物欲系 「タイガー計算器」

 まず最初に、関係者のご尽力に感謝致します。長い間探し求めて、ようやく入手することができました。
 いろんな方々に声をかけて探してもらっていたし、ネット上でオークションの事でお世話になった方、また古道具
店の方には情報を頂き、そして最終的にこれを譲ってくださった方、また、そのご縁に感謝します。

 最初に、これをご存じない方のために簡単に説明しておきます。
 タイガー計算器とは、電卓以前の計算器であり、ギヤなどの機械しかけで、ハンドルを回して計算するものです。
昭和45年頃に、電卓の普及により生産を中止したとのことです。
 タイガーといっても、魔法瓶の会社とは別です。現在も営業されている会社であり、ホームページもあります。ただ
製品は全く別のものを扱っています。
 ビジコンや、ヘンミ計算尺など当時の計算機メーカーも、現在は別の製品を扱いながら営業されています。

 さて現物ですが・・・こんなケースに入っています。

 ハカリがないので重量はわかりませんが、けっこう重いです。数キロはあると思います。
 留め金の部分にはカギがあります。当時は高価な貴重品であり、1台ずつに固有の製造番号が付けられているため、
盗難の場合でも持ち主を探すことが可能だったそうです。解説書には、金庫にしまうように書いてあります。

 フタをあけました。
 精密機器であるため、使わないときはホコリよけのためカバーをかける旨、説明書に書いてあります。
 フタの内側と、カバーにはタイガーのロゴがあります。


 カバーをとりました。これが「タイガー計算器/連乗式H62−20」です。
 型式の62は、開発年(西暦)の下2桁と思われます(1962年=昭和37年)。解説書の年表に
昭和37年10月にH62−20を発売す、と書いてあります。


 上から見たところです。
 縦線に見える部分は、数字を入力するレバーが10桁並んでいます。
 表示窓はそのレバーの上と、下の左右にあります。
 表面はプラスチックです。内部はまるでミシンのような機構部品が詰まっています。


 これが解説書の表紙です。ロゴが格好いいですね。
 最後のページに、昭和39年11月印刷と書いてあります。

 解説書の「はじめに」の部分は、カステラか何かに付いているしおりの雰囲気です。創業者が血のにじむ
努力により東洋における最初の計算機を完成し・・・というくだりが、それっぽいかな。
 社是は、直接販売、正価販売、アフターサービスの3つです。


 品物を受け取りに行く前に、あらかじめ使い方を予習していたので、実際に現地で動かしてみることができま
した。長い間動かしていなかったためか、最初は少し固かったですが、いじっているうちにスムーズに動くように
なりました。解説書によれば、どこにでも注油して良いわけではないようですが、どこに注油するのか不明です。

 使い方は、解説書の内容が株式会社タイガーのページにそのまま掲載されているので、詳しくはそちらをご覧に
なるのが宜しいかと思います。

 一番長い表示窓(20桁)の部分は、マイコンで言えばアキュムレータです。ここに計算結果が蓄積されていきま
す。左側の窓は、基本的にはハンドルを回した回数が表示されます。たとえばかけ算は足し算の繰り返しですが、
その繰り返しの回数を確認する事ができます。

 ハンドルを向こう側に回せば足し算で、手前に回せば引き算です。ハンドルは通常ロックされており、ツマミを
右側に少し引きながら回します。

 左右に付いている小さいレバーは、表示窓の数字をゼロに戻すハンドルです。入力のレバーのクリアは、大きい
ハンドルの下に付いているレバーを押します。別に、手動で置数レバーを0に戻してもかまいませんが・・・。

 真ん中についているツマミは、桁をずらすために使います。左右に1桁ずつシフトするほか、ツマミの下の金具を押さえ
ていると、一気にシフトする事もできます。ケースにしまう時にも、右いっぱいにずらす必要があります。

 左下に付いているツマミは、アキュムレータの数値を、置数レバーに移す時に使います。置数クリアレバーを押して
置数レバーを0に戻してから、左下の連乗レバーを左側に押しながら、右のクリア用のレバーを引きます。

 操作の組み合わせと、知恵をはたらかせれば、いろんな計算をすることができます。
 現在でもこの計算機を愛用されている方がおられて、「表を作るのに便利」とおっしゃっていました。合計が常に
表示されているから便利なのだと思います。あえてExcelを教えないほうがいいのかも・・・。計算の過程が目に見えないと
不安になるのかもしれません。見えないが内部で、合計が記憶されている・・・という想像は、機械式を使い慣れた人
には難しいでしょう。

 それから、この計算器の内部を見たい方は、次のページをご覧下さい。
        http://www.nn.iij4u.or.jp/~masa-s/index.htm




 実際に動かしているところを動画で提供したいのですが、残念ながらここのホームページの容量が
あと数メガしかなく無理です。いままでの内容を見直し、写真を削るなどして捻出するしかないかな?


(続き作成中)

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