学研電子ブロックの思い出

 学研から「電子ブロック」が復刻される事になったが、その「学研電子ブロック情報メール」で
募集のあった、電子ブロックの思い出に応募した文章を掲載します。
 たぶん採用されないと思うんで、せめてここに・・・(^_^;)

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 私は現在29才で、小学生の頃は「科学」と「学習」を読んでいました。当時、「電子
ブロック」や「トランシーバー」の広告が載っていたのを思い出します。
 その広告を、本当にボロボロになるまで読み返していました。どれもこれも欲しくて
たまらない物ばかりでした。
 トランシーバーは友達が持っていて、それで遊ぶのはとても楽しいことでした。相手
の姿が見えないのに、おーい、なんて聞こえたりして、イタズラ心を刺激されるという
か、ただ交信ができるだけでも楽しかったものです。大人にとっては、交信できるの
は当たり前なんですが、子供の自分にとっては、新鮮な感動がありました。どのくらい
の距離まで交信できるのかな、なんて試すのは興味深いことでした。
 幼い頃から、電気に興味があり、いろんな電気製品を分解して遊んだりしていま
した。テレビがなぜ映るのか不思議で、後ろの通気穴を壊して広げ、飽きる事なく
のぞき込んでいました。
 その穴から鉛筆とかいろんな物を放り込んでいました。そうすると親が電器屋さん
を呼ぶので、裏蓋をはずしてテレビの中がよく見られたからです。その頃のテレビは
木のキャビネットで、画面に対して全体がすごく大きいものでした。
 基板や電子部品には、なにか興奮させるものを感じました。整然と並んだ部品、色
とりどりの配線・・・いつまで見ていても飽きませんでした。電気というものは、まるで
魔法のようでした。映像や音を伝えるし、照明や熱になります。計算もします。私は、
この魅力にとりつかれました。

 ある時、デパートであこがれの「電子ブロック」が陳列されているのを見つけました。
それは、ガラスのショーケースの、自分の背丈より高いところにあったので、手が届くか
どうかギリギリだったと思います。じーっと、見上げていました。
 それは、広告の写真から想像していたよりも本体は小さく感じましたが、ハイテクな
雰囲気のブロックが並んでいて、たまらなく素敵なものに見えました。
 値段は、子供の自分には手が届きませんでした。玩具としても値段は高い方だった
と思います。欲しくて欲しくて、その思いを訴えて、親におねだりしましたが・・・・・・、
しかし、結局買ってもらえませんでした。
 その後も、欲しいと思い続けていたのですが、「電子ブロック」はいつの間にか、
広告から消え、デパートのも無くなっていました。そのうちに自分の記憶からも、表面
上は消えていました。
 たまに当時を知る仲間同士で、あー、そういうのあったよね、欲しかったよねえ、
なんて話をしたりして思い出すぐらいで、もう二度と製造されることはないんだと思って
いました。完全に思い出の世界のものになっていました。
 でも電気に対する興味は尽きることなく、この分野に進み、現在はエレクトロニクスの
開発設計の仕事をしています。電子ブロックは持っていませんでしたが、しかし、当時
それが世の中に存在したことが、自分をこの道に進ませたきっかけのひとつになったと
思います。

 最近になり「電子ブロック機器製造」ホームページの存在を知って、同じ思いの人々
が多いことと、復刻へ向けて動いていることがとても嬉しかったです。
 さっそく「バーチャル電子ブロック」というソフトを購入しました。これはこれで面白いの
ですが、やはり当時を知る者としては、まだ触れた事のないあのブロックに触れてみたい
という思いが強いです。金銭的に自由な今、20年遅れですが、あのあこがれの「電子
ブロック」を買うことができそうです。
 また、いまの子供たちにもぜひこれで遊んで欲しいと願っています。ひとりでも電気に
興味をもつ子供が増えたらいいなと思っています。技術立国日本の技術者を育てる事に
つながるはずです。

 当時とても欲しかったのに買えなかった(買ってもらえなかった)者のひとりとして、
思い出を書かせていただきました。
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