モデム設計のノウハウ

 もう今の時代、アナログ電話回線用モデムは主流ではなくなりつつある。通信速度は限界に達して、これ以上のスピード
アップは無理だろうし、他にもっと良い選択肢があるからだ。
 かつて私は、いわゆる哀話の欠陥モデムに泣かされて、それからずっとモデムにこだわっていた時期があった。ちょうど
仕事でも、モデム関係をすることになったため、とくに力を入れて勉強していた。
 ここに、その当時のメモを掲載しようと思う。これからの時代、あまり重要とされない技術かもしれないが、せめて、その足跡
だけでも残しておきたい。

 4頁で、トランジスタのhfeが200000なんて書いてあるが、これは間違いで、当時参照した「トランジスタ規格表’94」
(CQ出版)のせいだ。参照できる方は、234ページをご覧下さい。ロームのデータシートで確認したら、20万じゃなくて2万でした。

 1ページは、雷サージ対策について説明している。じつは、ひらけた田舎に住んでいたせいか、雷にはずいぶん悩まされた。モデムは
1回、ISDNのTAも1回、雷でやられた。ついでに家のテレビも雷にやられて、基板が真っ黒焦げになり昇天した。
 トラ技の広告で、アメリカ製の雷サージ対策装置を見つけた。向こうでは実績があると強調されていた。一応信じて、というか、わらをも
すがる思いで注文したが非常に高かった。2回線のため、2個買ったが2〜3万ぐらいしただろうか。それでも保険だと思って無理に買った。
ところが!これを付けていたのに壊れたのがTAだ。ちゃんとアースもしていたのに。

 これだけじゃない。サンダーカットというのを友人から紹介され、わざわざ島原のNTT営業所の中にあるNTT−TE(当時)まで、2個
買いに出かけた。これはもともと安かったし、少し値引きしてもらったので値段には全く不満はない。
 こいつも、さっきのとダブルで、電話回線につないでいたのに、ああそれなのに、ああそれなのに、雷でTAは昇天してしまった。
 サンダーカットが壊れるのなら分かるよ。けど、サンダーカットが無事でTAが死ぬなんて!!ああー。
 ちくしょう、こいつの中身はどうなってるんだ?正体みせろ。

 これは、3極避雷管を2個使っている。電話回線と、電灯線の間が避雷管同士を通してつながっていて、電話回線にのってきた雷サージ
電流を、電灯線をアースとして逃がすようになっている。電灯線の片側は、電柱のところでアースされているから、アースとしても使える
わけだ。このアースは確か第1種接地で、良質なアースだったと記憶している。
 確かに雷が鳴っている時、漏電ブレーカがよく落ちたから、サンダーカットが雷電流をアースに逃がしていたんだと思う。
 また、サンダーカット内部で、電話回線と電灯線の間の雷サージ電位差を抑える(ここで放電させて吸収する)ことで、モデムやTAの破損を
防ぐような仕組みになっていると思う。とくに文句のつけようのない構成だった。

 ところで最近、コンセントの差込のところにはさみ込む「雷サージ防止器」があるが、自分にはインチキに見えてしまう。なんだあんなのって。
中身はどうせ、バリスタ1個だろ。原価なんか数十円だろう。バリスタ1個で済むなら苦労しないんだよって。
 ひどいテーブルタップも買った事がある。海外製で、パッケージには確かに雷サージ対策と書いてあった。本当かと思って分解したが、
それらしい部品は付いていなかった。なんなんだか。

 本当にむかし(5年ぐらい前だが)は、雷サージ対策製品はほとんど無かった。いまなら、テーブルタップにしても、バリスタ1個しか使って
ないくせに「雷サージ対策!!」なんていばっているが。

 いやなんでこんなに怒ってるかといえば、コンセントのところに付けるアダプタ風の、それらしく中身が詰まっていそうな「雷サージ防止器」
をむかし買った事があるんだ。それらしい大きさだから、きっと中は凝ったしかけになってるんだろうと期待させるようなものだった。一応、
知ってるようなメーカーだった。
 特殊ネジなのであけられなかったが、特殊ドライバを入手したときに分解してみたら、なんとバリスタ1個、ネオン管1個、ヒューズ1個という、
素晴らしい構成だったのだ。これであの値段とは、よっぽど高級な部品なんだろうなと。チクショー。

 電話回線用のものは、いまは何種類も売っている。みんな、雷にやられ出してからこういうのが必要になったんだろう。一種のビジネスに
なっている。しかし本当に効果があるのか、それはわからない。やられてみなけりゃわからない。雷のとき、ちゃんと防御してくれたのか
確かめようがない。この雷防止器が壊れたらランプが消えるというのがあったけど、そういう問題じゃなくて、モデムやTAが壊れるような
電圧がかかったか、また防げたかどうか確かめられればいいのだが。できればデータをとりたいなと思っている。

 一番確実な方法は、雷が鳴り出したら電話回線と電源コードを抜くことだ。不在の時や、就寝時は難しいことだが・・・。

 当時勤めていた会社では、ISDNを2本引き込んでいた。TAはIT55DSUとIT45DSUを使っていた。ある時、ひどい雷が鳴り、やばいと
思ったら、案の定、電話が通じなくなっていた。2つとも、ACTランプがチカチカしていた。ガーン、ウソだろ。げげー!!

 これがISDNの弱点だ。TAが壊れたら電話が使えなくなる。アナログ回線だったら、回線自体は交換機が死なない限り大丈夫だから、
安い電話機でも買ってきてつなげばいい。携帯電話があるからいいだろうと言う人がいるが、私は賛成しない。
 いろいろ考えたら、昔のダイヤル黒電話は頑丈で良かった。あれが一番、信頼性が高い。友人の家で、落としたらしくケースが「頭蓋骨陥没」
みたいになっていたが、正常に使えていた。あれが雷で壊れたという話も聞いたことがない。コンセントにつながっていないから、雷電流の
通り道がないのである。
 で、さっきの会社のTAだが、しょうがないからパソコン屋に、TAを買いに出かけた。修理を待っていたのでは仕事ができない。その接続が
済んでから今度は、TAを修理に持っていった。緊急でやってくれとお願いした。
 じつは後で分かったことだが、IT45DSUやIT55DSUは、中のDSU基板の、回線入力部近辺にあるヒューズ抵抗チップが切れているので
それを交換すれば直るのである。もっとも現実的には、そんなの売ってないから、そのままジャンパー線でつないでやった(笑)。これは、
電話工事の人が、そうそう、あのTAが雷でやられた時はあちこち修理に行って大変でしたよって話していたのを聞いたのがヒント。ヒューズが
どうとか言っていたので、たぶんあれかなと思って調べたわけだ。
 回線につないでいないとACTランプが点滅するのは知っていたから、ヒューズが飛んだというなら、たぶん回線側で開放になってるんだろう
とも考えた。

 むかしは自分で草の根パソコン通信ネットを運営していたから、メインのTAがイカレたのは運営に大変な支障があった。こんな時のために
というか、別に電話機をつなぐために、古いアナログ2回線のTAを持っていたので、とりあえずそれでアナログ回線復旧のメドはたった。
 だがそのアナログのTAは、DSUが外付けだったので、IT55DSUが無い以上は使えない。雷で回線がいかれたのかTAがいかれたのか
NTT−TEの人に来てもらっていたので、事情を話したら、旧型のDSUなら有るという事で貸してもらった。
 しかしいつまでも借りておくわけにはいかないので、やむを得ず、高いDSUをわざわざ島原のNTTまで買いに出かけたのだった。3万円
ぐらいしたと思う。いま思えば、よくこんな大金をつぎ込めたなと思う。

 このように、会社とかで回線が使えなくなると困るところでは、予備のTAを備えておかなければならない。アナログだったら、また言うけど、
家にきている回線までは無事だから、電話機さえあれば、何とかなるものだ。

 モデムが壊れた話だが、ちょうど雷が鳴り出した頃なので、念のため線を抜こうと席をたった時のことだった。「ドドーン!!」と、でかい
のが来た。やばいやばいと思った瞬間、モデムちゃんが、「チリチリッ」と、聞き慣れない音を出した。
 終わった。
 回路の実験をするときに、たまに匂うあの匂い(抵抗やICが焦げた匂い)が、ほのかに匂ってきた。やっぱり・・・・・・。

  コントローラは生きていて、パソコンからATコマンドを打ち込むと、ちゃんと反応した。だが、ダイヤルして接続しようとすると、途中で、
トーンが検出できないとかでエラーになったので、これは間違いなく回線側の回路が死んでいる。
 分解して中を見たが、匂いがしたのに、特に焦げているようには見えなかった。

 もう店がつぶれたので言うが、「いやー、この前買ったばかりなんですけど、急に動かなくなりまして」と言って(ウソは言ってないですね)、
修理に出した。保証期間中で、無料で新品と交換してもらった。
 だってこのモデム、他にも問題があって、並列につないでいる電話やモデムのダイヤルパルスを、RINGと誤認識して着信するんですよ。
ばかみたいですね。私にはわかります。回路の手抜きです。部品をひとつふたつケチっている。
 メーカというか、国内代理店に問い合わせたら、「調査中につきしばらくお待ち下さい」旨の連絡がきて、それっきり、うやむやになっていたと
いう、いわくつきのものだ。だからこれくらい仕返ししてやっても良い(をいをい)。

 さて話は戻って、2ページだが、ここは少し問題がある。回線とアース間にコンデンサを入れるとあるが、これは良し悪しだ。FG(筐体アース)に
コンデンサの片方をつないだとする。ところでFGはどんな状態だい?ちゃんと地面につないでいるのか。いや、たいていの場合、地面には
つないでないだろう。
 そうするとどうなるのか。これは自分で体験したことだが、ノイズが入る。パソコンの筐体は、じつは電源回路でAC100Vからコンデンサを
通してつながっている。いわゆるラインフィルタだ。ここから入ったノイズが、筐体を通り、外付けモデムならシリアルケーブルのFG線をとおって、
また内蔵モデムなら、カードのブラケットの金属部をとおって、コンデンサを通じて回線に流れ込む。
 結果、ビーというハム音が入って、通信速度がガクンと落ちたり、通信が途中で切れたりするなどの不具合が生じる。
 自分の、PCIバス用のモデムカードはどうしたかというと、そのコンデンサをはんだごてで除去したら、ハム音は入らなくなったし、通信が
安定するようになった。

 FGを通じて、他の周辺機器からノイズが入り込むという例は何度か耳にした。確か外付けSCSIハードディスクをつなぐとハムが入るという
話も聞いたことがある。こういうのに使っている電源はローコスト品だから、ありそうな事だと思う。

 あまり電話回線に、いろいろつなぐのはインピーダンスの影響とかあるから避けたい。なるべくなら本来必要な信号に影響を与えない形での
対策を考えたい。たとえばフェライトコアだ。それと、基板上ならコモンモードチョークコイルだろう。アマチュア無線をやっている人なら、電波が
飛び込んで電話にノイズが入ったり、ベルが鳴るなどの不具合が生じるので、その対策でご存じだと思う。

 3ページは、基板内のアースのとり方などを述べている。
 たとえば哀話のPV−AF144V5だが(こいつにはさんざん泣かされたが)、これは4層基板を使っていて、アナログGNDもデジタルGNDも、
またFGも全てごっちゃまぜに内層GNDにつないでいた。それぞれのGNDは独立させ、1点でつなぐのが常識なのに。
 回線側の回路では、絶縁のため内層を抜くのが常識だが、それもなされてなかった。
 一方、哀話がダメで代わりに買ったマイクロコアMC14400FXだが、これはキチンと、1点アースの箇所が確認できた。実際、性能も良か
ったものだ。

 もうひとつ間抜けな話を書こう。モデムチップが4つぐらいのっかった、ISAバスのモデム基板の話だ。
 別の人が作っていたものだが、なんだか動作がおかしいというので、ヒマだった自分が調べることになった。あちこち信号を調べていたら、
奇妙なことに気づいた。なんでチップにリセットが連発で入っているのか?リセットなんか立ち上がりの1回しか出ないもんだろう普通。
 よくよく調べると、電源電圧がふらついている。つまりこういうことだ。モデムチップは電気を食う。比較的大きい電流が流れる。それが4つも
のっかっている。
 ISAバスは、じつは電源関係の本数が少なく、とくにGNDが弱いのだ。確かGNDは4ピンぐらいしかなかったと思う。
 さらに悪いことに、大食らいのモデムチップは、2階建ての2階に鎮座ましましていたのだ。この基板間をつなぐコネクタもショボい設計で、
GNDのピン数が非常に少なかった。
 まるで、ボロ家に、豪邸がのっかっているようなものである。いまにも崩れそうである。
 対策として、下の基板からぶっといジャンパー電線を何本かのばし、GNDを強化して、どうにかこうにか動くようになったというわけ。

 いくら4層基板だと頑張ったところで、ISAは足下の土台が貧弱だから、電気的には限界が見えているのだ。1回線ぐらいのモデムなら
何とかなるだろうが、それでも性能的にはどうだろうか。
 だいたいパソコンの安物のスイッチング電源からして、くさっている。
 アナログ部の波形をみると、えらくノイズがのっていて、いくらコンデンサをくっつけてもフィルタをかましても、基板内で細工する限り
全く改善しなかった。足下がぐらついているからしょうがない。結局、PCIバスで作り替えることになった(PCIは高速動作させるため、電源
まわりが強化されている、というか必須条件なのだ)。

 もっと間抜けなのは、カードのブラケットにイヤホンジャックを取り付けていたやつだ。確かマイクをつなぐためのものだったが、イヤホン
ジャックはアナログ回路に属するから、アナログGNDになる。ネジ止めの部分はアナログGNDだ。
 一方、ブラケットはどうか。これは筐体につながるからFGだ。そう、ここで、お互いにつながってはいけないGND同士がつながってしまい
ノイズが入るのである。これはみんななかなか気づかなかった。自分はヒマだったので気づいた。それで指摘したら、製品はちゃんと、
ブラケットのその部分がくり抜かれている。意外な盲点であった。
 じつは、他のメーカー品のモデム基板では、この部分が考慮されていないものが実際にあった。

 モデムのアイパターンについて。
 回線の状態などを見るのに、アイパターンは便利である。そのための回路が、ロックウェルのモデムチップセットデータブックにあったので
それを参考にして実際に作ってみた。D/Aコンバータや、オペアンプは、手元にあるやつに直してある。その回路を次に示す。

 PV−AF144V5は、これをつなぐためのパターンがハンダ面に、3つ並んであるので、便利だった。あと電源として+5V、GNDのほかに
+12Vと−12Vもモデムから引き出す必要がある。

 あとはX、Y出力をオシロのCH1、2にそれぞれつなぎ、X−Yモードにして、モデムで通信すれば良い。オシロの画面にはドットが並んで
微妙に動いたりするのが見えるはずだ。
 なお、オシロはデジタルよりアナログ(純粋な)が良い。デジタルだと、なかなか思ったように表示されない。

 それと、ここに使っている74LS164が手に入らない時は、まあ、この回路がわかる人ならいちいち説明する必要はないと思うが、
次のように、74LS374などで代用する方法もある。

 しかしまあ、まるで蚊取り線香のグルグル巻きみたいな回路だ。今ならFPGA(アルテラ)で簡単に作れるね!
 誰だリレーで作れと言う奴は・・・。(←電波)

 実際に組み立てて、テストした時の写真を次に示します。



●「モルモット」にはなりたくない。
 さて、一般向けにしては珍しく、カタログに技術的な事が述べられていた例がある。しかしその性能は、書いてあるほどのものだったか?
ここで改めて考えてみよう。
 本文をスキャナで取り込んだが、いろいろ問題があってはいけないので、ここには読める状態で掲載しない事にする。問題なのは、この
ページ。

 内容は、いかにうちのモデムが高品質で高信頼性であるか、専門用語をまじえて説明して(主張して)いる。いかにもすごそうに感じる。

 V.FCモデムはご存じだろうか? もう忘れかけてるが、V.34の前にあったと思う。V.34が決まる前に、デファクトスタンダード(事実
上の業界標準)になろうとして、先走ってV.FCモデムが発売された。一応、V.34との互換性は維持されると言われていた。
 当時パソコン通信ネットを運営していた私は、技術的な興味もあり、少々高かったが、このモデムを導入した。ネットで試してみて、その
実力を知りたいと思いました。
 その結果はどうだったか。カタログの記載に対してどう考えるか、当時ネットへ書き込んだものを以下に掲載します。

 ***「ノイズの発生を有効に抑える4層基板の採用」***
 カタログでは、「従来のモデムは、コストダウンのために両面基板を使用しており、それではシールドが難しく、デジタル回路からの
ノイズを拾う可能性がある」と主張しています。
 私はいままで、10台以上のモデムをばらして評価しましたが、両面基板を使用しているのは、サン電子のMS288AFぐらいでした。
この機種がとくに性能が悪いという話は聞いていません。
 両面基板でも、GNDの処理(アナログ系とデジタル系の分離と1点アース)や、リターンを考慮したパターンの引き方に気を付ければ、
十分な性能が発揮できるのではないかと思います。
 たとえばアイワの14,400bpsモデムシリーズを何機種か評価しましたが、いずれも4層基板の効果を過信しているか、誤った使い方を
しているとの感想をもちました。
 デジタル系GND、アナログ系GND、フレームGNDの区別をせずに、まとめてGND内層につながっています。サージサプレッサから雷電流を
フレームGNDに逃がしたいのに、アース線がつながれていなければ、回路を直撃することは分かりきっています。
 また、パソコンや他の周辺機器の電源部からのリークやノイズが、ケーブルのフレームGNDを通じて、モデムに流入することも考えられます。
 デジタル系とアナログ系GNDをいっしょにしていると、デジタル系ノイズがアナログ系に影響を与えます。
 それに、絶縁が必要な回線部の内層を抜いていません。とくにポケットモデムにおいては、実装スペースの関係から、苦しいものがあります
が・・・。
 たとえ4層基板でも、基本的な注意事項をおさえ、さらにその能力を引き出すような設計をしないと、お金をかけた意味がないのです。

 ***広帯域大型ハイブリッドトランスの採用***
  これは他社のモデムにはみられない特徴です。○○○の28,800bpsモデムシリーズ最初の×××−×××から、ずっと受け継がれて
きました。本体をあけてみると、中にはひときわ大きいトランスが鎮座しています。このトランスは回線の直流電流が重畳できるものです。
 一般的には、モデムの小型化のために小さいトランスを使うので、直流電流が重畳できず、その代わりにトランジスタを用いた直流負荷を付ける
やり方が多いですね。
 トランスそのものは、10μF程度のコンデンサを通して、交流成分のみ加えられます。
 PV−AF144V5が失敗したのは、このコンデンサが0.47μFと小さすぎて、トランスにかかる信号レベルが小さくなってしまったためでしたね。
 モデムチップマニュアルで推奨されている回路では、トランスとモデムチップの間にオペアンプを1段ぐらいはさんで、ハイブリッド回路の仕事は、
モデムチップがデジタル信号処理によって行っています。
 ところが○○○のモデムでは、ライントランスがハイブリッド回路の働きもするようです。
 この効果のほどについては、私は未調査で何とも言えませんが・・・・・・しかし、他社にはない変わった方法であることは間違いありません。
 他社がモデムチップマニュアル通りに、ありきたりのトランスと、オペアンプ1段ぐらいの簡単な回路で、問題なく使えているし、トラブルを起こして
いないのは一体なぜ?(^^;) 凝り過ぎかな? ○○○さん。

 ***静電気や雷の影響からモデムを守る***
 カタログでは、サージアブソーバを2〜4本搭載しているため、10数kV規模の雷誘導サージにも耐えられ、モデムをしっかり守ります、と主張して
います。
 このサージアブソーバは、見たところ、三菱マテリアルのDSSシリーズじゃないかな? 放電管のようではありますが、ちょっと違います。資料を
紛失したので詳しくは書けませんが・・・。
 一般的に言って、放電管のたぐいは応答が遅いという欠点があります。高速の雷サージが、放電管を通じてアースに逃がされるよりも先に回路に
達してしまったらおしまいです。
 でも、バリスターと違い、容量性の負荷にならないという利点はあるのです。いや、高周波ノイズ対策のためには、耐圧1kVぐらいの数100pFの
コンデンサが欲しいところですが・・・。
 さらにこのモデムでは、せっかくサージアブソーバを付けているのに、アース端子を付けていません。これでは、モデムは助かっても、フレーム
GNDを通じて雷サージがパソコンに流れ込み、パソコンが壊れるかもしれません。
 あ、カタログに書いてある通りかな? 「モデムをしっかり守ります」って。モデムは守るけど、ほかは知らんて(笑)
 何度も言いますが、雷が鳴ったらモデムを回線からはずすのが絶対安心です。

 ***シールド板でノイズをシャットアウト***
 これも他社のモデムにはみられない特徴です。変わっていますね。本体を分解すると、モデムチップをすっぽりとシールド板がカバーしているの
が見えます。
 他社はこういう事をしていないのに、トラブルを起こしていないでしょう?本当にこのシールド板は意味があるのだろうか?VCCI対策かもしれま
せんね。ノイズ防止コアも含めて。
 そのわりには、メモリー内蔵モデルでは、モデムチップ以外のワンチップCPU?にはシールド板つけてませんね。こいつも高速で動くから、高周波
ノイズばらまきじゃないの?どうなの○○○さん?

 ***通信状況が詳しくモニタリングできる高品質スピーカー採用***
 カタログでは、「○○○のモデムは、高品質のスピーカーを採用しているので回線ノイズの有無や信号の歪みまで聞き分けることが可能」と
主張しています。すごいなぁ、人間が聞き分けるのか?(爆笑)
 ピーガーヒョロロロロ・・・シャー・・・  うーん、0100111000111001100・・・11111000111か、CRCエラーだな、とか(笑)。
 V.34ともなれば、信号はかなり微妙な挙動をしており、そんなのを耳で聞き分けて、障害をチェックすることが可能なのだろうか?
 アンプ回路に凝るぐらいなら、LINE OUT端子でも付けて、オーディオ機器につないで聞くぐらいのことはしなくちゃ。ヘッドホン端子でも
いいよん(笑)。マジで、ヘッドホンのほうが、細かい音までよく聞き取れると思うよ?


 ・・・で、このモデムをネットで使っていたが、うまくつながらんとかのクレームが多く、色々調整したもののサッパリ。自分で他のネットにアクセス
するのに使ってみても、途中で切れたりしてこれまたトホホ。
 で、また新しいモデムを買ってしまったのだ。出費でトホホホホ。
 当時の書き込み:

   MC336XLIIを買ったので、さっそく分解してみました。
   マイクロコアのモデムは、開局直後に哀話のモデムが不調でさんざん苦しんでいた時代、MC14400FXを買い、それで
  助かって以来の購入です。恩があるのです(笑)
   コネクタのある側のフタにネジが2本付いているので、それをゆるめてフタをとれば、あとは基板を引き出すことができます。
   基板は両面基板でした。コストダウンのためでしょう。
   ○○○は、4層基板じゃないと性能が発揮できないなどとカタログ中で主張していますが、ちゃんと設計すれば両面基板でも
  いいものができます。コストダウンと性能の両方を満足することができるはずです。
   回線部を眺めたら、ロックウェルのマニュアルにある設計例通りのように思えました。
   電源はアダプタからAC9Vを供給して、それをモデム内で必要な電圧にかえて使っています。
   あと、電解コンデンサが105℃対応のものなのが感心しました。普通は85℃のものばかりなのですが・・・。
   でも、どこの国のメーカーかわからないので、品質はどうか知らない。(^^;)
   このモデムそのものは台湾で製造しているようですね。台湾製のモデムはなんか基板の雰囲気でわかってしまいます。

 結局、最初に挙げた○○○のモデムカタログは、専門的な話で、素人を煙にまこうとしているんだと思う。
 同じような例として、一時、とあるパソコン周辺機器メーカーが、雑誌広告にメモリモジュールの波形をのせているのがあった。他社との波形を
並べて、うちのがきれいだから良いとか書いてあったが、これも素人だましだと思う。

 さてV.FCモデムの話に戻ります。
 これはV.34が正式に決まったら、アップグレードしますとメーカーが言っていました。それを信じて、アップグレードのお知らせを待って
いました。アップグレードすれば安定して使えるようになるかもしれないという希望をもっていました。
 そしていよいよ、雑誌だったかネット上だったか忘れましたが、アップグレードを受け付けますとの発表がありました。
 いくらかかるのか知りたくて、県内のサービスステーションに問い合わせましたが・・・

 当時の書き込み:
   今日、○○○からFAXが入りまして、○○○−○○○のアップグレードにかかる料金がわかりました。
   「代金は、¥15,000になります」 ぎょぇぇぇぇ〜〜〜(~~;)(~~;)(~~;)(~~;)(~~;)
   今や、長崎でもV.34モデムが2万ちょっとで買える時代なのに・・・これじゃあ新品を買ったほうが・・・って感じだなぁ。
   まぁV.FCのままでも使えないことはないんですけどね。売っぱらおうかと一瞬思ったけど、一応使えるからいいかなぁ・・・
  (などと、ムリに納得したりして^^;)
   私は、¥7,000ぐらいかと思っていたんですよぉ〜。それくらいだったら払ってもいいんだけど・・・その倍でしょ〜〜〜(-_-;)
   なんでこんなにかかるのか、おそらく基板ごと交換なんだと思います。モデムチップセットは、基板上にハンダ付けされている
  ばかりか、さらにシールド板をかぶせ、それもハンダ付けされていますからね。こんなのをはずす手間を考えたら、やっぱり基板交換
  でしょうね。
   アップグレードに出すのはやめたいと思います。貴重な教訓も得ましたし・・・(苦笑)

 ・・・ということで、「モルモット」には今後一切なりたくないと思いました(笑)。

 このメーカーは、ブランドイメージは強い。世界中どこでも、そのロゴを見ることができる。似たようなロゴのパチモンもある(笑)。
 「信者」もいて、洗濯機と炊飯器、電子レンジ、掃除機等以外の家電はそのメーカーで統一していたりする。
 ところが、よく言われている事だが、このメーカーの製品には「タイマー」が付いていて、1年ぐらいで壊れるという。なかには、1年たたず
に壊れる奴もあった。
 私もひどい目にあった。たとえば実家のテレビがそうだった。買ってしばらくしてからだったか、色ズレが発生して画面が見苦しくなった。
これくらいならまだ何とか我慢できた。
 だが、そのうちに、見ている途中でいきなりちらついたり、画面が真っ暗になった。叩くと直ったりしたがとうとう最後はダメだった。
 じつは何度も電器店に直してもらったのだ。修理後はしばらく問題がないが、また問題が出て、再修理となっていた。
 あまりにも壊れるので、買い換えようという話がでてきたが、私は直せると思って修理に着手した。中をみると、電器店は接触不良を
疑ったのか、至る所のコネクタが切断され、直接ハンダ付けしていた。ハンダ割れも多発していたようで、ハンダ面をみるとやり直した痕跡が
かなりあった。
 どうもハンダ付けの品質が悪いと思った。いや製造上の問題ではないかもしれない。基板設計だって関係するのだ。部品穴径が大きすぎ
ると、部品の足の支えがハンダに依存することになる。ハンダは意外にもろいのだ。
 とくに大型の抵抗、パワートランジスタ、パワーICなどは熱をもつし、比較的重量もあるから、ハンダが割れやすい。
 で、一通り目視して、怪しいものは揺さぶってみて、少しでも問題があるようならハンダ付けをやり直した。だが致命的な、今回の原因に
なっていそうな物は見つけられなかった。
 うーんおかしい・・・絶対どっかがおかしいはずだ・・・再度、しつこく調べてみた。すると、ブラウン管の付け根にある基板上で、ある部品の
ハンダが割れていた。これだ!!
 修理後、電源を入れてしばらく様子をみた。テレビを、しつこくたたいたり揺さぶったりしてみたが問題ない。これでやっと解決。電器店の
人は見つけられなかったのかな。嬉しいもんだから、ネームランドで「マエダ電器 ○年○月○日 ハンダ割れ 修理」とラベルを作って、
貼り付けた。

 おっと、モデムですが、チップにのっかっていたシールド板をはずしてしまいました。でも、別に何も変わりませんでした。
 他社のモデムでシールド板が付いているのは、自分が調べた限り、モデム10台以上(14400〜33600bpsの品いろいろ)の中で、
1台もありませんでしたよ。やっぱりムダじゃないの?
 ノイズを「受けない」より「出さない」の方なのかね。それにしても、他社はシールド板なんか使ってないぞ・・・。









(続き作成中)

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