リサイクル人生 「○洋のビデオ」

 昨日ゴミ置き場で、ビデオを拾った。
 ビデオと言ってもエロビデオのテープじゃなくて、ビデオデッキだ。
 本体・電源コード(取り外し可能)・リモコンの3点セットが、ご丁寧にビニール袋に入れて置かれていた。

 経験的に、中古のテレビやビデオを買ったり(拾ったり)した時、リモコンはない。テレビを捨てるときにリモコンまで気が回ら
ないものかもしれない。あるいは、ガキのおもちゃ箱におさまっているのかもしれない。ないがしろにされているものだ。
 それにしてもリモコンが付いていたのはラッキーだった。今どきのビデオやテレビは、リモコンが無いと使えない。リモコン
だけ手配した事があるが5千円もした。再生や巻き戻しなどの基本機能だったら、汎用リモコンで良いが、予約設定などは
専用リモコンじゃないとダメなのだ。

 年式だが、95年製造とあった。

 そういえば、いつだったか、もうゴミあさりはしないって宣言したような気がするが、気のせいか。
 むかしは、見境なく何でもかんでも拾ってきていた。高校生の時、試験期間中だというのに、電器店の横でビデオを見つけ
店の人の許可をもらって持ち帰り、試験を忘れて自宅でいじくっていた。そのビデオは1980年代のもので、相当に重く、
腕がしびれそうだったが、根性で持ち帰り、恥ずかしかったがそれを抱えたまま島鉄に乗った。
 カセットの機構が、今は無いポップアップ方式だった。イジェクトボタンを押すと、ガコン!と上に持ち上がるのだ。ボタン
だって、今みたいな電子式じゃない。完全なメカだ。ガチャン、ガコン、ガチッ、という感じだった。


 さて、まずは動作確認だ。故障だとしたら、どんな症状だろう?
 まずコンセントに接続し、電源を入れた。ヒュイーンとヘッドが回っている音がした。おお、一応生きているようだ。
 次に、万が一を考え、ワカメになってもいいテープを入れてみた。おお、テープが入った!が、しかし・・・すぐ出てきた。何度
やっても同じ。ありゃりゃりゃりゃ。これが症状か。

 なんでテープがすぐ出てくるんだろう。
 あっ、そういえば昔、こんな事があった。ビデオをあけていじくっていた時、テープを入れずに、テープが入った状態にしたい
と思った。メカをあちこち押したら、グインと引き込まれるのがわかったが、すぐにイジェクトされた。これは、テープが入って
いないと認識されているためだ。テープの中央にあたる所にでっぱりがあり、そこが光源だ。むかし見たのは豆電球だったので
点灯しているのが見えたが、現在は赤外線なので見えない。そしてテープの側面に接する左右それぞれにセンサ(受光素子)
がある。
 向かって左がテープエンドを検出し、右がテープの先端を検出していると思う。両方ともONならテープが入っていないか、または
切れて(切断)いる訳だ。
 オーディオカセットみたいに意識することはないが、ビデオテープにもリーダーテープがあり、テープの先端とケツは透明になって
いるから光を通す。

 そういえばガキの頃、初めて自分専用のラジカセを手に入れた時の事だ。新しいテープに、あーあー、と録音して再生したが
何も聞こえない。おかしい。何度やっても同じだ。なんで?
 あれこれ調べていたら、たぶんリーダーテープじゃないかと思って、鉛筆でテープを回し、磁気部分の先頭まで送ってから
録音したらちゃんと聞こえた。当たり前のことだが最初だから知らなかった。これに気づいてからは、録音の前にあらかじめ
鉛筆(または指)でテープを先頭まで送って使うようにしていた。消去ヘッドの位置も考えて合わせていた。
 あらかじめ送っておけば、実際に録音されるまでのタイムラグ(time lag)が無く、すぐ録音できる。ビデオが家に無かった頃は
こうやって待ちかまえておいて、「ドラえもん」を録音したものだった。CMから切り替わる瞬間の判断が勝負だ。ちょっとでも
ずれると、「どこでもドア〜」が「でもドア〜」になってしまう。

 ところで、テープを入れずに、だましてローディング状態にしようとするとすぐイジェクトされるのは、テープが切れていると認識
されていたのだろう。左右両方のセンサが受光していたからだ。
 機械をだますのは簡単で、ローディング状態になった瞬間に、指で光源をつまむか、あるいはボールペンのキャップをかぶせ
る。

 あれこれいじっているうちに、その、つまんだ指をパッと離してみたくなる。ビデオは気づくか?まるで、ルパン三世になった気分
だ。赤外線警備装置に守られたダイヤを盗み出そうとしているのだ。一瞬なら、赤外線は作動しない。よし、今だ!
 「ウイ〜ン・・・・・・」 イテテ!指をはさまれてしまった。機械のくせにかみつくのか人間様に。ちくしょう。
 ルパン逮捕だ!(銭形のとっつあん) ※おっつあん だっけ?

 一度痛い目にあうと、二度と同じ過ちは繰り返さないものだ。ボールペンのキャップを使う。こいつをかぶせておけば、安泰である。
 再生しようが早送りしようが、自由自在である。メカの動きが丸見えだ。なんとなくローラーを指でおさえてみたり、ベルトをつまん
でみたくなる。

 脱線してしまった。
 フタをとって中を観察してみた。けっこうホコリが多い。それと陰毛が多い(笑)。
 ビデオなんか安売りで1万円以下だが、じつは精密機器なのだ。ホコリまみれの一般家庭で、そこらへんに無造作に置かれた
テープをつっこむので、ホコリ(あるいは陰毛)がたまるのだ。少しでもメカを知っているなら、テープを入れる前にホコリを落とす事
だ。

 どこの誰が使っていたかわからないし、陰毛が気持ち悪いからとりあえず、全部バラして清掃しようと思った。
 分解して思ったが、なんとも単純な構成だ。基板なんか1枚しかない。部品も大して載っていない。
 だが、ヘッドの真横にコネクタがあるのがはずしにくかった。なんてイモな設計だ。ヘッドに触れたくないのに、これじゃどうしても
触れてしまう。ピンセットでつまむと、フレキを傷つける心配があるし・・・。ゴムが先端についたピンセットがあれば良かったが、
サービスマン誰でもそういう物を持っているだろうか?
 ゴム板か何か、貼り付けて工夫しろという考えもあるが・・・。

 そういえば、こいつとほぼ同型のビデオを、以前修理したことがある。なんでも、帰宅したらビデオからケムリモクモクだったとの
事(笑)。もうちょっと帰宅が遅かったらどうなっていたことか。
 調べたら、電源基板上のコンデンサがくさって、基板が汁まみれになっていた。それでショートしたと思われる。抵抗が黒こげだ
った。パターンが腐食してボロボロだったので、同じ基板を、近所の電器店を通じて取り寄せ、交換した。
 参考までにその基板の現品票を。

 今回のビデオも気になったので、念入りに点検したが問題無いようだった。

 さて全部バラしたので、ホコリを飛ばすスプレーと、拭き掃除用品を買ってきた。
 ベランダに出て、シューッとやった。メカにくっついた陰毛は、グリスのせいでなかなか離れない。ばっちいから、一本ずつピンセットで
つまんで捨てた。
 こびりついたホコリは、綿棒でこすって落とした。

 念のため基板を目視検査した。ハンダ割れがないか。コンデンサが腐ってないか。焼けている箇所はないかなど。問題なかった。
 疑っているセンサのハンダも見たが、正常だった。

 メカ部品の消耗は、見た目では問題ないように思えた。

 掃除が済んだので、ひとまず組み立てる事にした。ネジがわからん(ぶわはははは)、なんてことはありません。
 こういう機器をばらすときは、ばらした順番で部品とネジを並べていくとか、極力、どこにネジがついていたかわかるような形にして
作業する。床の上で作業するとき、自分の周囲にこうやって並べていくものだから、気が付いたら身動きがとれなくなっていた事も
あった。
 そして、ばらしてから時間をおかずに組み立てる事だろうな・・・。記憶が新しいうちならネジも思い出せる。デジカメやビデオで
記録する方法もある。

 ネジだけじゃなく、線の束ね方とか、線を保持している針金(フック?)の位置なんかも記録しておきたい。線の引き回し方によっては
メカに巻き込んで傷つく事もあるし、ノイズの問題もある。
 それから、ビニールテープで線をまとめている部分があったが、テープがはがれて糊がべとべとしていた。このように、ビニールテープ
は長持ちするものではない。おかげで線がべとべとする。これを扱う者の身になってほしい・・・と、やたらに文句が多いのである。文句
を言うのは楽だが、言われるのはイヤなのである(笑)。

 また動作確認をした。テープを入れてみたが、すぐ出てきた。やっぱりだめか・・・。
 ところが・・・何度かやっているうちに、すぐ出てこなくなった。テープを入れると、少し巻き戻されて、先頭まで巻ききって止まった。それ
からイジェクトされたりしたと思う。
 そのうちに、正常になったようなので、試しに再生を押してみた。動きを見ると、再生しているようだ。テレビにつないでみた。うつった!
 なぜだか知らないが直ってしまった。一番イヤな直り方だ。これから原因をつきとめようと思っていたのに・・・。

 わからないまま〜おわる そんなのは イヤだ! (アンパンマン)

 その後、タイタニックのビデオを3時間ぐらい流したが問題なかった。テープをかえて、何度も出し入れしたり再生・早送り・巻き戻しなど
操作したが問題は発生しなかった。その様子:


 ただ、リモコンの再生や早送りボタンの感触が、妙にネトネトしていて、しかも早送りボタンの反応がにぶい。こりゃ掃除せにゃならんなと
分解してみたら、垢だらけだった。
 基板以外、洗浄可能な部品は全てマジックリンをかけて、洗面台で洗った。垢がこびりついている部分は、古歯ブラシでこすった。
 基板は、再生ボタンのあたりが粘液で汚れていた。匂いをかいでも、コーヒーか何かわからなかったが、べたべたしていた。基板は洗え
ないので、アルコールをつけて拭いた。
 ケースの、ボタン穴の周囲は垢がつまっていて歯ブラシでは落ちなかったので、ひとつずつアルコールをしみこませた綿棒でぬぐった。
 そうして乾燥させ、組み立てたらバッチリきれいになって、リモコンちゃん美しく復活。

 ビデオ本体もリモコンも、よく使うボタンの印刷が消えていた。慣れれば不自由ではないが、やはり安物だなあと思う部分である。

 フロントパネルの押しボタンだが、プラスチックのアームで、基板上のスイッチを押すようになっている。そのアームの固定部分だが、
突起を熱でつぶして接着する方式だった。しかし、フロントパネルをはずした時に一緒にとれてしまった。固定も何もあったもんじゃない。
こういうやり方だと、取り付けは簡単だが強度はイマイチ(安物ビデオだから文句を言ってもしょうがない)。

 また症状が出ないか、しばらく使ってみる事にする。いずれにしても自分の手元に置いておくだろう。こんな安物ビデオは、リサイクル
ショップに持っていっても金にはならんと思う。
 拾ってくるとき、直せなかったら部品取りにするつもりだった。映像関係に使えるクリスタルとか、フィルタ、ディレイラインなんかが取れる
からだ。

 

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