ひとりごと 「巨大コンデンサと静電気」

 ずいぶん暖かくなってきた。
 コタツのスイッチを入れない日があることに気づいて、そろそろいいだろうと思い、コタツを片づけた。

 うちは、少しでも熱が逃げないように、コタツの下に断熱アルミシートを敷いている。こいつをひっぺがそうと
したときだった・・・・・・ビリビリッ、うぉっ!!

 そう、静電気である。
 巨大コンデンサよりも、エレキテルと言った方が良いか。床から離れる時に静電気が生じて、表面のアルミを
伝わり、自分の手に流れ込んだわけだ。あーびっくりした。

 摩擦電気とも言って、こすると電気が起きるというのが一般的だが、はがすときにも電気は生じる。ガムテープ
だって、じつは、はがす時によく見ると、火花が出ている。
 プリント基板の実装では、ディップ工程でハンダ付けしない部分にマスキングテープを貼る。たとえばリチウム電池
なんか、ハンダ槽につけたらショートしてしまうし熱の影響が心配だ。
 そのマスキングテープをはがすときにも静電気が生じるので、対策が必要と、ICのデータブックにも書いてある。


 ところで最近は、うちの近所でもセルフのガソリンスタンドが増えてきた。
 いっぽう、事故の情報をWebで読んだことがある。静電気で引火してヤケドしたという事故だった。

 考えてみれば、危険物の知識のない一般人が、ガソリンという危険物を扱う事はまずいんじゃないかと思う。あれは
意外にキケンで、ばかにできないものである。以前、新聞販売店の火災がニュースでとりあげられていた。ガソリン
をポリタンクに入れていたのが、気化して、引火したものだった。揮発油っていうぐらいだから、可燃性のガスが
常に蒸発している。火種があれば引火してしまう。
 灯油とは違う感覚なのだ(高校生の時、危険物の丙種を勉強しなくて落ちたヤツが偉そうに言う事じゃないが)。

 個人的に心配なのは、くわえタバコのオヤジが、何も知らずにセルフのスタンドで給油する事態だな。あと、変質
者が、ガソリンをまきちらして火をつけるんじゃないかとか。そのほか、軽油とガソリンを間違えて入れるヤツとか。

 そういえば、セルフじゃないけど、この前みた鉄腕DASHで、石焼きイモ車がスタンドに入ろうとして止められたシーン
があったな。火気厳禁のところに、火が燃えてるのが入ったらキケンだもんね。でも、うっかりやってしまいそう。


 静電気といえばパチンコ屋だね。
 大当たりして玉がザラザラでてきて、うおーと喜んでいたら、それに触った瞬間にビリビリ!!

 いろいろ工夫がされていて、ドル箱のアイディアは感心した。ドル箱の隅に、玉が落ちないぐらいの大きさの穴
があけてある。これは何かというと、ここに玉がはまりこむ事で、箱を置いている面(金属)と接触する。つまり、帯電した
玉の静電気をここから逃がすアースというわけだ。なかなかナイスなアイディアだ!!

 あと、どこかで書き込みをみたが、呼び出しランプの業者が静電気による誤作動の対策に悩んでいた話。
 トイの中を玉が流れてくるが、その際に静電気が発生して、青白い火花を散らしているそうだ。そんな環境で、電線を
ひっぱり回したり機器を設置しているから大変である。
 バスが外部に出ていないワンチップなら比較的強いが、それでもやられたようだ。

 パチンコ機にマイコンが使われ始めた頃も、静電気で大変だったと文献で読んだ事がある。誤作動して、いきなり
大当たりとか(笑)。
 コンピュータ屋と話をしたことがあるが、やはり静電気には手をやいて、初期バージョンは苦労したとか。独特のノウハウ
があるらしい。


 あとパソコンのディスプレイ(ブラウン管)に取り付けてあるフィルターも厄介だ。あれはアース線をつないでいないと、
災難にあう。人に、画面を指で示しながら説明しているとき、フィルターに指がふれてしまって、ビリッ、という事があった。


 むかし筐体物の製品評価で、静電気放電試験をした事がある。ピストルみたいな放電ガンの先端を、製品の金属部分に
近づけて火花を飛ばす。1回パチと鳴って、ひと呼吸してチャージが済んだらまたパチ。
 その電流がどこを流れるかによって、機器の動作への影響が出たりする。

 この試験は、広いアルミ板の上に機器を置いてするのだが、休憩時間に手持ちぶさたなので、なんとなくそのアルミ板に
放電してみたら、それに触れていた先輩が感電して、「イテッ!コノヤロウ!!」と怒った(笑)。


 なかなかこういう試験は、設備がないとやれないのだが、なにか実験室で簡易的に評価する方法はないかと思って、
ガスコンロのイグナイタを取り寄せた。電池1本つなげば、電極間に火花がとぶ、まあスタンガンみたいな(そのものじゃ?)
ものである。

 適当にメッキ線で電極を作り、筐体の金属部分に火花を散らして様子をみた。いろいろ試していたのだが、ふとした拍子に
それに触れてしまい、強烈な電撃で、声が裏返ってしまった。

 このショックはガキの頃、テレビの高圧に触れて以来だな・・・。
 遊園地のアルバイトで、制御盤に手を突っ込んだときの200Vも忘れられないが・・・。

 面白い実験としては、イヤホンを耳に入れて、プラグのほうをブラウン管に近づけてみる。静電気が放電する、チリチリという
音が聞こえるはずだ。こりゃ面白いなあと、調子に乗ってやっていたら、いきなり耳にビリッときた。まさに寝耳に水である?

 それから、犬をつないでおくのに使うような金属チェーンを手に持って、その先端を、やはりブラウン管に近づけてみる。
これまた、ビリビリくるので楽しい?

 以上2点は、経験に基づくものである(笑)。
 ブラウン管の表面は、手を近づけたぐらいじゃパチパチ鳴るぐらいで全然ビリビリこないが、こんなふうに、導体を介して触れる
と電撃を感じる事ができる。


 いまどきネオン管なんかあまり見かけないけど、むかしの電気アンカなどには使われていた。ガラス管ヒューズみたいな
細長いやつが扱いやすいのだが、片方の電極を持ちながら、反対側の電極をブラウン管に近づけると、放電した時にオレンジ
色に光る。電撃はない。100ボルト用の検電ドライバーでもネオン管が入ってるやつならできるかもね。

 あとはだな・・・日なたで寝そべってる猫にちょっかいを出してみる。とりあえず毛をなでてみよう。とくに乾燥している日は、
面白いことが起きる。パチッ、パチパチッ、・・・うーむ、猫発電器である。
 人間も電撃を感じるが、猫も感じているようで、いちいちビクッと反応する(笑)。
 あまりやりすぎると、シャーとうなって、かみついたりひっかいたりするので注意が必要だ。


 これは聞いた話だが、プラスチックのスリッパをはいて床との絶縁をよくする。そして静電気の起こりやすい服を着て、空中に
ジャンプしながら、手で体中をこすったり、バタバタ暴れたりする。そうやって電気をためて、前を歩いているヤツに向かって
突進する。そして飛びつく!ビリビリ!!
 これを一度やられたら、いつも後ろが気になってしょうがないかもしれない(笑)。

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