに、こういった販売品のリストがあって、通信販売されていた。内容については
全く書いてなくて、なんだかわからないけどタイトルだけ見て申し込んでしまった(笑)。
 ちなみに当時¥600(税込)+送料¥175だった。

 この表紙の写真は、「位相幾何学的コンデンサーコイルを持つ、車の上の空飛ぶ円盤。スイスにて」という
タイトルである。あくまでも個人的な感想だが、おもちゃに見える。

 内容は、言っちゃ悪いが大したことなくて、過剰な期待で読むと後悔する。まず目次を示そう。()内はページ。
    §1.工具 (1)
    §2.部分品 (2)
    §3.トランジスターコイル (5)
    §4.トウラスのトランジスターコイル (7)
    §5.実作メモ (12)
    §6.93相のトランジスターコイル (15)
    §7.メビウス巻 (16)
    §8.重力の消滅実験 (18)
    §9.トランジスターコイルの重力の消滅実験 (20)
    §10.ICコイルの重力の消滅実験 (20)
    §11.軽重の反転性 (22)
    §12.ディラック(対/ツイ/発生)発電 (23)
    §13.第6の力(90グラム)の検知 (26)
    §14.小型の陽電子エンジン (28)
    §15.LSIコイル (30)

 §1は、電子工作の手ほどきみたいなもので、工具の使い方が書いてある。
 §2は、研究所で販売しているフェライトブロックとか、チタン酸バリウムディスクなどの紹介。
 §3は、トランジスター3段の発振回路。
 §4は、周波数の変化のみで重量の変化は書いてない。
 §5は、製作上の工夫が書いてあるのだが、なぜか途中からアダムスキー円盤の写真と、ハムの発生に
ついて書いてある。
 途中は省略するが§8で、ようやく重力実験となった。コイルに6アンペアを流すと0.291グラム軽くなった
というもの。個人的な感想だが、磁気の影響でハカリが狂っているような気がする。それと、配線も気になる。
ハカリにのせてあるコイルへの配線をさわったりすると表示が動くだろうし、これだけ電流を流すと発熱して
銅線がのびたりするんじゃないか。
 ダイオードをたくさんつないで発電するというのは、§12に出てくる。
 §14には、期待させる文面がある。「小さいケースをつけると、浮上の可能性がある」。
 TTLの7414の自重の30パーセント軽くなったと書いてある。「ボウル(料理に使うやつ)を付けると十倍の力
が出る、多少ロケットとしての性質がある」と書いてあるが、これはトンデモ本に書いてあったけどじつは熱気球
になっていると思う。
 表をみると、スイッチを入れてから7時間ぐらいたってようやく2.33グラム軽くなっている。気の長い話だ。
 自分もマジになって、TTLを配線して浮かぶのを待っていたことがある(笑)。

 そうそう、フェライトコアにメビウス巻きをして、電池をつないだら一瞬ピクッと動いたように見えた。何度やっても
ピクッと動いた。おおっ、浮上しようとしている!と興奮した。でも冷静に観察したら、電池につなぐときに電線が
少しひっぱられていたからだった(笑)。


 「宇宙スウパア」というコーナーが「宇宙艇」に掲載されていた。スーパーと書けばいいのになぜスウパアなのだ
ろう(このような書き方は他にも随所に見られる。グルウプ、キュウリイ、ヘリコプタア、ステエションホテル、スウツ、
ストウクス、ムウ、プロデュウサア、ゴウルド、スクウタア、うーむこれらは定説語の類か?)。
 品物は色々あって、大ざっぱに分けると1.実験用パーツ、2.UFO写真、3.直販本、4.水、5.ビデオテープで
ある。水はアダムスキーの水といって、1瓶3000円(送料着払)と当時(126号)に書いてあった。ホンモノ?の
70%ほどの効用があり、300才まで位生きます、などと書いてある(マジ?)。










 信じている方々には、気分の悪い事も書きましたが、信じる信じないは自由です。別に他人の考えを変えようなんて思わない。
私は、今では信じていないけど、「夢」は信じたいのですよ・・・。いずれ将来、誰かが、何らかの形で重力制御を実現するはずだと
確信しています。

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