知的好奇心系 「インクカートリッジ」

 近頃は、インクカートリッジの補充インクが使えない機種があるようだ。私自身は、そういうプリンタを使っていないから
あくまでも雑誌とかWeb上とかで得た情報しか無いが、エプ損の比較的新しい機種がそうなっているようだ。
 インクカートリッジにICチップがくっついていて、こいつにインク使用量が記憶されることで、再利用を防ぐようなカラクリ
になっている。実際のインク残量を見ているわけじゃないのだ。

 それなら、補充インクの業者はどうしてるんだろう?と思って検索したら、面白い物があった。そのチップの書き換えツー
ルである。こいつでカウンタを戻してしまうわけだ。
 こういう製品が出る事は予想ができていたと思う。以前、中古車のオドメータを戻す話を聞いたことがある。昔はドリルで
グルグル回していたらしいが、近年ではICチップに記憶される方式になっている。これを書き換える装置の広告を見た覚え
がある。

 インクに関しては結局、メーカの悪あがきでしかないと思う。純正じゃないと故障しますなどと盛んに宣伝していたようだが
高いし、一体型インクじゃ、特定の色だけ無くなって捨てるなんて事があってもったいない。「損」だ。
 新しいカートリッジを買わせるために、補充できないようにICチップを付けたのだろうが、解析されることは最初からわかって
いたはずだ。まったく無駄だと思う。

 ICチップはたぶんEEPROMだと思うが、こいつにインク残量管理を依存していて大丈夫だろうか。万一データが化ける事
もあるだろう。満タンなのにインク切れになって動かない。その保証って、あるのかな??クレーム対応の工数が発生して
いると思うぞ。接点が接触不良とかもありそうだし・・・。

 私はC社のレーザーとインクジェットを使っているが、インクジェットはインク切れ警告が出てもしばらくは、だましだまし
使える。トナーだって振ればしばらく使える。緊急に出力しなければならない書類なんか、もしICチップ方式だったら、だまし
だましという事ができないから、まずいんじゃないかな。クレームになるかもよ?

 ところでさっきの書き換えツールを使わなくても良い方法があるようだ。満タンのインクカートリッジのチップをはずして、
付け替えてごまかす事もできるらしい(笑)。

 そこで、今後メーカーがどんな対策に出るか予想してみた。

 (1)チップを、むきだしにしないで、インクタンク内に入れてしまう。
    → 分解しないとICチップを拝めない。
       → しかし接点が出ていれば結局、書き換えられてしまう。
          → コイルによる電磁誘導方式にする。
             接点が必要ないから樹脂で固める事ができインクタンクへ内蔵可能。
             → コスト高
             → 接触不良の心配がない。
             → 時間がかかるが、最終的には解析されてしまうか?
       → インクタンクを破壊する事になるので補充対策になる?
          → フタだけあけられないように、一体成形にする。

 (2)インク空を検出したら、ICチップ内蔵ヒューズを切断するなどして、破壊する。
    → 空になる前に抜いて書き換えられれば意味がない。
    → 万一、誤作動した場合のクレームが心配
    → スパイ大作戦の影響。ケムリが出ればもっと良い。
    → 欠点! 破壊してしまったら、インクカートリッジのリサイクルができない。

 (3)プリンタ側で管理する。
    → インクカートリッジの取り付け、取り外しを、常時監視する。プリンタに使用量を記憶する。
       → 電源断時の監視回路バックアップが必要
       → メンテナンスなどの必要で取り付け取り外しした場合はどうする?
          → クレーム発生
    → チップに、固有のID番号を焼き込んでおく。プリンタには、最近100個ぐらいのID番号が
      記憶できるようにしておき、カートリッジ交換時、記録と同じID番号だったらエラーとする。
      → インクが空になってから、ID番号をプリンタ側で記録するようにしないと、
        メンテで取り付け取り外しした場合に問題発生する。

 (4)チップをもっと高度化して、暗号化する。
    → 満タンのチップと交換してごまかされるかも?

 (5)ネットを利用した認証方式。
    → 下逸の真似。
    → (3)に書いたように、固有のID番号が必要。暗号化も必要。
    → インクごときにそこまでするか。


 ユーザー側としては、さらに次のような対策が考えられる。

 (1)MODチップのようなやり方で、プリンタ本体の改造
    → 法的にはどうか?
    → 一部業者の商売のネタ(笑)
       → メーカー保証無し、ユーザー自己責任
    → 個人的に実施する分は構わないと思われる。

 (2)インクカートリッジのチップを、あやしい物(笑)と交換する。
    正規品のような、一見正常な応答を返すが、決して空にはならないものを誰かが作る。
    → プロトコルや、方式に関して特許侵害?
       → 特許を調べてみる。
          特許庁・特許電子図書館で検索可能と思われる。

 (3)そんな厄介なプリンタは、捨てろ!!
    → インク漏れや印字不良でイライラした事を思い出し、金属バットでたたき壊す。
    → 2階から投げ捨てる。
       → その際、通行人などに気を付ける。
    → ブルドーザで踏みつぶして粉砕する。
       → 悔い改めて、以後買わないようにする。

 (4)チップが再利用されないように、使用済みカートリッジはスタンガン等でぶっこわしてから回収に出す。
    → 別にメーカーに恨みはない(笑)。


 私が初めてカラープリンタを買ったのは高校入学の時で、MSXパソコン対応のミニプリンタだった。一応、M社の
製品だったが、じつはエプ損のOEMだった。同様な物がC社(キヤノンではない)からも販売されていた。
 ロール紙で、トイレットペーパーと同じ114ミリ幅だったので、個人的に「トイレットプリンター」と呼んでいた。
 用紙が無いときは、ちらしとかノートの紙を114ミリ幅に切って、使っていた。
 ホンモノのトイレットペーパーを入れてみた事があるが、紙が柔らかいためフィードできず使用不能だった。

 余談だが、小学生の頃、学校のトイレの個室にこもって、トイレットペーパーに4コマ漫画を描いていた。描き役と
鑑賞役で、友達と交代で個室に入って楽しんでいた。

 さて、こいつのインクは、4色一体型のもので、やはりよく使う黒ばかり早く無くなるので、いちいちBASICコマンド
からインクの色を指定して、順番に使っていた。だから、リストを水色や紫で出していた事もあった。
 えっと、確か LPRINT CHR$(27);”C7” だったっけなあ?

 高校生で金が無いから、なんとかしてインクを補充できないか考えていた。わざわざ島原まで買いに行っていたし、
店にも常備してなかった。取り寄せだから、2回行かなければならなかった。
 とりあえず、万年筆のインクを入れてみようとしたり、溶剤を流し込んで、スポンジに残っているインクを溶かして最後
まで使えないかなど色々と試行錯誤していた。最終的にヘッドを壊してしまい、修理代がかかってしまったのだが!

 中学生の頃、持っていたワープロなんか、熱転写のインクリボンが1本700円もしたし、わざわざ交通費をかけて
島原まで買いに行かないと手に入らなかった。店に陳列されているだけでもマシな方だった。あとで感熱紙を使うように
なったが、最初は、無理矢理インクリボンを巻き戻して試し印刷に使っていたものだ。意外に藁半紙だと、カスレが
目立たず比較的キレイに印刷できる事がわかったので学校から紙をくすねてきて使っていた(笑)。

 これらの経験から、プリンタを新しく買うときは、消耗品の事を考えて買うようにしている。
 インクリボンなんか、各社共通のものを作ればいいのに、なんでみんなバラバラ、同じメーカーでも何種類もあるん
だろうと、店の陳列棚を見て、無駄だなあと思った。いつ生産中止になるか考えたら、不安でしょうがない。

 究極の目標というか希望は、市販の墨汁なんかが使えるようになればいいのにと思う。いや実際にそれをやれば、
印刷品質が保証できないから不可能なんだが、それくらい、ありふれたものが安く手に入るような状況になれば良い
と思う。でもメーカーは、やっぱり消耗品ビジネスなんだろうね・・・。
 洗濯するのにどんな洗剤を使うかはユーザーの自由だし、洗濯機の性能とは別問題だと思う。ビデオテープだって、
CDだって共通に使えるのに、なんでインクカートリッジを各社共通の標準品にする努力をしないんだろう。やっぱり
パソコンは家電になりきっていない、発展途上のシロモノだという感じがする。
 でも万年筆でも、メーカーでカートリッジが違っていたしなあ・・・そんなもんなのかもね(笑)。

 プリンタのインクカートリッジは、せめて種類をしぼって、標準品を作って欲しい。消耗品が生産中止になったのに
プリンタが元気なんて困る。「国が滅びても、王だけ生きてるなんて滑稽だわ!」(天空の城ラピュタ、シータのセリフ)
を思い出す。

 それに、あまり種類が多いと、店で買う時に探すのが面倒じゃん。まるで電動ヒゲソリの替え刃を買うときみたいだ。
しかしインクの場合、間違って買って開封したら返品もできないだろうし・・・その意味でも、種類をしぼって、標準品を
作ってほしい。

 さてチップを実際に解析しようと思ったが、そのためにプリンタを買うのもばからしいので、半分あきらめている。でも、
とりあえず、使用済みのインクカートリッジがあったら、どなたか私にください。


 特許をいろいろ検索してみたら、こんなのがあった。[社名] and プリンタ and インク の条件で検索した。

   ・特開2001-315323 インク残量管理装置およびインク残量管理方法
    図を見ると、インクカートリッジのところにEEPROMと書いてある。
    インク残量の読み出しは、プリンタの電源オン時またはカートリッジ交換完了時のようだ。
    書き込みは電源オフ時と書いてあった。

 それから、こんなのもあった。
   ・特開2001-113715 プリントシステム、インクジェットプリンタ及びインクカートリッジ
    これはインクカートリッジが複数のプリンタに使い回されても、その使用期限管理が的確に行えるようにする、
    とのこと。装着日時を記録して、使用期限をチェックするようだ。そこまでするか?
    使えなくなったら、見れば分かるじゃん。

 これは、純正品以外を退けるカラクリのようだ。
   ・特開2001-105625 インクカートリッジ監視システム,インクカートリッジ監視方法,(以下略)

 あと、これもあった。いろいろ考えているようだ。
   ・特開2001-071533 インク総使用量推定方式、ホスト装置、プリンタ、インクカートリッジ

 日付順で見ると、ここ2年ぐらい前から、この類の特許出願が多い傾向にある。それ以前は、ヘッドの構造とかが多い
ようだ。
 一方、ライバルのC社の特許はどうか調べてみた。結果、インクカートリッジに細工して管理するようなセコイ特許は
見あたらなかった(見つけきれなかった)。まあ、E社に先に取られたのかそれともセコくないのか。たぶん後者かな?

 ただ、C社のプリンタに関して一言言わせてもらえば、BJ−10Vはマヌケだったと思う。最初に使っていた奴は、ある日
突然、ウンともスンともいわなくなって昇天した。
 その後、知人から同じ機種を譲ってもらい、使っていたが、またも同じ症状が出た。なぜだ?中を見て驚いた。電解が
全部、「おしっこ」を漏らしていた。そのため基板パターンが腐食断線したり、ショートを起こしていた。
 それで腐れ電解を全部取り外し、基板に洗浄スプレーをかけゴシゴシ洗い、パターンをチェックし、新しい電解を付けたが
動かない。一時動いたりしたが、また仮死状態になったりした。よく調べたら、リセットICの下に電解液が残っていて、そこで
リークしていたため、リセット状態が解除されなかったのが原因だった。いったんICをとりはずし、洗浄してからハンダ付け
し直したら動いた。
 どうやって立証したらいいかわからないのだが、構造的に、縦置きで使うときに問題があると思う。プリントヘッドの上に
メイン基板が位置するが、これがよくないと思う。
 インクの溶剤はIPA(イソプロピルアルコール)である。これが印刷時、蒸発して、上にあるメイン基板にたまっていく。
そこで、電解コンデンサのゴムパッキンに悪影響を与え、密封が悪くなって電解液が漏れだしたのではないか?
 所有していた2台とも同じ症状だったから、たぶん同じ原因で故障したやつが多いかもしれない。ハ○ド○フのジャンク
コーナーで見かけたが、あれも同じ症状で捨てられたのかも?

 そこで、ゴムとイソプロピルアルコールの関係について調べてみた。MSDS(MS−DOSじゃないよ!)といって、これは
製品安全データシートってやつ。石油化学工業協会の、「製品安全データシート」を参照してください。イソプロパノール(イソ
プロピルアルコール)は22番です。それには、「プラスチックやゴムを侵すことがある」と書かれています。膨潤とか。
 国際化学物質安全性カード(ICSC)日本語版 も参考になります。

 でも、工場にいた頃は、基板を洗うのにフロンの代わりとして、炭化水素系(灯油みたいな匂いがする)の溶剤と、イソプロ
ピルアルコールを使っていたが、大丈夫なんだろうかと思った。電解コンデンサのデータシートを見たら、イソプロピルアル
コールは使って良い記述だった。洗浄して、乾かしてしまえば問題ないのだろう。
 ただし、長期にわたってさらされると、ゴムが劣化する可能性がある。


 脱線するがさらにもう一言。
 レーザープリンタはLBP−310、320と続けて何年も使ってきたが、紙送りの機構がイモじゃないか? 数年使っている
うちに紙を何枚も重ねて送るようになってしまった。最初は、たまにそうなっていたので、紙を入れる前のさばき方が悪かった
のかな、紙の質が悪いのかな、湿気かなと思ったが、そうじゃないようだ。だんだん悪くなってきて、しまいには、プリンタに
つきっきりで1枚ずつ紙を入れていた。機械の奴隷になったみたいで気分が悪かった。
 さすがにメカまで手が出せない。分解してみたがさっぱりわからん。電子部品だったら手持ちのものがあるがメカは基本的
にお手上げだ。それで仕方ないから近所の電器店経由でメーカ修理を依頼し、1万円かかった。
 ところが、戻ってきてからも、たまに紙を何枚も重ねて送ることがある。3ヶ月以内に同じ症状が出たら無料修理だったが
面倒くさいのでほっとく。新しかった頃は、こんな事全然なかったのに。たぶんどこか摩耗すると、症状が出るのだろう。
今度壊れたら新しいのを買うか。
 ところでセルフテスト印字をしたら、いままでの合計印刷枚数は19000枚ぐらいだった。一応、ご参考までに。

 C社のプリンタの悪口ばかりじゃ、どうかと思うのでE社のLP−2000(むかしのレーザープリンタ)はひどかったと書いて
おこう。当時勤務していた会社にあったが、しょっちゅう故障して修理に出していた。ドラムにキズがつきやすいのか、印刷した
ものに汚れやスジが入ったりもした。ボロかった。たまたまこの機械だけ悪かったのかどうかは不明。

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